統計編

1. カクヨム小説の基本

ノート1.1 215,590作品って、どれくらい連載中なの?

(注意)本作のデータは全て2021年1月19日から20日にかけて取得されたものです。


 ――――――――――――――――


「ねぇ、タケル君。21万作品もの作品を一体どこから調べたの?」


 俺――研究所主任研究員マッドサイエンティスト草薙くさなぎタケルが深層学習ディープラーニングのアルゴリズムを一生懸命設定しているとき、研究助手アシスタントで俺の幼馴染みであるとう景子けいこが話しかけてきた。


「そのことか。ちょっと前まではトップからアクセスできる『新着小説』ページから集めてたぞ。ここのページをひたすらめくると、一番最初に公開された作品までさかのぼって全て列挙することが出来てたんだ」


 https://kakuyomu.jp/recent_works


「ちょっと前まで出来てた? じゃぁ、今は違うってこと?」

「そうなんだ。実は最近になって、負荷対策のために500ページ目までしか表示されない仕様に変更されたんだ。501ページ目以降にアクセスしても、何の情報も出てこなくなったのさ……」

「え、じゃぁ古い作品はどうやって探せばいいの?」

「ケイコちゃんみたいなことを思うユーザーが多かったんだろうな。去年の11月におあつらえ向きの機能が実装されたぞ。これだ」


 カクヨムからのお知らせ:『作品検索機能で任意の公開日・更新日を指定して絞り込みができるようにしました』

 https://kakuyomu.jp/info/entry/custom_date_search


「おぉ、これは便利! と言うことは、この検索機能を使ってカクヨムオープンの日から今の日付を指定すれば、全ての作品を見ることが出来るのね」

「ところがどっこい、ここでも500ページ目までしか見られないという仕様は健在」

「あらま」

「まぁ、日付を細かく分割すればいいだけの話だから、さほど問題じゃないけどね」

「なるほど。確かにその通りだわ」



「さて、まずは集めた小説データの基本的な話から始めていくことにしたい。作者の数と小説の執筆状況――連載中か完結済かの統計結果を示すぞ」

「はーい」


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 統計情報:2021年1月20日現在

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 作品数:215,590作品

 作者数:65,202人

 連載中:92,085作品

 完結済:123,505作品

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「6万5千人近くも小説を書いてるのね。単純計算で1人あたり約3.3作品かー。過去のデータ――『カクヨムユーザーの生態~111,402人分のデータを分析してみた』で調べたときは約5万人だったから、随分増えたわ」

「そうそう、過去のデータと言えば……実は、一昨年の12月から去年の2月まで開催されてた前回のカクコンを分析しようと思って、2020年3月28日時点のデータを採ってあったんだった」

「え、その頃からデータを集めてたの?」

「うん。去年は本文の内容などは集めてなかったけど、分析するのに最低限必要な情報――星、PV数、応援数、応援コメント数あたりは全て把握しているぞ。と言うことで、2020年3月28日時点のデータと、2021年1月20日現在におけるデータとの差分を見てみよう」

「はーい」


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 統計情報:2020年3月28日現在

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 作品数       167,455作品

 作者数         53,199人

 連載中    73,460作品 (43.87%)

 完結済    93,995作品 (56.13%)

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 統計情報:約9ヶ月間の差分

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 作品数:+48,135作品

 作者数:+12,003人

 連載中:+18,625作品

 完結済:+29,510作品

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「5万作品近くも増えてる! 作者の数も1万人以上増えてる!!」

「ちなみに、この数字は単純に増加した数ではなく、新規に増えた作品(ユーザー)マイナス非公開もしくは削除された作品(退会したユーザー)の数字であることをここで断っておくぞ」

「連載中と完結済の割合が、9ヶ月経ってるにもかかわらずほとんど同じね」

「そうだな。実は、他の人が公開してくれている2019年3月16日時点のデータ(※)によると、連載中と完結済の割合がそれぞれ55%と45%らしい」

「でも、気になることがある」

「ん? なんだ?」

「さっき、『ほとんど同じ』って言ったけど前言撤回。連載中と完結済の割合だけど、時間が経つにつれて連載中の割合が少なくなっていく傾向に見えるのは気のせいかしら?」

「いや、多分気のせいじゃない」

「これってさ、新規連載の小説数が減ってるってことなのかな? 9ヶ月で1万2千人の新規『書き手』が流れ込んできているけど、新しい小説の公開数という意味ではカクヨムって尻すぼみになってるんじゃないの?」

「それは違うな。確かに、単純な引き算だと完結した作品の数が連載中の作品の数を上回っている。つまり、この現状が続けばその内に連載中の作品が無くなってしまうのではないかと思ったんだろ?」

「えぇ、そうよ」

「そう勘違いしてしまうのも無理はない。連載中の割合が少しずつ減少している理由を説明するために、まずは作品を短編、中編、長編の3グループに分けるぞ」

「そう言えば今まであまり考えたことなかったけど、カクヨムでの短編や長編ってどれくらいの分量を言うのかしら」

「カクヨムが文字数によるカテゴライズについてどう考えているかは、検索機能を見れば一目瞭然だ。


 https://kakuyomu.jp/explore


 短編は20,000文字以下、中編は20,000文字~80,000文字、長編は80,000文字からとなっている」

「あ、本当だ。気がつかなかった」

「ここでは作品数を重複無くカウントするため、20,000文字未満の作品を短編、20,000文字以上80,000文字未満の作品を中編、80,000文字以上の作品を長編と定義するぞ」

「分かったわ」

「では、完結済みの作品について文字数別で作品数を数え上げてみよう」


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 統計情報:文字数別完結済作品数

 比較対象:2020年3月 VS 2021年1月(差分)

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 短編:73,244作品 VS 96,600作品(+23,356作品)

 中編:9,578作品 VS 12,284作品(+2,706作品)

 長編:11,173作品 VS 14,621作品(+3,448作品)

 合計:93,995作品 VS 123,505作品(+29,510作品)

 ――――――――――――――――


「なるほどー、圧倒的に短編の完結数が多いわ。つまり、全体を占める短編の割合がどんどん上がってるのね!」

「正解だ」

「そう言えば、所長が公開してる小説も短編ばっかりだった」

「そうなんだよ。カクヨムは定期的に短編主体のコンテスト――最近だと『カクヨム2020夏物語』や『「5分で読書」短編小説コンテスト』等が開催されているから、その影響は大きいだろうな。少なくとも所長の場合はこれのせいだ。


 もう少し説明を加えておこう。中編と長編だけに注目すると2020年3月から2021年1月の差分は2,706 + 3,448で合計6,154作品だ。一方、連載中の差分は18,625作品であり、これら全てが中編以上に化けると仮定した場合、どんどん長期連載作品が増えていると解釈できるぞ」

「カクヨムはまだまだ拡大を続けてるってことかぁ。なんだか嬉しいなー」

「もちろん今の仮定は非現実的で、実際はエタったりして――」

「だあああぁぁ! 折角ポジティブな結論で締められたのに、言っちゃうかなそれを!!」

「ごめんなさいっ!」



 ――――――――――――――――

 今日の研究ノートまとめ

 ――――――――――――――――

 ・9ヶ月間でカクヨムに公開されている小説が約48,000作品増加

 ・215,590作品の連載中と完結済作品の内訳を文字数別にカウント

 ・その結果、短編かつ完結済の作品が最も増えていることが分かった

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(※)ソース:『カクヨムを『ゆっくり』データ分析してみた。(お試し版)』(小説家になろう)

 https://ncode.syosetu.com/n2645fk/3/

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