剣の道

てるた

第1話もう無理です

 この世界には魔法を使える者(人口の90%)、剣を使える者(人口の10%)二種類の人種が存在する。

 魔法は使える者は神秘な力であらゆる人を癒し治す事ができ神の子だと崇拝されてきた。

 魔法が使えない者は人からいじめ、暴力を振るわれただひっそりと、生活をしなくてはいけない状況になっていた。

 俺はその後者だ。

「龍正(たつま)今日学校どうだったの?」

「相変わらずだよ」

 俺に話しかけてくれたのは山奥でひっそりと一緒に生活している斎藤聡一(さいとうそういち)だ。

「相変わらずか。僕達が産まれたさらに前は差別も偏見もない、ただ皆が笑顔でいられる、そんな世界だったのに」

「そんな夢物語は一生来ないと思うぜ」

 俺が通う未来の大魔道士養成所(未来学校)で当然のごとくいじめられたのだ。

「聡一いつもの日課やるぞ」

《おっす》

 聡一の気合いの入った言葉とともに俺達は素振りをはじめた。


「「9999」」

「「10000」」

 俺達はようやく素振り10000回を終えた。

「今日の修行もきつかったね?」

「もう無理だ。聡一俺達これからどうなるんだろう?」

「分からないけどいつも通り学校に行っていじめに耐えるしかないよ」

 まぁそれしかないわな。


「龍正」

 俺は振り向いたと同時に火の玉が飛んできた。

《グハ》

 俺の顔に直撃した。

「……」

 何もいい返せずに黙っていると、何事もなかった様に三人組の奴らはその場を去った。

 あいつらいつか必ず仕返してやるぞ。

 俺の学校生活はいつもこんな感じで、学校に来れば誰かに暴力を振られる。

 ただ一つただ一つだけ俺にも天使の様な人がいる。

「龍正さーん」

 振り返ると服の上からも分かる巨乳の愛葉桜(あいばさくら)がこちらに向かって走ってきた。

「どうした?」

「ただ呼んだだけですよ。」

 愛葉は老若男女問わずに接しその人柄の良さから俺の中で天使となったのだ。

 それから俺達は一年一組のクラスに入り自分の席に座ると 《ビシャ》 冷たい感触がお尻に。

 手でお尻を触り確認すると完全に濡れていた。

 魔法で椅子全体を目には見えない水でコーティングしていたのだ。

 チョコバナナの様なイメージで考案されているのだろう。


『ガラガラ』

 と教室の扉が開かれ先生が中にり教壇の前に立った。

「授業をはじめる」

「先生すいません」

 俺は先生に向かって手を挙げて発言した。

「なんだ?」

「お尻が濡れているので着替えてきます」

「漏らすなよ」

 先生だと言うのに生徒の所をバカにした様な態度をとっている。

『ハハハハハハ』

 ありとあらゆるとこから笑い声が聞こえてきた。

 俺はひっそりと教室をでた。


 向かった先は着替えが置いてある保健室ではなく、屋上だ。

 やっぱりここが一番落ちつくな。

 フェンス越しの方を見ると誰かが空に向けて何かを放った。

「あれは」

 俺の言葉に気が付いたのか、そいつはどこかに消えていった。 

 まるで幻を見ているかのように。

 なんだったんだいったい今のは。

 俺は気分が落ちついたので教室に戻ることにした。


「おいどうなってんだこれ」

 クラスメイトを見ると全員倒れていた。

「おい大丈夫か?」

 俺は急いで倒れていた奴の所に向かい言葉をかけたが返事がない。

 いったい何でこんなことに。

『あ』

 思い当たる節は一つしかない。

 先ほど屋上にいた奴だがあいつは突然消えた。

 俺は一応片っ端から教室を見て意識がある奴を探したが結局一人もいない。

 クソーいったいどうなってやがる。

 俺は全ての教室、校庭を見たが全員意識不明の重体だ。

 俺が探してない所、考えろ考えるんだ。

「あーーー」

 俺は屋上へと向かい、扉を開けたらそいつがいた。 

 

「おいテメー何やってんだ?」

 そいつは何も喋る事なく俺をみている。

 体は細身で目だけ見える様にし後は全身黒い布の様な物でグルグルに覆われている。

「みんなをやったのはテメーか?」

 俺の言葉に対してやはり反応がない。

 俺は両手を前に出し木刀を出現させた。

「言葉が通じないのなら力尽くで生かせてもらうぜ」

『おりゃー』

 俺は掛け声とともにそいつに目掛けて一直線に走り木刀を横に一閃した。

 だが相手の体に当たる事なく空を切った。

 相手は飄々と立っていたが俺に向かって両手を出し何かをする構えをとった。



 

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