卑弥呼様とSMプレイしたの!?

卑弥呼との配信は正直、不安しかないわけだ。

憤怒するポイントを理解していないため、いきなり地雷を踏む可能性がある。

俺に対して首絞め女王であるから、いくら用心しても足りないのだ。


そんな不安とか関係なく、卑弥呼とのコラボ配信の時間となった。

配信開始のボタンを押して、エドワードとしてのスイッチも同時に入れる。


――――――――――――――――――――――――――――――――



「おはエド。突発の卑弥呼様とのコラボ配信だ~~~。」

大声教である俺は、不安を打ち消すために大声で叫んだ。

大声だけでは心許ないため、胃薬を用意はしているのだが・・・


コメント

:おは豆。

:おは豆。

:おは豆。コラボキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

:おは豆。異色のコラボすぎて草


皆来てくれてありがとう。

恐怖の大王の卑弥呼がいるけど、勇気を振り絞っていつもの流れをするね。

豆いじりの感謝をまた返しているつもりで、届いてくれるといいなといつも思っている。


「豆じゃないって言っているだろうが。まったくよ~」

三流芸人の言葉のキレで内心呆れているが、それでも全力で感謝を返すのが使命だと思っている。


いつものルーティンのおかげかな。

少しは落ち着いた感じがする。

―――豆民まじでありがとうな。


卑弥呼をふと見ると、どのタイミングで入ろうかと悩んでいる。

どうやら、卑弥呼は俺とリスナーとのてぇてぇを壊したくないみたいだ。


「卑弥呼様、すみません。すぐに終わらせるので。」


あまりに長すぎたかと俺は内心焦っている、これが怒り爆発の原因になりそうで、胃がキリキリ痛み始めた。

胃がキリキリしてきた時は、お守りを強く握るに限るわ。


「豆君とリスナーが仲良すぎて入りづらいわ。」

卑弥呼は冗談だと分かるように怒っており、殺意を出していないことは察せられる。

しかし、卑弥呼への恐怖が強くて思わず怯えてしまう。


「あははは、卑弥呼様はお優しいですね。」

乾いた笑いをだしながら、卑弥呼にお世辞を言った。

―――我ながら演技くさいわ。


「えっ、気を使っているの?先輩とかそんなの考えずに話しかけてきてね。」

卑弥呼は、気さくに声をかけてきた。


だが、気を使わなくていいよって上司ほど気を使うべきだと今までの人生で学んだよ。

しかも、最初にそれを言っていた上司にいじめられていたし・・・

お前も、気を使わなかったら遠慮なく首絞めるだろうがよ。



「やっぱり、先輩ですし。敬意は必要ですよ。それに、ひみ民にそのネタ分からない人もいると思いますので。」

俺は、その上司への対応を思い出しながらへこへこと卑弥呼にこびていた。


コメント

:豆、気を使っていて草。

:なんか、ぎくしゃくしているなw

:お互い、距離感を分かっていないみたいだね。


豆民の視点では、理不尽上司に無理やり気を使っているように見えているらしい。

よっし。豆民はエド卑弥呼不仲の説を広めてくれ。



「おはひみ~。みんな元気している?」

ニコニコしながら卑弥呼は挨拶していた。


コメント

:おはひみ~。相変わらずの美声ですね。

:おはひみ~。卑弥呼様、エドワードさんに迷惑かけないでくださいね。

:おはひみ~。いい声だわ~

:おはひみ~。理先輩以外のコラボは珍しいですね。

:おはひみ~。卑弥呼様の声好きだわ。


Vの生放送らしくなく、庇護欲に満ちている敬語コメントが大量に流れている。


しかし、敬語ではないコメントがどさくさに紛れ込んでいるな。

あれ、豆民?

先ほどは、不仲説を疑っていましたよね?

なんで、すぐに受け入れてしまっているの?


