第10話 二十周年企画の打ち合わせ
企画を立ち上げて一か月後。
パソコンでツイッター画面を見ていたら光さんからダイレクトメッセージが届いた。
またもやアンソロジーについての連絡か、と思いメッセージを開くとそれは打ち合わせのお誘いだった。
「原稿の進歩状況どうでしょう?よかったら今度私の部屋でミココさんも呼んでみんなでアンソロジーの打ち合わせしませんか?実際にあってうちに遊びに来るって感じで」
「ええ、光さんの家に?」
僕は思わず声を上げた。
家に行くということは今までのようにオンライン上での打ち合わせではなくリアルで会うということだ。
しかも仲が良くなったとはいえ同じ作品好き同士の繋がりの人の家に行くなんていいのだろうか?
女子大生の部屋に女子である加奈はともかく男の僕が行っていいのか?
「いや、さすがに女性の家に行くのはちょっと」と返すと
「うち一人暮らしのアパートだし、そこは気にしなくていいですよ」と返ってきた。
そういえば光さんは実家暮らしではなく実家は地方で、今の大学に通う為に上京して一人暮らしをしていると言っていた。
「前もモリタさんや喜助くんがうちに来て一緒に「プラネットノース」をプレイしたりもしたんだよ」
すでに以前にも家にプラネットノース繋がり仲間を呼んだりしていたのか。他にもそれをしていた相手がいるのならなんとなく大丈夫な気がしてきた。
「以前二人で秋葉原行った時にゲーム専門店でゲームの二次創作の資料になる本買ったって言ってたからそれも見せてほしいなーと思いまして」
あの秋葉原へ行った日、僕はツイッターにその日購入したプラネットノースの攻略本やその他のレトロゲーム専門店で購入した戦利品をアップしていた。
「せっかくみんなで作るアンソロジーなら表紙とか装丁に他の執筆者の意見も取り入れながら本作りたくてと思いまして。それで実際に集まって話し合うというのがいいかなと思った次第です」
丁寧な口調の光さんのメッセージをじっくりと読み返す。
「本作った経験がない僕が協力になるかどうか……」と僕は自分なんかがそういった協力ができるだろうかと不安になった。
「参加者と直に会って色々と話ながらやりたい作業もあると思うので。ミココさんも誘ってくれませんか?もちろん無理にとはいいませんが」
僕は悩んだ。いくら以前も会ったことがあるとはいえ同じ学校の友達でもない人の家に行っていいのか? ということもあったからだ
「うちで三人で『プラネットノース』しながら語り合いましょうよ。ゲームしながらなんてテレビあるとこじゃないとできないですよね?それならきっと複数人でゲームを実際にプレイすることで新たなインスピレーションが来るかもしれないですよ」
好きなゲームをしながらみんなで語り合う、ということに心が惹かれた。
ただの打ち合わせならば気まずいかもしれないがプラネットノースをプレイしながらだというのだ。
以前からプラネットノースを自分以外の人とも一緒にプレイしたいという願望はあった。
しかしそれは発売がすでに昔のゲームということで同世代にそのゲームを知る者がおらず叶わなかった。
好きなゲームを同じ作品好きな者同士でプレイし合う、それはゲーム実況などで見て憧れていた経験だ。
「わかりました。ミココさんにも聞いてみます」とキーボードに打ち込んだ。
加奈にラインでその件を伝えると「光さんの家でプラネットノースをプレイしながら打ち合わせとか楽しそう」と返ってきた。
「でも僕が女性の部屋とか行っていいのかな」と不安がっていたことを伝えると
「前にもオフ会メンバー呼んでるんでしょ?一人暮らしなら家族にお邪魔とかないだろうし」とのことだ。
加奈がそういうのなら……と思い僕は光さんへ了承の連絡をした。
「待ってます」との光さんの返信で決まり、二人で今度の日曜日に光さんのアパートへ行くことにした。
そして日曜日。光さんのアパートへ行く日だ。
今日の僕は「友人の家に遊びに行く」みたいなノリのファッションというかラフな服装だった。
暑かった夏も終わり、次第に涼しくなっていった秋の服装だ。
僕は手持ちの鞄に光さんに見せようと思っていた資料などを詰めてきた。
加奈は秋色の紅葉を思わせるロングワンピースにショルダーバッグ。秋らしい女子高生ファッションである。
僕らは光さんが教えてくれた駅に集合した。
光さんが住んでいるアパートへは電車を使って駅まで来れば、あとはそこで光さんと合流することになっていた。
スマホで乗り換え情報を見ながら電車で乗り換えをしつつ約一時間、都心から離れた場所で東京都内というよりは別県に接してるギリギリの場所だ。
