第9話相談
俺の『サンセベリア』での仕事が始まった。
この服屋の従業員はストックさん、ゼラさん、ダリアさん、デイジーで構成されていた。
デイジーの母親は、数年前に病気で他界しているらしい。
この服屋では、クリーニング屋のような仕事も行っており、俺その担当を任された。また掃除などの雑用も任された。
他の4人は、新しい服の作成をしていた。
初めは、シミが完全に取れてなかったり、シワがまだ残っていたりしてストックさんにどやされていた。
だけどゼラさん、ダリアさんにコツを教えてもらって、だいぶ仕事を覚えてきた。
1週間ほど経って仕事に慣れ始めたときストックさんに服の配達を任された。
「町の入口の近くのナリヤさんの家に服を届けて来てくれ。代金は頂いてる」
「わかりました」
「デイジー道案内をしてやれ」
「わかった」
「あの事ちゃんと考えておけよ」
「わかってるよ…」
「後、お前デイジーには、手を出すなよ!絶対にな」
『あの事』が気になったが、ストックさんの耳打ちのほうがの気になった。
俺達は、店を出てナリヤさん家に配達に向かった。デイジーが、先導してくれてとても助かった。
「そういえば、二人で歩くのはあった日以来だったな」
「そういえば、そうですね」
「仕事はうまくいけてるし、いい仕事を紹介してくれたよ。ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ一生懸命仕事をしてもらって感謝してます」
「なんか、お礼しないとな」
俺がそう言うとデイジーが真剣な顔になった。
「あの、お願いがあるんですけど」
「何?俺ができることなら何でもするけど」
「実は、私…」
「冒険者が帰ってきたぞ!」
デイジーが話そうとした瞬間町の入口の方から大声が聞こえた。
「な、なんだ?」
入口には、ボロボロで怪我した男達がいた。
「あの人達はどうしたんだえらく怪我をしているけど?」
「多分、エメラルドドラゴン・アネモネアスの森に言ったんだと思います」
「ドラゴン!まさかこの世界を統治してると言われている、6匹のドラゴン?」
「はい、そうです。この先20キロ行った先にドラゴンの森があるんです。そこに入ったものは、無事では帰れない。危険な森なんです」
「そ、そうか…」
「昔は、平和の森と呼ばれていたらしいのですが、今じゃ悪夢の森と呼ばれて死者もでいるらしいです
護衛者全員でドラゴン討伐すると言う噂も流れているくらいです」
まさか探していたドラゴンがこんなに近くにいた。
怪我をしている人達は、強い冒険者だそうだ。
もし今の自分が戦って勝てるのかそう思うと段々緊張と恐怖がめばえてき、呼吸が少し荒くなった。
「ユウタさん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ配達の続きをしよう。」
俺達は配達を終わらせ、店に戻った。
今日の仕事が、終わり夕食を食べ風呂に入り、自室へと戻った。
俺はベットに寝転びながら、ドラゴンのことを考えてた。
異世界転生者が、全員ドラゴンに殺されていることアナザは言っていた。
今の自分がドラゴンを倒せれるのか、自分がやられるイメージしか出てこず、いてもたっもいられなかった。
俺は静かに家を出て、走り出した。
もっともっと強くならないといけないのに1週間何もしなかった自分に腹が立っていた。
こうしている間にも、人々は襲われているのに。
強くなりたい、でもどうしていいかわからなかった。
広場で俺は、どうすればいいか考えていた。
すると、広場の端の花壇方で音が聞こえた。
そっと見てみると、その正体はデイジーだった。
近づいていき、声をかけた。
「おーい、デイジー!」
「あ、ユウタさんどうしたんですか、こんな時間に?」
「デイジーこそ、何をやっているんだ?」
「私は、魔法の練習をしています。
枯れた花を回復魔法で直しています。ユウタさんは?」
「俺は、ちょっとな…」
「何か、悩みがあるんなら言ってください。力になりますよ」
「けど…」
俺はこれは、デイジーに相談しても良いものなのか迷った。
知り合いのいない異世界で、相談できる人がいない今、一番相談しやすいデイジーに本当は相談したいがこれ以上は、迷惑をかけれなかった。
「わかりました。じゃあこうしましょう。私も悩みを言うんで、ユウタさんも悩みを聞かせてください」
「えっ…!」
「私の悩みは…」
少々強引だが、俺に話しやすい状況を作ってくれたんだろう。
デイジーは、話を始めた。
「私本当は実家を継ぎたくないんです」
「えっ、なんで。お店が嫌いとか?」
「お店は、嫌いじゃないですし、服を作るのも好きです。」
「じゃあ、なんで?」
「私冒険者に憧れてて、色々な国に旅をしたいんです」
なるほどだからあの時に俺に旅の話を聞いてきたのか。
「いろんな国を回って、色々な景色を見て、私が覚えた魔法で困っている人を助けるのが私の夢なんです」
「デイジーらしい、いい夢だな」
「けど、お父さんが許してくれないんです
女が冒険なんて危ないって」
「まぁ、お父さんの気持ちもわからないこともないけど」
「だから、もしお父さんの許しをもらえたら、私をユウタさんの冒険に連れて行ってもらえないでしょうか?」
「えっ、ほ、本当に?」
「はい、私1人で冒険は不安なので。こんなことを頼める相手もいないし、ユウタさんお願いします!」
「俺で良ければいいよ、ついて来ても。
でも、ストックさんに許可は得てほしい」
「わかりました。ありがとうございます。
お父さんには、話をしてみます」
断る理由もないしそれに俺も1人では、不安だった。
(2人で冒険に行くなんて知ったら、ストックさんカンカン怒るだろうな)
そう思うと少し不安だったが、約束してしまったものはしょうがない。
「さあ、私が悩みを相談したんでユウタさんも、話してもらいますよ」
「そうだったそういう約束だったな、じゃあ話すよ」
俺は、話した、ドラゴンを倒したいことも、もっと強くなりたいことも。
「へぇー、じゃあドラゴンを倒すために冒険をしてるんですね、なんでドラゴンを倒したいんですか?」
「ドラゴンが人間を襲っているって聞いたから、それを止めたいと思ったから」
異世界転生のことに言おうと思ったが、色々面倒なことになりそうだから言うのはやめた。
そのうち絶対に話すつもりだ。
「だから強くなたい、何かいい方法はないか?」
「正直、ドラゴンを倒すのは私は反対です。
危ないこと、だらけじゃないですか。
あなたにはそんな目にあってほしくないです」
「けど、やらなきゃいけないんだ。俺が!」
「わかりました。じゃあ強くなるいい方法があります」
「本当か!教えてくれ」
「じゃあ、ついて来てください」
俺は、デイジーについていった。
歩き出し数分が経って、人気のない場所に着いた。そこには、何やら大きな建物がある。
「これは、なんだ?」
「これは、護衛者の旧訓練場です。今は、誰も使っていないので、ここで修行をしましょう」
ここで、俺は強くなれるのか?
俺は、訓練場の中に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます