第34話 Must Die ⑥
「いや待てよ……」
別に
最終的に皆、彼女の元に集まる筈だ。仮にそうならなくとも、手掛かりにはなる。
順番に皆の名前を調べていく。
最後に
「出た!」
彼女の反応が西の方角に出た。
だが、彼女もバケモノから逃げているのか索敵範囲外に向かっている。検索機能の探知範囲はマップの半分、およそ500メートル。
逃げている方向が分かればこっちのものだ。
痛みも引いてきた。
知り合いを見つけた事で、体に活力が戻った気がする。
問題はこの方角、人が密集している渋谷交差点の近くを横断しなければならない。
今までの例からすると大量の
仮にボスが居なくとも、多数の案山子を1人で相手にするのは不可能だ。
しかし大回りしている
今なら他の参加者に敵のヘイトが向いている可能性もある。今はそれを信じて走る。
大通りの
広がるのは血の海と、人だったものの破片が積み重なって出来た不格好なオブジェ。
通り全体を神殿に見立てる様に、異形達は殺した人々を特定の場所に積み上げ、
比較的人の形を残した死体の表面が、みるみる
――やっぱり、殺されるとゾンビみたいに増えるんだな。
積み上げられた死体は、案山子の生産工場だ。
大通りに敵が多いのはこういう理由らしい。
居るのは雑魚の案山子だけではない。俺を一瞬で殺した青白い手のバケモノや
特に禍々しい空気を発しているのは、通りの中央に居座った四メール近い、カビのような緑の
肉塊と表現したのは、胴体らしき部分が見当たらなかったからだ。
そいつは楕円の体の地面に接する部分から、ゴキブリに似た節くれだった何百本もの足を生やし、高速で動かして移動している。
今はその巨体に見合う
ここを横断するのは無理だと即座に判断し、
「あんなの絶対無理だろ!」
走りながら後ろを振り返る。
想像できる中で最悪の
どうやら視界に入る全ての敵を引き付けたらしい。
初速の早い赤玉を筆頭に、周囲の案山子の頭部を無数の青い腕で握り締めながら突撃してくるバケモノ、その後ろには例の緑の肉団子が続く。
もう終わりだとわかっていても、はいそうですかと止まって死ぬほど
全力で走り、赤玉の飛びつきや伸びる青い腕を交わしながら近くの建物へ。
気休め程度の安置でも、この数ならば二階から侵入できる敵の数は知れている。
赤玉の処理さえ間違わなければ
エントランスの扉に飛びつき、武器をスマートフォンに戻して
『ポイントが足りません』
「へ?」
間抜けな声を上げながら、
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