第2話

作者: (ko

編集:nitonei


「どういうことなんだ…」


目の前の状況にとても困惑した。


タクティシャンが猫耳メイドに変身したのだ。


「よくあることだにゃん。と言っても、チュートリアル講習をサボった君だから分からないのも当然。簡単に説明すると────」


よは、外の世界のマイクリプレイヤーたちが売り買いをしているアートをそのヒーローに装着させると姿が変わる。という仕組みらしい。


マイクリをやっているから、その原理は分かるし知っているしすぐ飲み込めるが…実際に目の前にするとなかなか驚くものだな……。


──しかも猫耳メイドで黒髪ツインテールって、なかなかセンスある奴がアート変更したんだな。

そいつとは現実で会うことが出来るなら、仲良くなれそうだ。


「今の説明で分かったかにゃん?そういえば、君の名前をまだ聞いてなかったにゃん。おにゃまえは?」


「あ、ああ。スバルだ」


「えっ。そんなヒーロー存在したかにゃ……?まさか!隠れキャラ?!表には出されず密かに作り上げられた幻キャラにゃのか?!」


目をキラキラ輝かせ、俺のあちこちを見て回るタクティシャ──猫耳メイド。


「でも…幻キャラにしては──」


ニヤニヤした顔で、今にも吹き出しそうな口を手で隠し尻尾をブンブンと振る。


「棒人間ってダサいにゃあ…ぷぷっ」


「棒っ──?!?!」


今こいつ、棒人間って言ったか?

俺の容姿が棒人間だと…?!


とても傷つく……。


もっとマシなアートは無かったのかプレイヤーさんよ。


そもそも、この場所には姿を確認できる鏡が見当たらない。


つまり自分の容姿がよく分からないので、実際に見て確認したい。棒人間であろうと…。


「容姿確認できる鏡とか無いのか?!」

「あー、あるにゃ。案内するにゃん♡」


男だったタクティシャンに『♡』を付けられると、いくら今の姿が猫耳メイドで激カワといえなんかちょっとゾワッとする…。


新たな未開の地が拓けそうだ。


案内されるがまま、歩きつつ周りを見回すと初期アートのマタ・ハリやナポレオンなどがそこらのベンチに座り喋っている。


逆をいえば、亡き人たちがそこに「居る」というのは変な感覚だった。


「着いたにゃん。各ステータスを確認する用だから、ついでに自分のスキルとかステータスも確認しとくといいと思うにゃん」


大きな扉を開け、誰もいない部屋に俺と猫耳メイドは入った。


目の前にある大きな姿見。


全身が映るように、半歩下がったり横に動いたりと調節をした。


すると、テレビのようにゆっくりと画面が表示され始める。


「何ヲ、確認シマスカ?」


機械的な声が空間に響く。


「えっと、俺の今装着されてるアートを確認したい」


「アートノ、確認」


映された姿に俺は戸惑った。


確かに棒人間だった。しかも、絵がかけない奴がよく書くタイプの棒人間……。


頭は綺麗な丸。髪の毛も無い。


えっ、髪の毛も書いてくれなかったの?俺ハゲじゃん。今ものすごくハゲ。惨めな気分だ。


次に手足。


手と足の線が同じ長さであった。


いや、マジで作者をぶっ飛ばしたい。

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MCHのヒーローに仲間入りしたら棒人間だった件 nitonei @nitonei

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