確かに、大人ボイスが苦手な俺すらも認めてしまうくらい魅力的だけどさ。

それは違うよね。お前らは狂気を味わっていないから言えるんだからね。


「やっぱり、後輩だから気使うなって言う方が難しいよね。

話は変わって、コラボの話になるけどさ。

我さ、配信のネタが切れたから、どうしようかな~って思ったのよ。

で、昨日アリス談議して盛り上がった豆君とコラボすれば、ネタ切れも解決するじゃん。って思い付いてね。

だから、いきなりコラボ依頼のコメントを送ったんだよね。」


卑弥呼は、女性特有のまとまりがない感じでコラボ経緯を語った。

正直、頭に入っていかない・・・

そもそも何故コラボしようと思ったんだろうか?と疑問が出て来て、無理やりでも集中しようと思った。


「もしコラボしなかったら、我はアリス談議で起こした変態行動をネタにするつもりだったんだよね。それしなくてよかった~。」

微笑みながらしゃべっているが、卑弥呼は脅してきている。

―――卑弥呼の笑いには、コラボを拒否ったらどうなるか分かるよね?と嘲けるという意味合いが強い。

笑いを恐怖させる道具として使い慣れていることには、恐怖感はもちろんある。

しかし、つらい人生を歩んできたのだろうとの想像もさせてしまい、少しだけ可哀想だと思う。

それにしても、コラボしなかったら、毎日、アリスたんで抜いていること(アリス談議)を暴露されるのか。とんでもない脅しだな。


リアルの女性にいつもあなたで抜いていますと答えたら、ドン引きされるでしょう。

さらにセクハラ問題で事務所からコラボNGも十分にあり得る。

バレたら、アリスたんと引き裂かれる可能性が高い。


「ああ~~」

大声教の教祖として最大限の大声で卑弥呼の声を打ち消した。

ここで無理やり切るのは不自然だが、やむを得ない。


コメント

:変態行動!?

:卑弥呼様と何をしたのかよw

:やっぱり、そうだったのか。

:性癖、それぞれだと思うけど。これは引くわ。

:卑弥呼様もそういうの好きそうだもんね。


えっ、豆民たちよ。

お前ら変な勘違いしているよ。

そんなプレイなんてしてませんからね。


とりあえず、話をずらさないと。

「そういえば、なんで僕とコラボしようと思ったんです?

卑弥呼様と合った時に話したいと思ってたんですよね。」

リスナーが気になっている話を引き出して、そのアリスたんで抜いているという話題から逃げようとした。それに俺も気になるから、ちょうどいいわ。



「そう~ね。我に初めての体験をさせてくれたからかな?」

卑弥呼はとんでもないことをさらっと言った。


俺・リスナーもびっくりしすぎて、空気が静まり返っていた。

その静まり返った衝動で豆民は暴れだした。




コメント

:卑弥呼様とSMプレイしたの!?

:卑弥呼様、SMプレイは初めてだったのか!?

:卑弥呼様は、殿方と初めて特別な関係を持ったのですね。

:卑弥呼様も立派な女性になったのですね。


やばいって、リスナーの中で俺が卑弥呼と寝ているという認識になっている。

どうしよう~。マジでやばいんですけど~。

そもそも、卑弥呼は勘違いさせるような言い方をするな。


「初体験ってなんですか?そんなことやっていないですよ。」

俺は卑弥呼の口から初体験の内容を引き出さないと、リスナーたちのはた迷惑な勘違いは止まらない。


「えっ、我を屈服させたのではないか?」

何当たり前のこと聞いているのみたいな感じで卑弥呼は言っている。


屈服させる!?

いやいや、あなたが首を絞めて、屈服させていたでしょうが。

初体験=卑弥呼がMになるという勘違いになるぞ。


コメント

:卑弥呼様がマゾになりますか。やはり、エド様は特別な殿方です。$1万円

:ふつつかな卑弥呼ですが、コラボしてくださいお願いします。$1000円

:ひみ民には、杞憂の民はいません。

:心を許したエドワードさんは、ひみ民として入れます。$1万円

:ひみ民は、卑弥呼様のコラボがいないことに杞憂していて草。

:ひみ民は、恋人より娘としてみているのかな。

:卑弥呼様って、ひみ民のお姫様(アイドルとして期待されていない。)

:ガチ恋勢0人で草


ひみ民も、豆民もとんでもない勘違いを起こして、暴走の収拾がつかない。


どうしようと俺は脳みそをフル回転し、あることに気付いてしまった。


「屈服って、俺のアリスたん愛が打ち勝ったんでしょう。

少し論争みたいな感じになってしまってましたね。」

卑弥呼に俺は諭すように尋ねた。


「うん、そういうことになるのかな。」

少し納得するような感じで卑弥呼は言った。


コメント

:そういうことだったのか。

:びっくりしたわW

:さすがに勘違いだったわW


豆民とひみ民におかしな勘違いされずに済んで、安心した。

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