第10話修行

訓練場の中は薄暗く、少し見えないが結構広そうな場所だった。


色々なものがあり、射撃場だったり、模擬実戦場や、それで使う偽物の剣や銃などがあった。


血痕のなども多く、当時の訓練の厳しさが、生々しい伝わってきた。


「勝手に入っていいのか?」


「大丈夫ですよ、ここ最近ここを使っている人はいませんから」


「けどなんで、こんなに色々な物が残っているんだ、もう使ってないんだろ」


「訓練道具も新しくして新訓練場に持っていくのが面倒になったから、ここに置きっぱなしらしいですよ」


「少し古けど、まだまだ使えそうなのに、もったいないな」


俺は、何か使えるものはないかと探していると、ランタンとマッチがあった。

ランタンに、火をつけ辺りを照らした。


すると奥の方に人影が、見えた。


「誰だ?」

 

そう言ったが、返事がない。 


恐る恐る近づいて見ると、鉄で出来たかなりゴツい人形だった。


「これは?」


「これはバトルゴーレム、魔力を注ぐと動いて戦うことができます」


「なるほど…ていうか、魔力って何?」


「魔力も知らないんですか?」


デイジーが、驚いた表情で言ってきた。

これは、まずいと思った俺は、咄嗟に言い訳をした。


「魔力ね、うん!魔力知ってる知ってる!

でも、俺は思っている魔力が、デイジーが思っている魔力と合ってるかわからないから教えほしいなと思って!」


自分でもわけがわからない言い訳にデイジーは疑いの目を向けてきた。


「本当ですか?ていうか『俺が、思っている魔力』ってなんですか?魔力は1つしかないんですけど?」


「まぁ、えっーとそのあれだよ」


「まぁ、いいでしょ、教えてあげます」


「あ、ありがとう」


「魔力っているのは、攻撃魔法や回復魔法に使うために人やモンスターがうちに秘めている力いわば潜在能力ことです。これを高めることで強い魔法が出せるようになります。」


「へぇー」


「あってました?『俺が思っている魔力』と?」


「ああ…もちろんだよ。ハハァ…」


「そうですか…」


デイジーは、また疑いの目で見てきたが、どうやら大丈夫だったようだ。


「とりあえず、動かしてみましょうか。

これを使えばユウタさんの修行になるでしょう」


「ああ、頼む」


デイジーはゴーレムに手をかざした。

あの日俺にかけた回復魔法みたいに、手が発光し始めた。

手の光は消え、ゴーレムが動き始めた。 


「タ、タイショウヲカクニン、コウゲキシマス」


「えっ!」


ゴーレムは、そういうと俺にものすごい勢いで、突進してきた。


「やばい!」


俺は、咄嗟に交わしたが、ゴーレムが壁にめり込んだ。


「すごいパワーだ、あんなのまともにくらっていたら」


ゴーレムは壁から抜け出し、また俺に攻撃を仕掛けてきた。


「タイショウヲ、ハイジョシマス」


ゴーレムは、また突進してきた。


「今度は、そうはいかない!

行くぞ、『アイアンバレット!』」


俺は、上半身と両腕を、固めた。


「さあ、来い!」


俺とゴーレムの身体がぶつかりあった。

鉄と鉄がぶつかり合って、すごい音がなった。

しかしゴーレムのほうが体重も勢いもあったため、数メートル吹っ飛ばされた。


ダメージはないが、重く、早い攻撃だった。


ゴーレムは、続けざまに攻撃を仕掛けてきた。


『ゴーレムパンチ!』


俺の顔面にパンチを打ってきた。


「だめだ、硬化が間に合わない!」


ゴーレムのパンチは、顔面にクリーンヒットした。


「ぐはっ!」


殴られた、俺はそのまま気を失った。


それから、数分が経ち俺は、パッと目を覚ました。

すると目の前には、デイジーの顔があった。


「やっと起きた、心配したんですか。」


「ご、ごめん。俺は気絶してたのか。

ゴーレムは?」


「ゴーレムはあなたを気絶していても攻撃しようとしたので、魔力を奪って止めました。」


「そうか、やられたのか俺は…」


「もうやめましょう。危ないですよ」


「俺はドラゴンを倒さないといけないんだ。

だから、やめない。こいつと戦って俺は強くなってみせる!」


それから、俺の血がにじむような修行が、始まった。

ゴーレムにやられていくうちに、自分の弱点に気づいた。


1つは、自分の反応速度が遅く能力発動が遅れしまうことだ。反応速度が遅いせいで耐えれる攻撃もモロにくらってしまう。


2つは、俺の基礎攻撃力が低いことだ。

ゴーレムを殴っても殴っても、全くダメージがないのは、俺のパワーがまだまだ低いせいだ。オークみたいに皮膚の柔らかいやつならいいが、ゴーレ厶みたいに固い相手には、攻撃が効かない。


3つは、『アイアンバレット』の耐久力だ。

ゴーレムに殴られ続け時に気づいたが、殴られた部分の硬化が解けていた。

同じ所に、攻撃をくらうと能力が解除されてしまうようだ。強い攻撃が10回くらいで

解除してしまう。次に発動する時にインターバルが必要で、10分ほどの時間が必要だ。


この弱点を、直しつつゴーレムと毎日のように戦った。


もちろん、戦い以外のトレーニングも怠らなかった。


朝、仕事の前にランニング10キロ、デイジーを乗せながら片手腕立て伏せ1000回、腹筋1000回行った。


夜は、ゴーレムと戦う前と後にトレーニングをおこなった。


岩などを壊したりして、能力の耐久力を上げつつ、力の使い方を覚えた。


寝る前は、イメージトレーニングをおこなった。

最初は片手腕立て1000回なんてできなくて、心が折れそうになった。


だけど強くなりたい強なって困っている人を助けたい、その一心で頑張ることができた。


デイジーは、何も言わず俺の修行の手伝いをしてくれた。


そのおかけで、修行のメニューも段々2000、3000回と増えていき。

ゴーレムの動きにもついていくことができた。


それから3ヶ月ほど経った。


俺は最初は歯が立たなかったゴーレムを倒せるくらい成長した。

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