第5話勇気
その男達は、オークと戦いを繰り広げていた、魔法使いのような男は後方で、電撃を出して攻撃をしており、ガタイの良い男2人の中の1人は、剣を持っており、もう1人はハンマーを持って戦っていた。
どうやら町を守る騎士のような人達だった。
後方の電撃でオークの動きを止めて、前方の2人で攻撃をする、オークをどんどんと倒していく。
(これは俺の出番はないかも?)
俺は少し残念な気分だったが、町の人達が守られるならそれで良いと思った。
護衛者が押しているように見えたが、1匹のオークが急に叫び出した。
「グオオオオオオ!」
「なんて、バカでかい声なんだ!」
鼓膜が破れそうなその叫びは、町中に響き渡った。
すると町の入り口から無数のオーク達が、次々へとやってくる。
「あいつ、仲間を呼んでいたのか!」
護衛者は無数のオーク達を何匹か倒していったが、なにしろ数が多すぎるために護衛者は、やられてしまった。
オーク達は、暴れだし周りの建物を壊していっていた。
町の人々も襲い初めていた。
「俺が、行ってくる!」
俺が行こうとした瞬間また、デイジーに止められた。
最近止められることが多い。
「1人じゃあ無理ですよ!護衛者3人掛かりでも倒せなかったのに!」
デイジーの言うことは正しかった、あの強そうな男達がやられているのに、俺1人で倒せるわけがない。
けれど俺は、
「君の言うとおりだよ、あのまま人が傷つくのを黙って見てられない!
無理だとわかっていてもやらなきゃいけないときだってある」
「でも、死んでしまったら終わりですよ」
俺は、アナザとのことを思い出した。
この命はアナザからもらった物を大事にしないといけないと思ったけど、ここで人を救わなければ、世界なんて救えない、それに人が傷ついているのに放っておける訳なかった。
止めるデイジーを、振り払い俺はオークが暴れている広場の方へ向かった。
ここで死ぬわけには行かない、オークを倒して人々を助ける、絶対に。
広場に着いた俺は、怪我をしている人を避難させようとしたがオークはそんなに甘くはなかった。
オークは、俺と怪我人めがけて棍棒を叩きつけた、咄嗟に交わしたが、石でできた地面は粉々だった。
「すごい威力だけど、俺の能力ならなんとかなるかもしれない」
俺は怪我人を安全な場所に避難させ、オークと対決となった。
オークがまた棍棒を振り下ろしてきた。
俺は、今だと思い能力を試してみた、オークの棍棒は俺の腹部に命中したしかし、
「ぐはっ、い…痛い」
俺は、数メートル先に吹っ飛ばされた。
能力が発動しなかったのか、かなりの痛みが腹部に走り、その場で吐いてしまった。
「なぜだ、能力が発動されていない?」
この時は、気づかなかったが、常人なら即死するような攻撃をまともに喰らっているのに生きているのは、基本耐久値が上がっているおかげだったが、能力自体は発動していなかったし、痛みでそんなことも考えられなかった。
「グオオオオオ!」
「くっ!」
立ち上がって反撃を試みたが、恐怖で足が震えて、立てなかった。
「情けない、せっかく足を直してもらったのに、これじゃあなんにも変わっていないじゃないか」
俺が、恐怖で動けないでいると、目の前で子供とその母親らしき人が襲われそうになっていた。
「立て、立つんだ俺の足!」
そう自分に言い聞かせたが効果はなかった。
オークが、親子に棍棒を振り上げた。
「助けてー!」
その子供の声に俺は目が冷めた、
「こんなところで、立ち止まっている場合じゃない、俺は変わるんだ、強くなってそしてなりたかった自分に!世界を救うんだ!」
俺は、走り出した、自分の足で!
俺には、恐怖などもうなかった、ただ人を救いたいと思いで走り出した。
オークが棍棒を振り下ろした、瞬間俺は親子の盾になるように親子の前に立ち守った。
俺の頭上に振り下ろしてきたので、俺は咄嗟に腕でガードをした。
鈍く乾いた音がした、それはまるで骨が折れたかのような。
俺は骨折は覚悟していた。
「あれ、痛くない?」
腕は全く痛くなかった。
「ドン!」
何かが地面に落ちた
地面を見ると、逆にオークの棍棒が折れて転がっていた。
俺は、両腕を見てみると、そこには鉄のように固くなった腕があった。
銀色に輝くその腕は、鉄そのものであった。
「これが俺の能力か、これで戦える!」
俺の、逆襲が始まる。
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