第51話 セカンドコンタクト ④
「予想だと、
「どうして私が?」
「分からない。でも何かのきっかけで『
「それが繰り返しを起こしてるスキルなの?」
「多分。その後、俺が殺したせいでスキルが移動した。そういう風に継承されるタイプの実績なんだと思う」
屋上で死を目前にした彼女が口にした言葉。
聞き取れなかったが、あの口元は『あとはおねがい』と言っていたのではないだろうか。
そうすると、彼女も何処かで『探究者』を持つ生存者を殺したのだろうか。
その疑問は口に出さず胸の内に
「初めて会った時、浜辺さんは俺の事を『最強の
「私が? 剣道部だけど、流石にそんなこと」
「何度も繰り返して知っていたなら
「どうして私が見ず知らずの君を探す必要があるの?」
直球で核心を突く質問だ。
記憶を失う前の彼女は何をしたかったのか。
「他に頼れる生存者がいなかったんだと思う。ボス級の敵が湧く渋谷交差点の周囲は、
「……そっか。残ってる生存者は、より長く生き延びてるってことね」
恐らく、
最強の芋砂という呼び方から察するに、単独行動で上手く生き延びていたのだろう。
そう考えると、
二人も個々で長時間生き残る術を持っている筈だ。
「難しいわね。生き延びれば生き延びるほど、巻き戻った時の状況が厳しくなる」
「記憶と各種ステータスは引き継がれる。でも、一人で出来る事は限られてる。出来れば、あの二人とも合流したい」
「場所が分かればね」
「面白い話をしてるな」
入口に目をやると、乱れた銀髪に一発で伊達と分かる
ガラス扉の外には複数の敵が群がっている。
彼は息も絶え絶えに、頭を少し下げる。
「わるい。逃げるのに必死で、連れてきちゃったよ。君らの姿を見て、鍵が開いている所がここしかなくてさ」
「大丈夫ですよ。後20分は入ってこれないですから」
「どうしてわかるんだ?」
「どうしてか、と言われると、そういうルールになってるから、としか」
「ふぅん? 休めるなら、いいか」
そう言って、彼は上着を脱いで座り込む。シャツはべっとりと汗でぬれていた。
それなりの距離を全力で逃げてきたのだろう。
そんな彼に、水のペットボトルを持っていく。
「店の商品だろ?」
「もう売る人はいないですよ」
「確かに……そうみたいだな」
彼は周りを見回してから意外とすんなり水を受け取り、口に運ぶ。
サイズの合わないスーツで遠目には分からなかったが、かなり引き
髪の色のせいか、真っ当な仕事をしているようには見えない。
「スポーツ、何かしてるんですか?」
「いやいや。大学はラグビーをしてたけどさ。最近はジョギングするぐらいで、こんなことならジムに行っとくべきだった」
少し元気を取り戻したのか、彼は棚のチョコレート菓子を無造作に引き寄せて封を開け、口に頬張った。
「この状況じゃ商談どころじゃない。あぁもう、今週契約取れないと不味いのに。最悪だ」
そう言いながら、彼は腰のベルトに挟んでいた拳銃を無造作に取り出した。
恭平はぎょっとして、一歩下がる。
「ああ、悪い。驚かせて。刑事ドラマだとここに入れてたから。変だよな、携帯がいきなり銃になって、頭がおかしく――」
「この人、……生存者だ」
「生存者? 見ての通り生きてるけど?」
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