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ノート2.12 紹介文の長い短いで、評価に差はあるの?

(注意)本作のデータは全て2021年1月19日から20日にかけて取得されたものです。


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「ついに終わったーっ!!」

「うわっ! いきなり変な叫び声を上げないでよ!」


 俺――研究所主任研究員マッドサイエンティスト草薙くさなぎタケルがあまりの嬉しさに思わず雄叫びを上げると、ソファーでくつろぎながらカクヨムの小説を読んでいた研究室助手アシスタントとう景子けいこは、手に持っていたスマホを取り落としそうになっていた。


「ごめん、ケイコちゃん」

「ビックリしたなぁ、もう……。一体何があったの?」

「カクヨム小説 215,590 作品、その全てを使って行っていた単語のベクトル化がついに完了したんだ! これでの解析がついに出来るぞ!!」

「……興奮してるところ悪いんだけど、何がすごいのか全く分からない」

「今まで、『Wikipedia』や『小説家になろう』のデータを使って言語モデルを作った人はいっぱいいるけど、カクヨムの小説本文を使って言語モデルを作った人は聞いたことが無い。恐らくだ」

「え、本当?」

「一部のデータを使ってやった人はいるかもしれないけど、ほぼ全ての小説本文を使ってモデルを構築した人は世界広しと言えども俺だけだ!」

「そ、それはすごい。スケール感が半端ない」

「苦節 10日と19時間。まさかの停電でデータが全て吹き飛ぶという惨事もあったが、ようやく欲したものを手に入れることが出来た……」

「10 日間!?」

「ハッ! 俺の邪気眼が疼いている!! 早く封印を強化せねば!!」

「あのー、タケル君。思い出したように厨二病設定を復活させるのはやめてちょうだい」

「長い眠りから覚めたのだ。もう誰にも止められない!」

「だ、ダメだ。誰かタケル君を止めてーっ!」



「落ち着いた?」

「ちょっと興奮しすぎた。ごめんね」

「ううん、いいの。長い時間をかけたんだもんね。これで小説のネタも確保できたし、良かったじゃない」

「ありがとう」

「『長い』で思い出したんだけど、カクヨム小説における紹介文の長さで、評価って変わるのかしら? この話はまだやってなかったわよね」

「あぁ、そうだな。今すぐにでも人工知能・機械学習編のネタを書きたいところではあるが――まずは懸案事項を片付けるとしよう。

 小説のタイトルやキャッチコピーは、長ければ長いほど評価が上がり、読まれ、応援される傾向にあることを以前の研究ノートで紹介した。『同じようなことが紹介文にも当てはまるのか?』というお題で、今回は分析を進めていこう」

「お願いするわ」

「まずは、紹介文を書いてないグループ、1 文字以上 114 文字未満、そして 114 文字以上 10,000 文字以下の 3 グループに分けた結果を紹介するぞ。

 なぜ 0 文字だけ独立したグループに分けたかは、結果を見て貰えれば納得してくれると思う。なお、114 文字と言う閾値しきいちは、2 つのグループに含まれる作品の数が同じくらいになるよう調整して得られたものだ」

「了解」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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           0 文字:★ 0 0 PV ♡ 0 (31,940作品)

   1 文字以上 114 文字未満:★ 2 33 PV ♡ 2 (91,848作品)

 114 文字以上 10,000 文字以下:★ 4 151 PV ♡ 7 (91,802作品)(※ピーク)

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 合計:215,590作品 (100.00%)

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「0 の 3 コンボ……! これは論外だ……」

「要は、紹介文の無い作品はと判断されてしまうのだろう」

「紹介文の無い作品がある『書き手』の方は、今書こう! すぐに書こう!」

「そうだね、絶対その方がいい。折角時間を割いて書いた小説なのに、誰にも読まれないのは悲しすぎる。

 さて、上の方に目を向けよう。

 小説のタイトルとキャッチコピーの場合、長ければ長いほど評価や PV 数が上がるという結果を得た。紹介文の場合も同じ現象が起こっているね」

「作品全体の中央値が ★ 3 だったから、紹介文が短いってだけで不利なのか」

「統計は『相関関係』は分かるけど『因果関係』までは教えてくれないとは言え、これはケイコちゃんの考えが正しいように思える。この結果は、と言うことを示唆しているね」



「ここからは、紹介文の無い作品は除外して話を進めていこう。

 次に紹介するのは、1 文字以上 10,000 文字以下の作品群を 4 分割して、それぞれ中央値を求めたものだ。それぞれの作品群が同じ数になるよう調整した結果、閾値しきいちは 56 文字、114 文字、そして 207 文字となった」

「『長ければ長いほど良い伝説』は、一体どこまで続くのかな?」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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   1 文字以上 56 文字未満:★ 2 26 PV ♡ 2 (45,240作品)

  56 文字以上 114 文字未満:★ 3 44 PV ♡ 3 (46,608作品)

  114 文字以上 207 文字未満:★ 3 83 PV ♡ 5 (45,923作品)

 207 文字以上 10,000 文字以下:★ 6 303 PV ♡ 12 (45,879作品)(※ピーク)

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「伝説継続中!」

「207 文字未満でも情報量が少なすぎると言うことが見て取れるな」

「PV 数が段違いね。紹介文が短い人は、今すぐ書き直しに行った方がいいんじゃないかしら?」

「まぁまぁ、そう焦るなって。最後まで結果を見てからでも遅くは無い」

「あ、そう……」

「どんどん行くぞ。次は 8 分割の結果だ。閾値しきいちは表を見て確かめてくれ。結果はこうなった」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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    1 文字以上 31 文字未満:★ 2 23 PV ♡ 2 (22,180作品)

   31 文字以上 56 文字未満:★ 2 29 PV ♡ 2 (23,060作品)

   56 文字以上 83 文字未満:★ 3 38 PV ♡ 3 (23,339作品)

   83 文字以上 114 文字未満:★ 3 51 PV ♡ 3 (23,269作品)

  114 文字以上 152 文字未満:★ 3 68 PV ♡ 4 (23,249作品)

  152 文字以上 207 文字未満:★ 3 106 PV ♡ 5 (22,674作品)

  207 文字以上 309 文字未満:★ 5 213 PV ♡ 9 (22,951作品)

 309 文字以上 10,000 文字以下:★ 7 443 PV ♡ 18 (22,928作品)(※ピーク)

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「差が開いていく……」

「そうだな。やはりというか当然というか、短い紹介文は『読み手』に対する訴求力が足りない、と言うことがハッキリしたと思う。

 さて、未だに星や PV 数が上昇中なので、次の表は星や PV 数が 1 番大きい作品群だけに絞った結果を紹介しよう。309 文字以上 10,000 文字以下の作品群を 2 分割したら、各中央値はこうなった」

「どれどれ――」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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  309 文字以上 421 文字未満:★ 6 412 PV ♡ 16 (11,496作品)

 421 文字以上 10,000 文字以下:★ 7 479 PV ♡ 21 (11,432作品)(※ピーク)

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「まだ増えるか! まさかこのまま 10,000 文字まで行っちゃうんじゃないでしょうね?」

「次は 421 文字以上を 2 分割だ。ドーン!」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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 421 文字以上 550 文字未満:★ 7 509 PV ♡ 21 (5,723作品)(※ピーク)

 550 文字以上 10,000 文字以下:★ 7 456 PV ♡ 20 (5,709作品)

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「お、おぉ? ついに上昇が止まった! しかも、PV 数や ♡ は421 文字以上 550 文字未満の方が大きいわ」

「どうやらこの辺りに中央値のピークがありそうだな。詳しく調べるために 421 文字以上 10,000 文字以下を 4 分割した結果が下の表だ――」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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 421 文字以上 472 文字未満:★ 7 501 PV ♡ 20 (2,874作品)

 472 文字以上 550 文字未満:★ 7 521 PV ♡ 22 (2,849作品)

 550 文字以上 711 文字未満:★ 8 529 PV ♡ 26 (2,859作品)

 711 文字以上 10,000 文字以下:★ 6 388 PV ♡ 16 (2,850作品)

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「711 文字以上は明らかに ★ も PV 数も下がったわね。ついに『長ければ長いほど良い伝説』は終焉を迎えたかー……」

