第86話 希望の丘 ⑤
距離を取っているので一度の跳躍で飛び込まれはしなかったものの、先頭は約10メートルの距離まで肉薄している。
接近と同時に、眉間を強く
4匹の赤玉が倒れる。続いて跳弾で遅れて3匹。半分を削って残るは7体。
優が銀の弾丸を使用し、2体の脳天を貫いて絶命させる。
更に貫通した弾丸の一発が、後ろの赤玉の左半身を吹き飛ばした。
「あと4体!」
優が叫ぶと、別の1体を倒した八木が「3体だ!」と叫ぶ。
すかさず恭平が2体を倒し、飛び掛かってきた残り一匹をボウガンで叩き落す。
「第二波が8体!」
「もう6体追加だ!」
流石に対処が間に合わない。恭平は床に置かれた閃光弾を赤玉の着地点に蹴り出す。
「目を
「はっ、はい!」
着地していた赤玉は硬直し、着地前の赤玉は飛んだままの姿勢で地面に上半身を擦り付けてバウンドする。
「下がらずこのまま攻撃する!」
恭平はボウガンを連打。
一拍遅れて優が参戦。
八木は閃光弾の光を見てしまったようで、眼尻を押さえながらやみくもに銃を撃つ。それでも彼の弾丸は跳弾の効果で赤玉を打ち抜いた。
「よし、赤玉は倒した。後衛が来るぞ!」
「言われなくても見えてるっ!」
正面だけで案山子がおよそ80体。別方向からは
「八木さんと
「はい!」
「手榴弾を。起爆は任せる」
「えっ、は、はい!」
凜から手榴弾を受け取り、正面へ転がす。正面は八木と優に任せて素早く気球を打ち落とし、地上の敵を処理する。
正面で爆発が起こる。少し早いが、いい位置での起爆だ。
全てを倒し、正面にボウガンを戻したときには七割以上の敵が倒れた後だった
状況によっては後退を指示するつもりだったのだが――、
「悪いな、食い散らかした後で」
「私達、正確な射撃は無理だからね? もう指、めちゃくちゃ痛いし」
「……
ボウガンを構える。ボスの予兆は無い。
近くに居ないのなら、派手にスキルを使って無駄に呼び寄せる必要はない。
二人のおかげで、一発二発で敵がバタバタと倒れていった。
「スキルも使わないでそれって、やっぱり格が違うな」
「みんなのおかげだって」
五分と掛からず、敵のせん
遅れてきた木偶も、一瞬で頭を吹き飛ばして片が付いた。
これではっきりとした。並のラッシュではこのチームを崩す事は出来ない。
まぐれでも何でもない。ボス級が居なければスキルの温存さえ可能だ。
「行こう!」
東京タワーは周囲から少し高い位置にある。少し長い緩やかな右曲がりの坂を登れば、東京タワーの
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