第12話大蛇

森の中は木が光を遮り、薄暗い状態だった。


「暗くて少し見えないな。何か明かりはないか?」


「一応これを持ってきてよかったです」


デイジーは、カバンから袋を取り出し石を出した。


「溶岩石か」


溶岩石とはずっと高温を保っている石のことだ。


専用の袋に入れないと火事になってしまうため扱いには気をつけないといけない。


この世界には、アイロンがないためこの石でアイロン掛けを行っている。


「これを落ちている木の破片に当てれば…」


木は数秒ほどで燃えだし松明みたいに辺りを照らした。


辺りは妙に静かだったが、何かがいる気配がする。


「気をつけろよ、デイジー何かがいるぞ」


「そうですね、なにかいそうな気配を感じます」



「パキッ!」


後ろから、木を踏む音が聞こえた。


「モンスターか!」


早速来たかと思い後ろを振りた。


しかしそこにいたのは、小さいフクロウだった。


元いた世界のフクロウと違い全身の毛が緑のフクロウだ。


「なんだ、フクロウか…」


俺は少し安心した。

けどデイジーがものすごく嬉しい顔をしている。


「これ、ジンパーて言う鳥で、めったに見ることができないんですよ。それにしてもかわいい!」


「確かにかわいいな」


綿あめみたいな毛はとてもフワフワそうで、クリクリとしたその目はとても愛らしく可愛かった。


「あ!羽が怪我してますね」


フクロウの羽が少し曲がっていた。どこかにぶつけたのだろう。


「私治します!」


デイジーはそう言ってフクロウに近づき、回復魔法をかけた。


『ヒーリングリカバリー』


羽が徐々に治っていく。

フクロウは、まったく逃げる様子もなく大人しくしていた。


「治りましたよ」


フクロウは、バサバサと羽を動かして動きを確認している。

そのまま飛んでデイジーの肩に乗った。


「どうしたんですかね?」


「多分デイジーに懐いたんだよ。怪我を直したから」


「それは、嬉しいですね」


「このまま、連れて行く?」


「そうですね、このまま動きそうにもないですし」


フクロウは、デイジーの肩に乗ったまま寝てしまった、よほどデイジーの肩が落ち着くのだろう。


「じゃあ、行こうか」


俺は、先に進むとしたが、足になにか柔らかい感触があった。


「なんだ、木が腐っているのか?」


下を見てみるとなにか丸太のようなものがある。


「腐った、丸太か?」


よく見てみると、何かの動物の皮膚だ。


「まさか!」


すると目の前で何かが動き「ガラガラ」と音がなった。


「デイジー、モンスターがいるぞ!」


俺が、そう言った瞬間、前から何かが顔を出している。

それは巨大なベビだった。しかも顔が2つある。


「こいつは、ツインスネークです!頭が2つあるのが特徴です」


「ああ、見たらわかる。それよりこいつに毒はあるのか?」


「毒はありません。ただこいつの締めつけは尋常じゃないです」


「なるほどな。ありがとうデイジー下がっていてくれ。俺がなんとかする」


「わかりました!」


デイジーは、後ろ岩陰に隠れた。


(ここで、力を試すチャンスだ!)


ヘビは凄いスピードで俺に噛みつこうとしている。


今だ『アイアンバレット!』


俺は腕を素早く硬化し、ヘビの牙は俺の腕には通らなかった。


俺は拳を硬化しそのままヘビ牙を叩き折った。


「シャー!」


ヘビは悶絶していたが、またすぐに襲いかかってきた。


凄いスピードだったが、すぐかわすことができた。


あの修行のおかげで反応速度が上がっている。


俺は、ベビの後ろに回った。


(元いた、世界のヘビと同じなら体部位を狙ってもあまり効果はないだろう。なら狙うなら頭部分だ!)


俺は、拳を固めた。


「見せてやる、俺の必殺技を!」


俺はデイジーと考えた必殺技がある。


俺は、ヘビの頭上までジャンプをし必殺技を放った。


『メタルパンチ!』


ヘビの片方の頭にあたった。


必殺技は完璧に決まった、と言っても普通のパンチに名前をつけただけなのだが。

名付け親は、デイジーだ。


ヘビ片方は俺のパンチをくらい気絶し、もう片方は、俺を睨んでいる。


「もうやめようぜ!お前も俺も怪我をしたくないはずだ」


ここで体力を消費したらドラゴンの戦いの時に影響が出ると思ったし、こいつにこれ以上攻撃したくなかったからだ。


「シャ、シャー!」


ヘビは、また襲ってきた。


「言葉が通じる相手なわけないよな。仕方ない!」


俺は、またヘビの攻撃を避け、そしてヘビの頭を掴み、俺は頭を硬化した。


『メタルフェイスヘッドバット!』


俺はヘビに、新技を食らわした。

もちろん名前を考えたのはデイジーだ。

普通の頭突きだか、硬化して威力が上がっている。


片方のヘビも気絶し完全に体が動かなくなっていたこれで一難は去った


にしてもこんなでかいベビを倒せるようになったとは、俺は自分の成長を実感でき、とても嬉しかった。


デイジーが、岩陰からでてきた。


「やりましたね、ユウタさん」


「ああ、やったよ」


「ホーホー!」


フクロウは今起きたせいなのか、倒れたヘビを見てびっくりしていた。


「こいつこんなことが起きてたのにまだ寝ていたのか。呑気なやつだな」


「そこがかわいいじゃないですか」

 

「デイジー、こいつに名前をつけるか?その方から馴染みやすいだろ」


「あっ、いいですね。どんな名前にしましょう」


「そうだな」


俺が考えた名前は


「ジンパーっていう鳥だから、ジンさんなんてどうだ」


「ジンさん、フッ」


デイジーが、鼻で笑う。


「少し、安直過ぎません?」


「なんだよ、デイジーがつける必殺技だって

安直じゃないか」


「安直じゃないですよ!でもジンさんのほうが安直ですよ。ねぇジンさん」


そう言うと、フクロウは羽をバサバサ動かした。


「ホーホー!」


「これは嬉しがっているのか、怒っているのかわからないな」


「少なくとも、喜んではないですよ」


「だよな」


フクロウの名前は二人で考えた結果、結局ジンさんとなった。

ジンさん自体は少し不服そうだったけど。


「さあ、先に進もう」


「はい!」


俺達は、森の奥に進んだ。

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