第2話どうなるんだよ

 相手はここの言葉じゃない言語を喋り、両手から炎の槍を出現させ、俺に放ってきた。

 俺は攻撃を全てかわし相手の懐に入り木刀を横一閃した。

「ヲワン」

 相手は聞いた事のない言葉を喋り後方に飛ばされフェンスに直撃した。

 手応えはあったぜ。

 相手の顔はうつむいていて、倒したのが倒してないのか分からない状況だ。

『何でーーーーー』

 もの凄い怒号でこいつは叫んだ。

 言葉が。

『お前が望んだ事なのに』

 俺が望んだ。

 何を言ってるんだこいつは?

『ウギャーーーー』

 叫びとともにこいつの身体の色は銀色になり硬くなり、俺に襲いかかってきた。

「グハ」

 俺は屋上の入り口まで吹き飛ばされた。

 さっきと比べものにならない位動きが速く攻撃が重くなっている。

「お前がいけないんだ。お前が」

「だからさっきから何言ってるか分からないっての」

 俺は立ち上がり木刀を相手の頭に振り下ろした。

『ガキーン』

 木刀が折れ『グハ』 折れたと同時にアッパーカットをされ意識が飛んだ。

 薄れゆく意識の中で俺の目の前に一人の男が立っていた。


「ここは」

 俺が目を覚ました場所は保健室のベッド。

 いったいどうなったんだ。

 あいつは?

 みんなは?


 俺は慌てて保健室を飛び出し自分のクラスに入ると、いつもと変わらないみんなの姿がそこにはあった。

 俺は夢でもみていたのか。

 

「聡一今日お前の学校で妙な事起きなかったか?」

 俺は授業が終わると真っ直ぐに家へ帰り今日起きた事を聡一に伝えた。

「僕の学校では何も」

 俺と聡一は別々の養成所に通っている。

 あれはいったい本当に何だったんだ。


 あれから一週間経ったが、いつもの何一つ変わらず、俺をいじめるのも徐々にエスカレートしていった。

 ふと思ってしまった。

 俺はこの理不尽の世界が嫌いだと。


『カチカチカチカチカチカチ……『バチン』』

 突然教室の蛍光灯が割れた。

 割れたと言うよりも砕けた。

『う……』

 また一人また一人とうまく酸素を取り入れられないように倒れていく。

 やはり前のは夢じゃなかったんだ。

 生徒の一人が俺の方を向き『助けてくれ』

と叫ぶが俺はどうする事も出来ない。

 ただ何故俺だけ何もないのか? 

 それは分からない。

 クラスメイトで最後の一人『愛葉桜』が俺の前で倒れた。

 俺は教室でて勢い良くある場所に向かった。

「やっぱりここにいたか」

 向かった先は屋上だ。

 姿形はこの前とまったく一緒だ。

「貴様か?俺を呼んだのは」

 俺がお前を呼んだ。

 何を言っている。

「お前見たいな得体の知れない者は俺の友達にはいないが」

「お前王になる気はないか?」

 急に何をいいんだすんだ。

「何の話しだ」

「この世界は変えたくないのか?」

 こいつ俺の言葉を無視してたんたんと喋っていやがる。

「だから何の話しなんだよ」

「交渉決裂」

 相手は両手を天にかざし、空から雷を俺に落とした。

『グハ』

 俺の身体は焼け焦げた。

 さすがに死んだな。


 目を覚ますと現実なのか幻なのか分からない、真っ暗な世界に俺は立っていた。 

『お前はこの世界を変えたくないのか?』

 どこからともなく声が聞こえてくる。

『お前は王になりたくないのか?』

 さっきの奴と同じ質問だ。

『お前も気付いてるはずだ。この先生きてても、ただいじめられて死ぬだけだど』

 確かにこいつの言うとおりだ。

 17年間生きてきて人間扱いされた事など一度もないのだから。

『この世界を本当に変えられるんだな?』

『お前がこの世の王になれ』

 俺は王になる事を選ぶと、どす黒い魔力が身体中を駆け巡った。

 木刀をだし一閃するとここら一体の闇を切り裂いた。

 素晴らしい何て力だ。

 山奥で修業してもこの力は絶対に手に入らない。


 俺は世界を変えると心に誓ったら、目が覚め屋上に一人で立っていた。

 自分の身体を確認するといたって傷も負っていない。


 自分のクラスに戻るとクラスメイトはみな倒れている。

 この前だったら元通りになっているはずなのにどうして。

「殺せ」

 誰だ。

 俺の頭に直接話しかけてくる奴は。

「殺せ」

 やめろ。

「皆殺しにしろ」

 やめろーーー。





 

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