第11話
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その後、意識を取り戻した私は、妹達を背に乗せて巣の中を見て回った。
幼い二匹の妹達が生きていたのだから、もしかしたら生き残りが居るかも知れない。
そう思ったからだ。
──しかし、全滅だった。
あちこちに転がる仲間達の死体。彼女達はみな、奴の毒牙に侵され、苦しみながらゆっくりと死を迎えたのだ。
『……』
私はそんな彼女達を見渡し、立ち止まる。
スモールリトルアガマの性質上、私達はもうすぐ巣から追い出されていたのは間違いない。
近親での交配の可能性を無くす為には、女王候補達に巣を出て貰う必要があるからだ。
他の巣から雄の卵を貰うのも、巣の外に出た女王候補を守るのに効率的で、尚且つ交配の可能性を高くする為なのだろう。
理屈では分かる。どの道この巣とは別れる事になる筈だった事も、私がこの巣に受け入れて貰えたのは、単なる種としての本能の様なものでしかないという事も。
しかし──
『グワ……』
しかし、それでも私は涙が止まらなかった。
家族というものを知識でしか知らなかった私に、本当の意味での“家族”を教えてくれたのは間違いなくこの巣の仲間たちだったのだから。
私は生まれて初めて家族を亡くし、しばらくの間涙を流し続けた。
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あれから一週間が経過した。この一週間は安全の確保を優先し、巣穴を作る事に専念した。
幸いにして候補地は幾つか見付けていた為、場所探しにはそれ程時間は掛からずに済み、満足のいく巣を作る事が出来た。
時折家族の事が思い出されたが、それでも凹んでばかりはいられなかった。生き残る為には立ち止まる訳には行かないのだから。
私は、現状を再確認する為にステータスを展開する。
『グワッガッ!(ステータス)』
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ステータス
種族:“ダークネスアイズ・レッドテイル・ブラックアガマ”
種族概要:アガマ系統の希少種族。同系統の中でも最強と言われる種族で、極めて個体数が少ない。多くの場合、特有の魔眼を持つ種族でもある。
スキル:ユニークスキル:“継承LV2”
:オリジンスキル:“真実の絆”
:EXスキル:“コカトリスの魔眼LV1”
:ノーマルスキル:“暗視LV3”、“しっぽ切りLV5”、“強化嗅覚LV1”、“硬い外皮LV3”、“隠密LV3”、“猛毒耐性LV1”、“軽微再生能力LV4”
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ふむ……。進化した事でかなり強化された様だ。
今までレベル表示も無かった“継承”にレベル表示が付いた。恐らく、表示の無い状態はレベル0という事なのだと思う。
実際にどう変わったのかは試してみないと分からないが、恐らくは相応の強化はされているだろう。
“猛毒耐性”は、やはり直前にあの蜘蛛の毒を受けた事で獲得出来たスキルだろう。
進化とは適応であり、私があの蜘蛛の毒に対して進化適応した結果がこのスキルなのだと思う。
さて、他に気になるところと言えばやはりこの二つのスキルだ。
オリジンスキル:“真実の絆”
EXスキル:“コカトリスの魔眼LV1”
どちらも詳細な効果は不明だし、コカトリスの魔眼に関しては初めて見るカテゴリーのスキルだ。
単純に考えてEXはエキスパートの略称だから、恐らく効果の高いスキルと言う事だと思うが、どんな効果かは分からない。
だが、やっとファンタジーな雰囲気のスキルが手に入り、若干テンションが上がる。
今までのスキルは、原生生物の能力がスキル化していただけの様な雰囲気だったので、ファンタジー成分が足りなかった。
私はファンタジーは結構好きなのだ。
“真実の絆”に関しては、まだ詳細は不明だが、使い方で分かったものもある。
『……グワッガッ(ステータス、対象:妹達)』
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ステータス
種族:“エンシェントブラッドプリンセスアガマ”
種族概要:アガマ系統の始祖にして、龍の系譜。成長は極めて遅いが、
スキル:ユニークスキル:“真祖の系譜”
:オリジンスキル:“真実の絆”
:EXスキル:“完全不可視化LV1”
:ノーマルスキル:“暗視LV2”、“しっぽ切りLV2”、“強化嗅覚LV1”、“硬い外皮LV1”、“隠密LV3”、“猛毒耐性LV1”、“軽微再生能力LV2”
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そう、妹達のステータスも確認出来る様になったのだ。
そして、彼女達のノーマルスキルは、明らかに私が獲得したスキルと同じものだ。
つまり、“真実の絆”の効果、“苦しみも喜びも分かち合う”とは、恐らく経験値とスキルの事だと推測される。それが確かならば彼女達は戦闘に参加しなくても、私が強くなれば付随して強くなれるのだ。
これはかなりの神スキルである。ポケ○ンなら学習装置に等しい。これから様々な検証をする必要があるだろう。
しかし、ステータスが確認出来たところで、更に分からない事が増えた。
妹達の種族、“エンシェントブラッドプリンセスアガマ”だ。
ステータスを見た後、私は妹達が進化したのだと思い、よく見てみたのだが、私が意識を失う前から何一つ変わってはいなかった。
つまり、彼女達は最初からエンシェントブラッドプリンセスアガマと言う種族だったのだ。
そして彼女達があの巣穴で生き残れたのは、この“完全不可視化”のスキルのおかげなのだと思う。
しかし、何故そんな種族の卵がスモールリトルアガマの巣の中にあったのか、サッパリ分からない。
もしかしたら托卵の習性があったのかも知れないし、単純にあの巣がエンシェントブラッドプリンセスアガマの巣で、私だけがスモールリトルアガマだったのかも知れない。
まぁ、考えても結論は出ない事だし、妹達は種族がなんだろうと妹達なのだ。私の愛は変わらない。
さて、新たな縄張りで獲物を探すとしよう。
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