第24話 専属 "Games People Play"

■■まえがき■■

 今回のBGMは"Inner Circle"の"Games People Play"でお願いします!


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 身柄確保されてしまった僕は、赤髪の美人のお姉さんに引っ張られながら王都を歩いた。

 大通りにはたくさんの人が歩いているのに、お姉さんの気迫に押されて横によけて道を譲ってくれる。


 連れられながら歩いていると、このお姉さんが僕より少し背が低いことが分かってきた。

 だいたい170センチぐらいだろうか。

 後ろからみると、そのスタイルの良さがすぐに分かった。

 綺麗に仕立てられた女性用のタイトスーツと、とてもマッチしていると思う。



 一体、何者なんだろうか?


 そんな疑念を抱きながら彼女に連れられるがままに大通りを進み、王都中心あたりに位置する建物で足を止めた。


「ここは……?  冒険者ギルド?」

 猛虎を象った看板を掲げた重厚な建物を見上げた。

 かつて、僕が死体を置き逃げしたところだ。

 あ、あと冒険者登録もしたんだったか……。忘れててごめんね。テヘペロ。


「ふんっ」

 お姉さんはドアを足で押し開けると、ドアを閉めることもせずに屋内に踏み入る。


 その様子を、奥にあるカウンターの向こうにいたガサットさんが驚いて目をむきながら立ち上がる。


 それに対して、お姉さんは手で業務に戻るように促す。

 ガサットさんは、戸惑いながらも席に座って、事務仕事を再開する。

 

「ええっ……?」

 なんで?

 ギルドマスターのガサットさんを身振りだけで従えるとか……。

 ひょっとして、この女性はかなり偉い立場の人なんだろうか。

 


 僕が驚いていることなど気にせず、彼女は手錠をひっぱりどんどん屋内を進む。

 そして、ウェスタン風スイングドアを過ぎて、カウンターの奥に入ると、据えられた応接セットで足を止めた。


「なぁ、そこに座れ」

「これはソファー……?」

「さっさと座れ」

 応接セットのソファーに座らせられると、彼女は対面に座って、その切れ長の緋眼で僕を見つめてくる。

 片膝に肘をついた前傾姿勢から、ローテーブル越しにもかかわらず、威圧をしてくる。


 滴る汗を手で拭いながら、僕は無言のまま、テーブルの上を見つめる。

 目を合わせることにすら怖気づいてしまうのだ。

 



 なんて……。


 なんて、ドSなんだ!


 

 僕がソファーに座って縮こまっていると、彼女は口を開いた。

「なぁ。タナカ、随分と活躍しているようだな」


 !!

 

「ソウボ山では、血犬と魔蜂を狩りつくしたようだな。この上なく安全なハイキングをすることができたぞ」


 !!??


「デスホーネットクイーンを倒した手腕は見事だったぞ。アレを単独ソロで倒せるとは、さすがの私も思わなかった」


 !!!???


 喉がカラカラになりながら、なんとか僕は口を開いた。

「み、見ていたのですか……」

「ああ」


「一体、どんなスキルで姿を隠していたんですか?」

 周囲に他人の気配を感じたことなどなかったはずだ。

 きっと気配を隠蔽するようなスキルを使っていたに違いない。

 そう思い、僕は質問を投げた。


「私がギルドの仕事をしながら身に着けた【見て見ぬふり】と【不在を偽装】を使えば、ほぼ感知されることは無いからなぁ」

 彼女は、不遜な笑みを浮かべながら言い放った。

 

 なんて恐ろしいスキルなんだ……!

 そして、そんなスキルが身に着くまでに、一体この人は仕事をどれだけサボったんだ……!!


「なぁ。タナカ」

「はい」

「まずは、お前が何者なのか教えてもらおうか」

「いえ、それは……!」

 僕は核心に触れる質問をされ、戸惑ってしまう。

 

 僕の素性を明かす。

 そんなことをすれば、僕が夜ごと外出して狩りをしていることが父と母に露見してしまう。

 そうなれば、きっと……レベリングもできなくなり、クロエを守れなくなるかもしれない……。


 だが……。

 彼女のあまりのプレッシャーに屈してしまい、僕は真実を口にせざるをえなかった。


「まず……素性ですが……」

「続けろ」

「僕は九歳です」

「ふ、ふざけるなっ! こんなガタイの良い九歳児がいるものか!」 


 彼女はローテーブルを踏み台にして、僕のタンクトップの胸元を掴みあげた。

 見ると、顔は真っ赤になっていた。

 馬鹿にされたとでも思ったのかもしれない。


 

 チートアイテム"訓練所"でのトレーニングの日々。

 僕は、毎日プロテインをオヤツ代わりに食し、牛乳を水代わりに飲んだ。

 そんな日々を過ごすうちに、僕の身体は急成長し、大人顔負けの体格になっていたのだった。

 この辺りは、同じ村に住んでいる人ぐらいしか分かってもらえないのかもしれない。いや、同じ村の人でも理解できなかったのかもしれない。

 歩いていると、( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` ) と奥様がたに話題にされることも多かったし。



「すみません。本当なんです……」

 僕は、心をこめて真実を告げていることを伝えようとする。


「なぁ」

 彼女はそのままローテーブルを踏み台にして、僕の横に座ってきた。


「なぁ。お前が真実を言っているかどうかなど、どうでもよくなってきた。私の目的には関係ないからな」

 そう言いながら、タンクトップの胸元から手を潜り込ませると、僕の胸の突起物を指で挟んできた。

「あふぅん」

 触られた瞬間に電流のような感覚が走り、僕は間抜けな声を出してしまった。


「なぁ」

 ひたすら彼女は僕の乳首をコリってくる。

 必死に声を出さないようにして、今までに感じたことのない感覚に僕は耐える。



 きっと……。


 きっと、この人の名前はチクビコリ子……いや、チクビコリコリーナさんに違いない!

 ドSにも程がある!



「私をお前の専属にしないか?」

「専属……?」

「お前ほど能力のある冒険者ならば、これからも手柄をあげそうだからなぁ」

「専属とは……?」

「専属の嬢ということだ。冒険者をやっているのだから、さすがに分かるだろう?」

「専属の嬢……」

 僕と会話をしながらも、乳首を執拗にいじってくる。


「ああああああ~」

 僕は、こみあげてくる快楽にとうとうこらえきれずに声をあげてしまう。


「ダメか?」

 彼女が僕の瞳を真正面から見据えながら、問いかけてきた。

 彼女の緋眼には、乳首を責められて悶える僕が映しこまれていた。



 ダメです。主に、児ポ法的な意味で。

 そう言いたくなるのをじっと我慢する。



 だが……そんな我慢も長くは続かなかった。



「分かりました」

 僕はとうとう根負けをしてしまった。


 このような責め苦を浴びているのだ。

 誰も僕を非難できないだろう。


 僕の了承を聞き、彼女は指先の力を緩めた。








「専属SM嬢のチクビコリコリーナさん! これからよろしくお願いします!」







「ぜ、全然ちがうわあああああああ!」

 そう叫ぶ彼女に、僕の乳首は全力でもぎ取られそうになってしまうのだった。




 


■■あとがき■■

2021.05.15

すまん……。更新に間があいてすまん……。

仕事が忙しくて、寝てしまうんや……。


ちなみに、今回のBGMは"なぁなぁなぁ~"ってやりたかっただけ。

あと、メタルロック縛りキツイから廃止。

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