第73話 雲集霧散 ⑫
「もうすぐ霧が出る。皆はここで待ってて。もし霧が晴れても外には出ないように」
「安置が切れたら?」
「敵は大通りに引き付けられてる筈だから、多分大丈夫。もしも
「一匹ぐらい倒して見せる。任せとけ」
「ありがとう」
霧が発生する条件は
加えて霧が発生する前に倒した敵の死体は、霧の発生後に一定時間で別の敵として再生する。
勿論、全てが死体から出現する訳ではないが、大まかな敵の位置を霧が出る前に調節する事が可能という事だ。
木偶と違って酸は飛ばしてこないが、影が見えた瞬間には回避していないと体をいびつな針のような突起で串刺しにされる。
意外と殺傷力は半端に低く、当たり所が悪いと死ぬまでに何度か串刺しにされることになる。
ついでとばかりに回転時の音で他の敵を引き連れて来る上、木偶の耐久力は健在。
絶対に触りたくない敵だ。
だが、もう引っかからない。
6回。……6回かけて珊瑚の位置を全て把握した。
大通りに入って右方向35メートル。それと左奥80メートル、更にその奥30メートルの3カ所。
それだけ注意すればいい。
シビアな行動制限に加えて、ハンマーヘッドは射程不明の真空波を仕掛けて来る。
仲間を引き連れてのボス攻略は不可能だ。
「18回目だっけ。そろそろ『
この後の為に、起死回生はここで使う訳にはいかない。
携帯を見る。実績欄には、17回前に取得した実績『
効果は『敵との距離が近ければ近いほど武器の威力が増加。武器による
完全に接近用の能力ではあるが、不意打ちで接近された場合に役に立つ。
このダメージも確認済みだ。
30メートルを
美和子が刀を持っていれば、と思わずにはいられない。
霧が出始めた。辺りが閉ざされて、音が鳴った瞬間に戦いは始まる。
ヒタッ……。
最初の一音を正確に拾い、まずは本体ではなく右方向に矢を5連。
残る一発は地面に射出してリロードしながら左に大きく一歩動く。
呼吸をすると同時に、
続いて、後方から向かってきている筈の
『ピィ、ピッ……』
アイスアローで咲いた氷の花が、海牛の粘液射出を妨害した。
頭でスキル再使用までのカウントを数えながら矢を射出。
その間も、ワルツのように体を左右に振って真空波を
攻撃は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます