無事に冒険者登録してくれました
「ここから先は私が受付をやります。それでお客様はどうしましたか? 依頼の調達とかは最近平和なもので、数件しかありませんが」
マールさんが受け答えしてくれた。俺のハートはボロボロになっているんで、この行動はほんま助かります。
「僕達はこの子の冒険者登録をしにきたんです。冒険者やってるはずなのに冒険者登録をしていないらしいんです。まさか食べ物の次に大事な事を見落とすとはまだまだですね!」
マールさんの無表情長文煽りだ! (実質的に)初めて出会った時、命よりも大事なぐらい食べ物に粘着してたのを見てたから、言葉の重みガガ......
「へーー。そうなんだ大変でしたな。はいはいお嬢さんの名前はなんで言うのかな? いやその前に聞きたいけど今何歳? まだ幼そうなんだけど本当に13歳以上かな?」
「今年で15になりますわ」
はい一応俺の一個下の年齢っす。そういえば気になってたんだけどマールさんの年齢はいくつなんだろ? まあわりかしどうでもいいか。
「それで何か称号持ってる? 何か持ってないと冒険者登録はしないよ? 最低でも中級は持っておかないと」
「はい上級。魔法使い見習い上級ですの」
受付の人は目を丸くして凄く驚いている。どうやらこの年でこれ持てるのは相当凄いらしい。なら今誇らしげにしているよつばはすごかったのか......?
「ま、まあこれ以上深く掘り下げるきはないです。最後にお名前を教えてくれるかな?」
パレンラトス王国の受付がパレンラトス王国の王族に名前を聞くという、字面だけ見たらどういう状況なんだと思ってしまうと思っちゃうなぁ......
「よつば•パレ、ムグッ......!?」
おっとここでマールがよつばの口を封じるために手を使った! マールさんよ、ここが宮殿じゃなくてよかったな。宮殿でこんなことしてたら即刻不敬罪やで。
よつばはジタバタしているがやがて抵抗をやめた模様。そしてマールさんが何かを言おうとしたその時、受付の人が何かを勘づいたようだ。
「ん? やっぱりどこか......まさか!? かの大葉王の第五子にして王位継承権4位のよつばお嬢様!? まさか、いやこの麗しい風格は間違いない! パレンラトス王国の第二王女様がいらっしゃるぅぅぅ!?」
「あっ。受付の人が自分で答えに辿り着いた」
マールに目を向けてみるとよつばに事実確認を求めている。
「はい? え? ほんとに?」
「本当って何度言ったらわかるんですの?」
その言葉でマールは言葉を失ってしまった模様。うん、でしょうね。
「それよりよつばって第五子だったのか。てっきり第四子なんだと」
「なんでハルトはこんなに冷静なのぉぉぉ!?」
「私は母上の子供だったら4子目ですが、父上は別の人と作っていた。異母兄弟がいるんですわ」
異母兄弟ってさも当然の如く言い放ちやがった。いや王族と庶民じゃ感覚にズレが生じても仕方ないか。でもたびたび宮殿に遊びにいってた俺だけど、そんな奴知らないぞ?
「とりあえず受付さん。この話は他人無言でよろしく頼みますわ」
「は、はヒィ......」
こうしてよつばは無事に冒険者登録をすることができたのでした。これで気兼ねなく占い婆さんの所に行ける。けどその前に......
「後でマールに事情を説明しよう」
◇◇◇◇◇
次回に続く
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