ギルド結成するの?
一悶着ありながらもやっと夕食にこぎつけることができた。まさか盗賊にまた会ってさらにマールの剣を取り返すことができるなんてね。
これは明日空から剣やら槍の雨が降ってくるな。
今一度マールに確認してもらうと傷一つついてないまま返ってきたと喜んでくれた。なんだかんだ苦労した甲斐があったんだなぁってしみじみに思う。
ていうかなんであそこに盗賊が居たんだろ? そもそも盗賊を襲って剣を奪い返すって本質的には盗賊と一緒なんじゃ......いや、そんなことよりも考えなきゃいけんのか俺は?
それは寝る前にでも......それよりも腹が減った! 考えるのめんどくさくなったし夕ご飯食べよ。
◇
やっぱり身体を動かした後の飯は格別に美味い。これはやっぱり今も昔も変わらないなぁ。
ふう......思えばあの出来事から1週間まだ経ってないんだ。もう一カ月ぐらいすぎてるんじゃないかと思ってたけど、そう錯覚するくらいには忙しい日々を過ごしているんやなぁ。このきっかけを与えたのは勇者ユウキという皮肉よ。
それで......明日はモリヤミに向かうためにまた馬車生活を送る日になりそうだけど、モリヤミに着いたら何するんだ? 俺達......行った先のことを考えてなくね?
そもそもなんでモリヤミに向かうという話になってんだ? これじゃ俺がますます帰れなくならね? 四天王倒してさっさと帰国する予定だったのに何雰囲気に流されてんだ俺のバカバカバカ!?
楽しくなってきたとは少し前に言ったけど故郷に帰りたいのは今も変わんねぇんだよ! 無断でどうやって抜け出そうかから、円満に仲間に別れを告げて帰りたいに考えがシフトしただけでね!
ともかく俺は、みんなに怪しまれないようにそれとなくモリヤミに行く理由を聞くことにしたわけだが......
「俺っすか? 新たな強敵と景色を求めて!」
「......故郷だから?」
「別に私はモリヤミに行きたいとは一言も言ってないですの。いつのまにか行き先が決定してただけ。まあモリヤミに一回行ってみたかったから......ですの?」
軽く絶句してしまった。だって俺含め全員何も考えてなかったからだ。なんてことだ......
◇
そもそもの話、マールがあの時言ってたのが今こんなことになっている。この頃の俺はどうやって帰ろうかなとか、自分の実力不足を痛感していて、その影響で話を完全に流していたのが今につながっているという......てっ俺のせいじゃん。
「あの時俺が止めていれば......」
どちらにせよアリシアからの脱出は必須だっただろうけどもせめてパレンラトス王国に比較的近いプルルンド帝国にしておけばよかったと今更後悔中。
「ハルト! ここに雨も凌そうな洞窟見つけたっす!」
「今空はビックリするぐらい雲が無くて星が綺麗に出てるのに......うん。後悔しても遅いや。まだ1週間も経ってないしゆっくり考えよう」
しかし、その考えはすぐに崩れさることになる。マールが急に剣を空に上げ、それを小さな地割れを起こしながら地面に突き刺し、そしてこの勢いのままみんなに向かって話し始めたのだ。
「僕から提案があるんだけど、国境を越えた先でギルドに興味あったらやってみない? どうせみんなやること決めてないんならさ、街をブラブラするだけじゃ低刺激だと思うんだ!」
いや怖っ……
よく見てみたらマールが目を輝かせながら無事に復活していたな。
そのままの勢いで俺達にギルドとかいうやつを俺達に提案をしてきたのだ。なんかさっきの話の繋がりと突拍子がないというか飛躍してないか?
「ギルドねぇ。まああそこは冒険者の街だし……」
いやでもなぁウーン......たしかに考えてみたら魔物を討伐するため、四天王を討伐するためにギルドを作ったほうが何かと都合がいいのかもしれない。
今までが運が良かったんだ。今のままじゃ絶対に魔物に殺されてしまうだろう。だから俺は今一度盾使いとしての修行をやろうと決心したんだし。
それにもしギルド結成したら同じ盾使いの人に関わりが持てて何か助言を貰えるかもしれない。なりよりギルド参加必須の依頼を受けれる!(少しだけ高額報酬)
もうモリヤミに行くことになっちゃってるし四天王倒すためには仕方ない。
「わかった。モリヤミに着いたらギルドに一回行ってみよう。話はそれからだ」
よつばはもう答えは分かってしまった。やりたいんだろ? だってもう顔に出ちゃってるし。お前、本当に一国の王女なの? 戦闘民族の間違いじゃないのか?
ガドラは考えとくとだけ言っている。それってすごく便利な言葉だな。俺もガドラに便乗しておこう。
「そう? なら僕の故郷に着くまでには考えといてね!」
「モリヤミでギルドねぇ......一応頭の隅には置いておくっすか」
◇◇◇◇◇
次回に続く
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