第77話 雲集霧散 ⑯
全方位から向かってくる敵に対処するには、こちらも
となれば、東京に候補は二つだけだが、スカイツリーは徒歩の移動距離を考えると現実的ではない。
「東京タワーなら、階段下から登ってくる敵を撃つだけでいいから戦闘経験や
「背水の陣ってやつ?」
「まずはタワーのメインデッキに立て
「防衛線を区切るって事ね。そんなに上手く行く?」
「24時間死守できないと判断したら、俺はデッキから身を投げる」
「自殺してやり直す気? ……納得はしたくないけど」
タワーなら明確な作戦の失敗ラインを引きやすい上に、死ぬには都合の良い条件が
「タワーには他の生存者も集まってる
「俺なんか言ったっけ?」
「
「んん、そうなのか? だけどさ、俺達は
「皆が即戦力になる。いや、即戦力にする」
皆の頭に疑問符が浮かぶのが分かった。
ここからが重要なポイントだ。
「
ここまで話したところで、
「作戦前にタワーに居る全員とチームを組んでれば、その爆撃で一気にレベルアップする。そういう事でしょ?」
「その通り。WAVEにはボス級も含まれてる筈だから、その実績も上乗せされる」
「なるほどな! 大量の敵が襲ってくるのを、逆手に取るって事か!」
「いけそう、だね」
皆の表情にも希望の色が灯る。
「そうと決まれば、さっさと行こうぜ。東京タワー」
◆◆◆
「うわ。本当にどんどん死んでく。楽勝じゃないか?」
「調子乗り過ぎ。楽で助かるけど上手く行きすぎて怖い」
「警戒は怠らないようにしよう」
パワーレベリングの影響は大きかった。
今まで後方で
故に
「ずっと思ってたけど、それって何の意味があるんだ?」
「放置した死体は、
「倒した敵が復活するのか」
「防ぐ為って言ったけど、これで阻止できるかは分からない。確認するのを忘れてた」
丁度いい確認の機会に恵まれなかった事も原因の一つだ。
なまじレベルや実績の補正で攻撃力が上がっている今、赤玉が妙な行動をする前に倒してしまう。
「銃で撃っても効果あると思うか?」
「分からない。
「その話は初耳だけど!?」
皆の視線が一斉に恭平へと向く。一応に驚いた表情だ。
「今回は言ってなかったっけ?」
「重要な事は先に言ってよね!」
想像してしまったのか、優が自分の肩をさすりながら恭平を
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