第3話 気になるフォロワーさん
翌日、放課後の部室で僕は加奈に聞いた。
「SNS始めてみてしばらく経ったけど調子はどう?」と最近の様子を聞いた。
「すっごくいいよ!ツイッターはいつでもプラノスへの想いを書けるし、イラストSNSも作品を投稿すれば反応来るし。順調だよ!」
加奈はSNSというツールとの相性が良かったらしく今のところとても楽しいようだ。
「私が書いた小説、もう五十人もの人が読んでくれたんだ!って数で目に見えるのがやる気に繋がって」
イラストSNSは作品によっての閲覧数が表示される仕組みだ。
それにより何人のユーザーがその作品を目にしたかがわかるという設定はなんとも書いた人の心を満たしてくれるのだ。
「私が書いたお話をあんなにたくさんの人の目に届いたのかあ。って思うと次々と書きたくなっちゃう!」
毎日のようにプラネットノースの語りなどプラノス関連のツイートをしているのを僕もタイムラインで見ていたからだ。
加奈は「ミンジュナが別の惑星に行く時に仲間達はこんな風に見送ったんじゃないかな」と次々と新しいシチュエーションの小説を投稿していた。
「なんかね、すっごく絵がうまい方と相互フォローになったよ!」
ツイッターに「プラネットノース」で作品を書いてる人のフォローが来たというのだ。
「その方のアカウント見てみたらすっごく上手なプラノスのイラストや漫画がいっぱいあってびっくりしたなー。特に舞台の宇宙をバックにしたメインキャラ集合イラストとかよかった!」
加奈が言ったイラストの特徴に僕はハッとした。最近僕のことをフォローした方ではないだろうか?
「もしかして、それ『光さん』って方?」
僕がその名前を出すと
「えっ!宗助くんも知ってるの?そうそう、その人の作品、すっごく感動して」
どうやら同じ人のようだ。
ネット上とはいえリアルの会話でSNS上の共通の人物の名前が挙がるとはなんとも不思議な気持ちだ。
「その人、二十年も前のゲームでもキャラクターが生き生きした絵や漫画とかたくさんをアップしてててすごいと思った。私ももいつか、そんな風に広大なプラノスの世界観を自分の手でを描き上げたいなあ!」
加奈は憧れの存在を見つけた、とばかりにその口調は軽やかだった。
それは僕も同じ気持ちだったのでよくわかる。
僕も今は一枚絵で完結するイラストを描いてるだけで漫画はたまにしか描かないが「光さん」という方はすでにたくさんの二次創作漫画を描いていた。
それだけ「光さん」という人の作品はすごいのだ。
「こうやって今の時代にも私達以外にもあのゲームを愛してる人がいるんだな、ってことが感じられて嬉しい」
加奈はそう呟いた。
SNSを始めてから実にいろんな人のプラノス語りを日々見ることができた。
昔はただ自分の中だけでしか見ることのできなかった昔のゲームの話題が今はリアルタイムで大勢の人と繋がれることにより
発売から二十年という年月が経過した今でもファンが多いとSNS上で感じさせられた。
「ああいうの見てたらやっぱり私ももっと本格的なストーリーを書きたくなっちゃったな。長編小説とか。今のショートストーリーよりももっと長い連載小説とかやってみようかなあ」
さっそく加奈は次にやりたい目標を見つけていた。
「お?ずいぶんやる気だね」
「あんな絵のうまい人とか見つけちゃったらね。それなら自分そのくらいやらなきゃ!って闘志がわいてくるの」
最初にSNSを見せた時には「私は絵が描けない」と言っていたのに文章を書く楽しさを身に着けた今は今は長編ストーリーを書きたいとまで言っている。
たった数日でずいぶんと考え方が変わったものだ。
「だって、あんなすごいの描いてる人がいるなら自分ももっと頑張らなきゃって思うの」
加奈のその気持ちは僕にもよくわかった。
現に僕も自分の作品を褒められて嬉しいと思ったし、そうやって反応してくれる人や同じく創作活動をしている同士がいたからこそもっと作品をアップしたいと思ったからだ。
「じゃあますますこれからはファンとしての活動、頑張らないとね!」
僕らのいるゲーム研究会という部活は部員が好きなゲームのファンアートや小説、いわゆる二次創作などを作り上げることも立派な活動だった。ようはゲームに関することなのならいいのだ。
それを部活動記録として提出、学年末の部誌に作品を載せることもできるのだ。
僕は自分の画力アップも兼ねて活動としてイラストを描いていたがこの部に入ったばかりの加奈には二次創作の練習がてらオリジナルの小説を書いたり文章力を上げる為に読書に励んだりしていた。
僕はというと最近は持参のタブレットにペンタブで作品を描き上げて部活動記録として一応この部活の在学生の先輩にメールに画像を添付して「こんなの作ったんですけどどうでしょう?」といった具合の文章をつけて送信するなどをしていた。
もちろん最近入部してきた加奈との活動についても知らせたり、やることはたくさんあった。
学校が終わりそれぞれが自宅に帰ると夜や休日はSNSにアップする作品を描き上げてお互いの進歩状況を報告しあったりで毎日充実していた。
ツイッターにゲームの関連ツイートをすればリプライやいいねはつくし、イラストや漫画をアップすればまた感想コメントがもらえた。。
それが何よりの励みとなりますます活力になった。
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