「このままどんどん増え続けたらどうしようと思ってたけど、流石にそんなことはなかった。どうやら、紹介文には適切な長さと言うものが存在するらしい。

 最後に、統計的なバラツキが少し大きくなることを覚悟で、421 文字以上 10,000 文字以下を 8 つのグループに分けた結果を見せたいと思う。

 出でよ、最終結果!」


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 統計情報:紹介文の文字数別中央値(2021年1月20日)

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  421 文字以上 445 文字未満:★ 7 485 PV ♡ 18 (1,445作品)

  445 文字以上 472 文字未満:★ 7 520 PV ♡ 21 (1,429作品)

  472 文字以上 505 文字未満:★ 7 508 PV ♡ 20 (1,395作品)

  505 文字以上 550 文字未満:★ 7 537 PV ♡ 25 (1,454作品)

  550 文字以上 613 文字未満:★ 8 500 PV ♡ 26 (1,423作品)

  613 文字以上 711 文字未満:★ 8 550 PV ♡ 27 (1,436作品)(※ピーク)

  711 文字以上 901 文字未満:★ 6 414 PV ♡ 14 (1,430作品)

 901 文字以上 10,000 文字以下:★ 6 373 PV ♡ 17 (1,420作品)

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「おー、これは分かりやすい。紹介文が 700 文字を越えると、『読み手』は目がチカチカして敬遠し始めるのね」

「パソコンの場合だと、紹介文が長ければ長いほど小説のエピソードにたどり着くまでにたくさんスクロールしないといけなくなるから、『読み手』にとってはうざいだけと言うことかも知れないな」

「そんなことも関係するの?」

「人間、意識的にも無意識的にも時間がかかりそうなことはとことん嫌うからな。ちょっとした距離も馬鹿にはならないよ。

 では、今回の結論だ。

 紹介文を書かないのは論外だし、熱心にアピールしようと長すぎるのも逆効果。450 文字から700 文字くらいで紹介文を書くと、『読み手』にストレスを与えずに自分の小説をアピール出来るということが言えるだろう」




「そう言えば、この紹介文の文字数で気になることがあるの」

「なに?」

「空白とか改行ってどう扱われてるの?」

「空白も改行も 1 文字としてカウントされている。例えば、段落の始めにスペースを入れているような場合も 1 文字としてきっちり文字数に含まれているぞ」

「あ、そうなんだ。てっきり無視されているのかと思ってたわ」

「キャッチコピーの研究ノートで、空白を使うことは文字数制限を無駄に消費するだけでもったいないと言ったけど、紹介文は文字数に余裕があるため話が変わってくる。読みやすさを重視して、空白も改行も積極的に使っていった方が俺は良いと思っている。

 例外は冒頭の 89 文字。

 小説の検索結果などで表示される紹介文は冒頭の 89 文字のみで、改行は半角スペースに変換されて 1 文字を消費してしまう。冒頭の 89 文字は改行を使わない方が、より多くの文字で『読み手』にアピール出来るぞ」

「へぇ、そうなんだ。全く気にしたことが無かった……」

「ケイコちゃんは『読み専』だからな。むしろ知ってたら驚きだ」

「ところで、この作品の紹介文はどうなってるの?」

「このエピソードを公開した時点で 1,200 文字丁度だ。冒頭部分は表示を最適化しようと苦心して考えたんだが、長さまでは気が回ってなかったね。まぁ、前からちょっと長いと思っていたので、これを機会に短くするよ」

「タケル君は、難しいことを長く書く天才だもんね」

「うーん、全く褒められてないな!」

「そうだ。最後はタケル君が苦労して書いた紹介文の冒頭 89 文字を見てもらわない? きっと『書き手』の参考になるわ」

「ふむ、じゃぁそうしようかな。分量の参考になれば幸いだ」

「今回の研究ノートを参考に、『書き手』の皆さんは是非紹介文を考え直してみてね。皆さんの小説がより良いものになりますよーにっ!」



2021年1月20日時点のカクヨム『全』小説215,590作品分のデータを使って様々な傾向を調査。これを読めば『書き手』のあなたも『読み専』のあなたもカクヨムマスターになれます。



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 今日の研究ノートまとめ

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 ・紹介文の長さによって評価が変わるか調査

 ・613 文字以上 711 文字未満の紹介文が書いてある作品群が最も★が付き、読まれ、応援されていることが判明

 ・紹介文は短すぎても長すぎてもダメ! 必要十分な説明を 500 文字前後で書いてみよう

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