「ここ、初めて来たなあ」
加奈は初めての駅や町に建物をキョロキョロと見ていた。
「僕もこの町は初めてだ」
駅を出ればそこには住宅街が広がっていた。
秋らしい涼しい風が吹き、その町の人通りはのんびりしていた。
常に人がたくさんいて、人の歩くスピードも速い、そんな忙しい都心とは違う駅だった。
駅の周辺にはスーパーやファーストフード店が並び、都心とはまた違ういかにもホームタウンといった町だった。
のんびりした雰囲気どこか落ち着いた町である。
駅の前にあるコンビニが光さんとの待ち合わせ場所だった。
僕らがそのコンビニの方面へ向かうと待ち合わせ場所に光さんはいた。
「こっちこっち」
光さんは手を振って僕らを誘導してくれた。光さんは今日はお出かけではなく自分の家への案内の為かシャツにパーカーをまとい、パンツスタイルに秋色のシューズを履くという軽装だ。
よく大学生とかこういう服装だよな、と思った。
しかしそんなファッションでもどこか大人の魅力が漂っているのは年上の女性という気がする。
自分の家に人を招待したとはいえ客人に会う為にばっちりメイクはしている。
「今日はよろしくお願いします」と挨拶する。
「二人ともよく来てくれたね。じゃあ行こうか。ここからすぐだからね」
と言われ光さんの家へ行くことになった。
初めて歩く町は道も建物も見慣れない物ばかりで緊張した。
都心から離れた住宅街で賃貸住宅やアパートが多い町だった。
車が時々通り、犬の散歩へ行く人やや遊びに行く子供達などとすれ違い東京都心と違い
この周辺に住む人達がのんびりと行き来している印象だ。
僕の住む家はこことよく似た雰囲気だが決定的な違いはマンションより賃貸のアパートのような物件が多いところだろうか。
都心から離れるほど家賃は安くてそこそこの部屋が借りれるという通りここには一人暮らし用のアパートに学生向けマンションが多いようだ。
ここから数駅のところに光さんが通っている大学があるらしく、大学生が通えるようにこの住宅の周りはアパートや学生マンションが多いらしい。
なのでこの町にはその土地柄で学生が多いそうだ。
「うちはもうちょっと先だからねー」
光さんと歩き始めて約十分後、灰色の外壁のできてまだそんなに年数が経過してないんじゃないかと思うようなおしゃれな外見のアパートにたどり着いた。
三階建てで外は灰色の壁に白枠の窓が見え、立派で鉄筋製だ。
一見立派なマンションにも見える物件である。
アパートにはこんな物件もあるのか、と実家暮らしで知り合いのアパートにあまり行く機会がない僕は将来はこういう場所で一人暮らしもいいかもしれない、と思いにふけった。
「私の部屋はここの二階だから」と言われて三人でアパートの集合玄関の中へ入る。
光さんはオートロックにカードキーを差し込み、中へのドアを開けると、備え付けの階段を上る。
「すごい、なんか立派なとこ……。ここで一人暮らしなさってるんですね」
「都心からは離れちゃうからちょっと交通とかは不便なんですけど、そのかわり部屋の中は広いんですよ。一人暮らしになったら部屋に友達呼んで一緒にゲームするの夢だったからどうしても広くて音が響かない鉄筋製なとこがよかったから。それで都心からは離れるけれど家賃安いとこ探したんです」
三人で階段を上がる。
二階の通路を通り、一番端の部屋のドアの前に来ると、光さんは鞄から鍵を出し、ドアノブに差し込んだ。
「さ、入ってください」
玄関を開けるとフローリングが広がり、すぐにキッチンが目に入る。
アパートの一室は1LDKという感じでキッチンと対する面にユニットバスのドアがありその奥の部屋は8帖くらいの広さで綺麗に片づけられた家具とベッド。
真ん中に折り畳みテーブルがあり、ベッドの横にはデスクとチェアー。
そのデスクの中でも目立つのはデスクトップ型の大きなパソコンと高価な液晶タブレットである、それらを見るといかにもデジタル環境で漫画描いてるという人の部屋だった。
部屋の隅には段ボール箱が重ねてあったがあった。どうやら同人誌の在庫のようだ。
本棚には大学の教科書なのかコンピューター系の本の数々。
ゲームの攻略本からファンタジー世界の衣装や中世ヨーロッパの生活の本など創作に使うのであろうであろう絵の資料と思われる本がたくさんあった
「今お茶入れますから適当にくつろいでてください」
キッチンに行きお茶を出そうとする光さんに「これ、お土産です」と加奈は持ってきた箱入りのクッキーを渡した。
「そんな、気を使わなくてもよかったのに」
「いえいえ。お邪魔させていただきますし」
「じゃあお茶入れるからみんなで食べよっか」
テレビ台は下が棚になっていて三段構造の棚の上にテレビが乗っていた。
棚にはゲーム機がいくつか入っており、プレイする頻度も高いのか『プラネットノース』の箱とそれを遊ぶ為にハードが一番取り出しやすい位置にあった。
パッケージと共にコントローラーも置いてある。
やはりこのゲームが一番好き! というこの部屋の住民の嗜好がよくわかる。
「そこでいつも『プラノス」をプレイしてるんだー。原稿しながらたまに資料の為にゲーム画面つけっぱなしにしたりさ」
お茶の用意ができて部屋に戻てって来た光さんはお盆の上からお茶の入ったカップをテーブルに下しながら言った。
「あー、わかります。僕もそれよくよくやります。絵を描く時とか、ゲームの画面見ながらだとテンション上がるんですよね」
「そうそう。やっぱそのゲームの絵や漫画を描いてる時ってゲーム画面見ながらだとモチベーション保てるっていうか」
ゲーム系の二次創作をしている者にとってはやはり大好きなゲームをプレイしながらというものは筆も乗るものだ。
「けど、ゲームの方にもやっぱやりたくなって時々そっちに集中しちゃうこともあるんですよね」
「わかります。僕もついコントローラー操作する時ありますよ」
絵描きあるあるである。
この会話もまたゲーム愛か。
「ゲームのBGMもじっくり聞きたくてゲーム画面つけっぱなし、なんてこともあるんですよ」
「私も同じことしてました。ピアノでゲームの曲演奏したくて、ずっと同じ画面のままコントローラー操作しなかったり。そうだ!」
光さんの話に加奈が思い出したように何かを鞄から取り出した。
加奈はこの前のゲームショップで買った『プラネットノースオリジナルサウンドトラックCD』を取り出した
「BGMと言えば私今日サントラCM持ってきたんですよ」
「ホントですか!?あのプレミアのCD持ってきてくれたんんですね!いいんですか?大事なものなのに持ち歩いたりして。大事な物だからなくしたら困るんじゃないですか?」
「いえ、もう中身はパソコンに取り込んでおいたので。それに『プラノス」好きの方に聞いてもらえるなら役に立つと思いますし」
「じゃあ後で作業しながら流しましょうか。CDプレイヤーもありますから」
テレビ台の横には小さいながらもスピーカーがあり、そこにはCDプレーヤーもついていた。
お茶が入り、お茶菓子を食べながら僕たちは談笑した
僕がレトロゲーム専門店で買ったゲーム系資料の本を見せ合った。
「すごいですね、この書籍。やっぱこういうの見るとゲームの資料って結構あるんだなーって思います」
光さんは僕が持ってきた資料を読むとそう言った。
「私、大学でコンピューターグラフィックのこと勉強してるんですよ。プラネットノースに出会ってそのグラフフィックやストーリーに感動して。プラノス自体はヒット作ってわけじゃなかったし話題性も薄かったみたいだけどあのグラフィックでストーリーを最大限に演出してるってのが感動しました。それで私もそういうゲームを作る人になりたくて。だからこういう資料すっごく面白いです」
光さんの通っている大学の話を初めて聞いた。そんな専攻の勉強をしているのか。
そういえば知り合ってからまだリアルの生活については聞いたことがない。
あまりネット上にはリアルでの生活のことは書くものではないし、こうして直接会ってるからこそ話せることもたくさんあるものだ、と思った。
よく考えたら家にまで遊びに来ているが先ほど部屋に入る際に表札にも名前は書いてなかったので光さんの本名すら知らないのである。
「光さん、将来はゲーム関係に就きたいんですか? すごいなあ」
「あくまでも夢なんだけどね。そうなれたらいいなー、と思ってそういうことが勉強できる学部の東京方面での大学探して上京したんです」
「ゲームに関する仕事に就きたい、って尊敬します」
「まさにこういう将来を考えさせてくれたプラネットノースはまさに私にとっては運命のゲームなんですよ」
一つのゲームがきっかけで人生を動かされた人もいる。それがまさに僕達が知り合うきっかけにもなったのだ。そう思うとゲームもたかが趣味、とひとくくりにできるものではない。
お茶をしながらの雑談がしばらく続いた。
「じゃあそろそろ作業にかかろっか」
光さんがパソコン画面を立ち上げると僕らはアンソロジーの打ち合わせに入った
「表紙はどんな感じにしようか」「参加者の後書きページはどんな形式にするか」「タイトルロゴはどうしようか」といった装丁の話だ。
「二十周年アンソロジーということでプラネットノースのキャラが成人式みたいな衣装を着てる絵をどこかのページに入れるのはどうでしょう?」
「二十周年ならではの企画としてちょっとしたクイズ方式のページとか作ってみません?」などファンが楽しむ為にはどういったアンソロジーにしようか、など色々アイディアを出しながら打ち合わせは楽しく進んだ。
休憩をはさむ頃、テレビで『プラネットノース』を起動して三人でプレイすることにした
「このゲームのここの敵って実はこの部分を攻撃すると簡単に倒せるって知ってました?」と僕は自分が発見した裏技を見せると「おー」という声が上がった。
「フィールドのこの岩の部分、実は星型になってるって気づいてました?」「本当だ。こんな場所知らなかった」
このゲームについては相当プレイした僕もだが光さんも同人活動をしているほどの『プラノス』好きだけはあって実にこのゲームをやりこんだ経験が豊富だった。
今までに八周はプレイした僕でも顔負けなやりこみようでデータの一つはパーティのパラメータがすべて最大限にまで鍛えられたものもあった。
もちろん僕もそのくらいプレイしたが、実際にそのデータを見せてもらうと、本当にやりこんだファンなのだと実感する。
「この洞窟のここの宝箱の取り方がいつもわかんなくて……」と加奈はまだこのゲームの熟練者とはいえ知らない部分もあったので
「これはこっちから回ってジャンプするとこうやってその場所に行けるんだよ」と光さんと二人で教える。
「あ、本当ですね。知らなかった」またこうやってファンに新たなことを教えることができるのも実際に複数人でゲームをプレイする楽しさだ。
「ニモクの街のここのNPGはHブラスター装備の状態で話しかけると違う反応するんだよー。これ面白いよね」
隠しイベントを見せてくれたり他にはバトルやダンジョン攻略のテクニックのコントローラー操作など直接一緒にいながらでゲームをプレイしないとできないことをする時間は
ますますこのゲームへの愛をどんどん濃くしているようで楽しかった。
加奈が買ったサウンドトラックのCDをスピーカーで流すとそれもまた安らげる時間だ。
「やっぱりサントラいいねえ」
「この第三惑星フォーロのフィールドの曲の後半部分よくない?」など曲が変わるごとにいちいち音楽の感想の言い合いにもなったがこの日は『プラネットノース』が好きな者同士のオフ会とはまた違うやりとりが楽しかった。
小人数でこうやって誰かの家に集まってゲームをするのが楽しい、という子供の頃に経験したことを高校生になった今再びできたのだ。
打ち合わせにゲームも進み、楽しい時間はあっという間だった。
「じゃあ今日はありがとうございました」
秋の日没は早い。夕方になると辺りは暗くなり、光さんはアパートから最寄駅まで僕たちを送ってってくれた。
駅からは電車から降りてこれから家に帰る人々であふれていた。
そして別れ際に挨拶を交わす。
「また連絡しますから。アンソロジー、絶対おもしろいものにしましょうね」
光さんは一日中作業や僕達の相手で疲れていたのではとも思わせない笑顔でそう言った。
それにつられ、「はい、アンソロジー楽しみですね!」と挨拶して光さんが見送る中、僕達は駅に入り帰る。
「なんか、ああやって同じゲーム好きな者同士で集まるっていいね。一緒にゲームしたり、好きなゲームについてとことん語ったりとか」
帰りの電車を待つホームのベンチで僕と加奈は今日の感想を言っていた。
薄暗さに少し冷える秋の空気だ。
僕らは途中の駅までは帰りの路線が同じなこともあり、ホームで電車を待つ間もつい語ってしまった。
「光さんってすごいね。もう将来の進路とかもちゃんと決めてて。漫画描くだけじゃなくてコンピューターの勉強もしてるとか。同人活動もしてて学業もちゃんとやっててやっぱり大人だなあって思う。しかもそれがプラネットノースがきっかけだとか」
「そうだね。僕はまだ全然将来のこととか考えてないや」
「私も。ああやって好きなこと勉強して将来の夢とかに向かって歩けたらいいな、とは思うけど。今は今目の前のことで精いっぱいかな」
「高校生なんてみんなそんなものだと思うよ。きっとそのうちやりたいことも見つかるよ」
僕も将来何をしたいか?といわれれば答えられない。ただ流されるままに生きていてここにたどり着いたという感じだ。
それはどうやら加奈も同じなようだ。
「今しかないから今できることを全力でやりたいね。とりあえずアンソロジー作業、がんばろうね!」
加奈は楽しかった一日の終わりは、今後の先を見据えて寂し気に微笑んだ。
そう。この時はのちにあんなことが起きるなんて思わなかったのだ。
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