第46話 起死回生 ⑧
背筋が寒くなり、嫌な汗が
爆発に巻き込んで殺してしまうのは、
しかし、今の状況は違う。
逃げる為に人の上を進めば進むだけ、自らの手で殺す事になる。
「あ˝あ˝あ˝あ˝あああああああああああああ! でもやるしかないだろ!」
空に向かって
そう宣言しないと、自分に言い聞かせないと次の一歩が出なかった。
足を踏み出すたびに、嫌な感触が足を伝わってくる。
極力見ないようにしたいが、そんなことをすればバランスを崩して倒れ、更なる
必然的に足元を見続けなければならない。
ある程度進んだところで、ボウガンを構えて人混みに混ざった
実際、爆風の即死圏内が何メートルの範囲かまでは分からないが、もう一度死んでまで正確に調べる気はない。こんな思いをするのは一度で十分だ。
大丈夫、渡り切れる。
じっくり時間をかけて五発で人混みを渡り切り、ようやく地面に降り立つ。
そして、残る一発で出来るだけ中心部から距離を稼ぐ。
案山子や
25メートル、まだ解除されない。
26、27……。
解除を知らせる爆発の衝撃波と
「うっ」
口の中に血の味が広がる。そこかしこで悲鳴と苦痛の
なるほど、本当に死なないギリギリのラインで解除されるらしい。
悠長に寝てはいられない。咳き込みながら、地面から体を引きはがす。
周りを見ると、数体の案山子が立ち上がるところだった。
それなりにダメージを負っているようだが痛みとは無縁らしい。
ねじ曲がったり欠損した腕や足をもろともせず、恭平に狙いを定めて向かってくる。
こんなところで死ねるか。
大通りに背を向けて走り出す。狙うのは進行方向の案山子のみ。
ここで一体一体を相手にしている
なぜなら――、
『ギリリリリリリリリリ』
大通りの方から、巨大な何かが障害物を跳ねのけながら迫ってくる嫌な音が聞こえる。
後ろを見ずとも何が追いかけてくるのか分かる。
追ってくるのは奴らだけではない。
爆風の範囲に居た敵と、ヘイト圏内に居た敵は漏れなく向かってくるはずだ。
アイスアロー、ファイアアロー、ショックアローの再使用迄は約35秒。
スキルのクールタイムはレベルを上げてもあまり変わらないらしい。
しかし、今はどうでもいい事だ。この状況の対処法は既に考えてある。
一階がカフェになっている建物めがけて走る。
敵はほぼ無視で、武器を携帯に戻して扉にかざす。
前回と違い、ポイントが支払われる音と共に自動扉が開いた。
ボス級を何度も倒したおかげでポイントが有り余っている。これも巻き戻りで消失せず蓄積されていたのだ。
進入しようとしてきた案山子にボウガンの矢を浴びせ、蹴り出す。
扉が閉まると、一拍遅れて大群が押し寄せてくる。
だが当然、安置となったカフェの中には入れない。
「ざまぁみろ!」
恭平は力の限り、目の前の化け物達に向かって
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます