これは由々しき問題だ......
「マール......少しこの中を見てみてほしい......」
偶然2人だけになっている場所ということで俺はついに始めることにする!
「? いいけど? なっ!?」
何食わぬ顔でこの袋の中身を見たその瞬間、マールは冷や汗をかきながら顔ごと固まってしまった。大丈夫、この反応は正常らしい。俺もついさっきなっていた。
「うん。これは由々しき問題だ。まさかもうここまで追い詰められてたなんてな」
「っ......!?」
「そうだ金が......無い!」
◇
確かにお前、俺が許可したとはいえ俺の金使ってアリシアで金落としまくってたからなぁ。不幸中の幸いとしてはよつばとガドラの懐事情はまだわからないということ。少なくとも俺とマールは金が底を尽きた。
「そもそも俺の金使っている話、よつば達に言ったのか?」
その答えは予想の斜め上を行く回答だった。
「ああ......アリィさんからはゴミを見る目で見られていた。あの蔑んだ眼差しは僕の心を何倍にも豊かにしてくれたんだ! はぁはぁ......」
ヤバい、マール......はこの頃からMの力を発動していたのか......? ていうか薄々感じていた嫌な予感、悪い意味で当たってしまったよ。
「いやまぁ一応俺には数万ちょい残ってるけど......」
マールは何故か勝手に胸をなぜ下ろしならいいじゃないかと言ってきたので、俺は次の話に進めることに。
「お前には今後一切俺の金を触らない宣言じゃあ!」
マールは晴天の霹靂かの如くガーンと驚いていた。いや普通に当たり前だろ。
そもそもなんで俺の金を使わせていた根本的な理由はマールの全財産を盗まれて可哀想だったからだ。だけどたった数日で数万溶かされたらいくら俺でもたまったもんじゃない。普通にふざけんな。
いやもうこの件はいいや。本人も反省しているし。最悪ギルドでちょこちょこと稼げばいい。
それよりも由々しき事態なのは......マール、お前自身だ。これが先天性なのか後天性なのか分からんがここ最近Mの力が増長している気がする。
ほら今だってマールはブツブツと、疎まれて蔑まれて見下されて......これもこれでイイ......ビクンビクン、とまあ多方面に喧嘩を売ってるていうかヤバくなってるし。
幸いよつば達には気が付かれてはないようだけど気づかれるのは時間の問題。ガドラはいいとして、よつばがもしこれに気づいてしまったらいよいよヤバくなってしまうだろう。被害者になるのは俺だけで十分だ。
だけどどうするか......追放、いや俺はマールを見捨てない宣言をしているしなりより悔しいけど俺より役に立ってる!
実力はこの剣持ってるところ見たことないから未知数だし、道案内として必要だし、なんだかんだ仲間内をまとめてくれている。やっぱり必要なんだ。
とりあえずしばらく隠し通す方針で、バレたらその時だ。
◇◇◇◇◇
次回に続く
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