第7話安堵

戦いが終わり数分が経ったとき、町の人たちが、広場に集まってきた。


「オーク達は、行ったんだなもう安心だ」


人々は安堵の表情を浮かべていた。


壊れた建物の復旧や、怪我人などの手当が始まった。

死人は1人も出ておらず、重症者も少なかった。最悪の自体は免れた。


「ユウタさーん!」


俺を呼ぶ声が聞こえた、読んでいたのはデイジーだった。

デイジーは、俺がに近づき抱きついたてきた。

俺はかなりドキドキしていた、こういう耐性がまるでなかったからだ。デイジーは、花のようないい匂いをしていた。


「本当に心配したんですから!でも無事で良かった」


「し、心配してくれてありがとう」


デイジーは泣きながらそう言った。

今日は初めてあった人間に泣くほど心配できるなんて、お金を出してもらった件といい、すごくいい子なんだと思った。 


大勢人がいる広場で、抱きつからているのは、ちょっと恥ずかしかった。


「デイジー、そろそろ離してもらえるかな?」

 

「す、すみません!」


デイジーは、我に返ったのかすごい顔を赤らめて抱きつくのをやめた。かなり恥ずかしかったのだろう


「嫌な気分にさせてしまいましたね…」


「いいや、別に嫌とかじゃなかったけど…」


むしろもっと抱きしめてもらいたいくらいだった。


「あのオーク達を倒したんですか!」


「あ、うんまぁ一応」


「すごいですね!あの護衛者達でも倒せなかったのに。」


女の子に褒められるのは初めてだったが、悪い気分ではなかった、むしろすごく嬉しかった。


「怪我してるじゃないですか!」


「これくらい大丈夫だよ。」


そう言って、立ち上がろうとした時にすごい痛みがやってきた。


「いっ痛い、痛い!」


腹部に針で刺されたような傷みが走った。

腹部は、赤紫に腫れて痣ができていた。棍棒で殴られたときの怪我だった。


「ほら、痛いんですよね、見せてください」


デイジーは、俺の怪我をしている部分に手をかざした。


『ヒーリングリカバリー』


デイジーの、手が発光しだした。その光は見ているだけでなんだか癒やされる優しい光だった。


俺の腹部の、怪我がみるみると消えていった。


「どうですすごいでしょう。最近やっと覚えた魔法なんですよ。」


「ありがとう。すごい魔法だね」


怪我は、完全に完治しておりさっきまでの痛みが嘘のように消えた。

また俺は彼女に助けられてしまった。


「さあ、私の店に行きましょう。その服もなんとかしないと」


「そ、そうだね…」


服はさっきの戦いでボロボロになっていた。

デイジーの服屋でなんとかしてもらおうと思った、流石にボロボロの患者衣のわけにもいかない。


俺達は、デイジーの店にも向かおうとすると、男の子の声がした。


「お兄ちゃん待って!」


その声は、さっき助けた子供の声とその母だった。


「さっきは本当に、ありがとうございます」


「いえいえ、たいしたことは、してませんよ。」


「お兄ちゃん、これさっきのお礼。」


男の子が取り出したのは、ドラゴンの形をした石だった。


「これ僕の宝物なの、お兄ちゃんにはさっき助けたもらったからあげる」


男の子は石を俺の手のひらに乗せた。

気持ちは嬉しかったが、男の子の宝物だと言うのでもらう気にはなれなかった。


「これは受け取れないよ、君の宝物だろ、宝物なら簡単に手放しちゃだめだ。」


「でも、僕お兄ちゃんにお礼がしたい。」


「別にお礼はいいから、もし困った人がいたら助けてあげて。それを俺にするお礼だと思って」


昔俺が、知らないお兄さんに助けられた時お兄さんが言っていたセリフだ。まさか自分が使う日が来るとは。


「うん、わかった。僕困っている人を、助けるよ」


「うん、そうしてあげてくれ」


親子は、最後までお礼をいいながら去っていた。

あの人達を助けられてよかった、本当によかった。俺は、涙がこぼれ落ちそうだったが、我慢をし、親子に手を振りった。


「さあ、行こうか」


「はい!」


俺達は、デイジーのお店に向かった。


「店は、ここから近いの?」


「はい、歩いて10分くらいです。すごい老舗なんですよ、もう100年以上も続いてる由緒正しき服屋なんです。いま父の代で4代目です」


「へぇー、それはすごいな、じゃあ次はデイジーが店を継ぐわけだ」


「そ、それは…」


デイジーは困った表情をしていた。

もしかして地雷だったのか、俺はこの話をやめて違う話をした。

今気づいたが、女の子と普通に会話をしていた、最初は敬語で喋っていたが途中から友達みたいに会話をしていた。

デイジーの気分を悪くしてないかとても心配だった。


「ユウタさん!」


「えっ、な、何?」


「もう、ちゃんと聞いてましたか?」


「ご、こめん聞いてなかった、もう1回お願い」


「どうやってあのオーク達を倒したんですか?」


「それは…」


俺はオーク達との戦いのことを説明した。

俺の能力のことも。


「へぇー見たことない能力ですね、どういう名前の能力なんですか?」


「名前は、まだないな」


「じゃあ、今決めましょう、えっーと体が、鉄のようになる能力だから…」


名前は特にどうでも良かったが、確かにこの能力にも名前があったほうが馴染みやすいし、扱いやすいと思った。


「名前は、『アイアンバレット』なんてどうでしょう?銃の弾丸のように素早く、鋭く、そして、硬い意志と身体を持つと言う意味を込めて考えました。」


『アイアンバレット』か、俺の戦い方見たらその名前がぴったりだし、彼女がせっかく考えてくれたのでその名前にすることにした。 


「いいね、その名前でいこう。」


「やったー、じゃあ私が名付け親ですね」


そう言ってはニッコリと笑った顔が、花のように華やかで可愛かった。


そうこうしている内にデイジーのお店に到着した。


「到着しました。ここが私の実家のお店、『サンセベリア』です」


(ここで今日から働くのか、頑張るぞ!)


俺は、店のドアを開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る