第84話 希望の丘 ③
「
「あのキモイ内臓で
「おい!」
「冗談。ちゃんと打ち抜くから」
「あ˝あ˝あ˝ァァァ!」
案山子が空中で
首を絞めている
のた打ち回る敵に攻撃を収拾させるのは中々骨が折れる。
そうして四本目の矢が着弾すると、案山子は遂に体を
「よし!」
「デュップ」
案山子が死んだ瞬間、気球は腸紐を鞭のようにしならせて案山子の死体を恭平達に向かって
「みんな避けて!」
恭平が声をかけるまでもなく、各々が死体を避ける為に飛び退く。
僅かに逃げ遅れた
「あっ、ありがと!」
「敵から目を離しちゃだめだよ」
恭平は避けながらも気球の次の行動に備える。
腸のリーチは8メートルほどか。周囲に掴むものが無いと見るや、腸をズリズリと球体の中へ
次の瞬間、まるで見えない地面を転がるように空中を滑り、気球が加速。
「不味い。撃って!」
「言われなくても」
「撃つでしょ、そりゃ」
気球はものの2秒で勢いを失って、べちゃりと地面に落ちて潰れた。
「予想はしてたけど、ちょっと焦ったな」
「ライフが低くて良かった」
分かったのは、敵を掴んでいないときの方が厄介という事だ。
「こいつが敵を吊ってる場合は、先に倒した方がいい」
「
「それにしても、ひっどい臭い……」
優が鼻を摘まむ。
汚物の上に塩素をぶちまけたような悪臭を放つ
「行こう。これからは頭上にも注意しないと」
「了解」
この気球は恐らく、ビルの隙間など見晴らしが悪い場所で生存者を待ち構えているに違いない。広い通りに浮いているだけなら、目立ちすぎる。
このチームなので数秒で撃破できたが、これが開始早々のレベルが低いタイミングで現れると
渋谷交差点の化け物配置といい、いちいち
とはいえ、もう目的地は目と鼻の先だ。
恭平達は順調に敵を処理しつつ前進、都道319号へ入ると
「徐々に見えてくるかと思ったら、意外とバッチリ全体が見えるもんなんだな」
「それだけ大きいって事だよね。なんだかホッとした」
「早く行きましょうよ」
通りの視界は良好。
散発的に複数体の敵がたむろしているが、今の恭平達なら手堅く行けば対処できる範囲だ。
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