第8話面接

店の中は20畳くらいの広さで、薄暗く落ち着いた感じの店内はどこか懐かしい感じと大人っぽさをかもしだしていた。

色々な服がきちんと畳んでいて、ホコリが1つもないくらいに店内はきれいだった。


「いい雰囲気の店だね」


「お客様に気持ちよく商品を選んで欲しいからですよ。昔は、掃除がなってないとか、きれいに服がたためてないとかでよく怒られてました」


「お父さんは?」


「多分、奥で作業をしてると思いますよ。呼んできます」


デイジーは、レジカウンターの横のドアに入っていた、多分あそこが作業場なんだろう。

何やら奥で喋り声が聞こえる。


数秒待っていると、すごい勢いで、誰かがドアからでてきた。

ドアから出てきた人は、40代から50代くらいの、男でかなり目つきの悪い中肉中背の男だった。


男は、俺と目があった瞬間すごい剣幕怒鳴りつけてきた。


「お前かデイジーをたぶらかしたのは?」


「えっ?」


「お前のような、ひょろいガキに娘はやれん!とっとと出ていけ!」


「えーーー!」


何がなんだかさっぱりだったが、多分デイジーの父親だということがわかった。

俺は働かさてもらうのをお願いしに来ただけだ、デイジーは、どういう説明をしたんだよ。

でもデイジーとそういう関係も、悪くないな。

俺はデイジーとの交際を想像して思わず顔がニヤけてしまった。


「何を笑っているんだ、早く出ていけ!」


「ち、ちょっと!」


俺が店から追い出されそうになったが、デイジーが戻ってきた。


「お父さん!何やってるの!」


「俺は、こんな奴との交際なんて認めない!

大体こんな奴と付き合ってる場合じゃないだろ、最近魔法ばっかり勉強して服を作る勉強をしなさい!」


「その話は関係ないでしょ!それにユウタさんは彼氏じゃなくて、ここに働きに来たの!」


「えっ、そうなのか?『会わせたい人がいる』って言ったじゃないか」


「お父さん言ってたじゃない、人手欲しいって、働きたい人を探してこいって住み込みで。働きたいって言っている人に会わせたいって意味だよ」


「確かに、言ったけど…」


完全にデイジーのお父さんの早とちりだった。

まぁ確かに年頃の、娘に『会わせたい人がいる』なんて言われたら、恋人と、挨拶に来たと思ってしまうかもしれない。


「ごめんなさいユウタさん、お父さんが勘違いして」


「別にいいんだよ、勘違いは、誰だってあるよ」


「本当に、ごめんなさい」


デイジーが謝っているのが不服そうなお父さんだった。

俺は、気に触ることは何もやってないのだが。

よほど、娘が心配なんだなと思った


「おい、小僧名前は?」


かなり目つきの悪いめが、さらに悪くなって言ってきた。


「僕の名前は天野優太と言います。よろしくお願いします」


「アマノユウタ珍しい名前だな。俺の名前はストック、なぜウチで働きたい思った」


「旅の資金がなくなったんで、資金集めに働きたいと思ったからです」


俺がそういうとストックさんは、少し難しい顔をしていた。

流石にこの理由はまずかったか、そう思ったがお父さんは、質問を続けた。


「身体どこも怪我をしていないな?」


「はい、大丈夫です」


「ウチ仕事は、しんどいぞ大丈夫か?」


「はい、やりこなして見せます」


「よし採用だ、早速明日から働いてもらう、

部屋は2階の開いている部屋を使え。

お前の服はみすぼらしいから、着替えろ、用意してやる。わからないことは、デイジーに聞け」


「わかりましたありがとうございます。お世話になります」


意外にもあっさりと採用されてしまった。

これで、旅費を稼げるししばらく住むところもある、幸先の良いスタートだった。


ストックさんも怖そうだったけど意外と優しかった。

うまくやっていけそうだ。そう思っていると、ストックさんが最後の質問をした。


「娘とは、どうゆう関係だ!交際は、絶対認めないからな覚えておけ!」


「ちょっと!お父さん!」


やっぱり怖い人であった。

幸先がやや不安になった。

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