第33話 Must Die ⑤
まずは
路地を飛び出し、二体の
行くべきは
人通りの多い場所がベストだろう。
彼女たちは
ゲームが始まってから出会い、集結した。
あの短時間で集まったという事は、人通りの多い場所に居る可能性が高い。
「あんまり敵の多い所に行きたくないんだけどな」
検索する為には武器をスマートフォンに戻さなければならない。
しかし、通りが大きい場所は当然敵も多いので、検索出来るタイミングは限られる。
敵の処理に時間を取られれば、彼女達が移動してしまう可能性がある。
「時間と、場所が大切だな。しっかりやらないと
見つけるまで死に続ける気か、俺は。
苦い笑みが口元に浮かぶ。
まずは渋谷交差点の方へと走る。時間はかけていられない。
逃げ惑う人達をかき分けて進む。
通りを曲がるたびに
恭平に気づいていない敵は無視し、向かってくる敵には矢を見舞う。
レベルのおかげか、この数ならまだ
「近くにいな――」
後頭部に衝撃。
「あ˝あ˝あ˝ァァァ!」という聞き慣れた案山子の声を背中に受けながら視界が暗転した。
―
先程、鈍痛を感じた頭を
『2022年6月17日 9時36分』
もう間違いない。
今までのは予知夢などではなかった。
何故だか理由は分からないが、自分は死ぬ度にこの1日を繰り返している。
先程よりも少し時間が巻き戻っている。
死んで元に戻る時間にランダム性があるのだろうか。
今はどっちでもいい。
浜辺美和子を探すのが先決だ。答えは彼女が知っている気がする。
当然、出来るだけ死なないように。
死ぬ時の感覚は嫌になるくらい体に残っているし、何度復活できるかもわからない。
もしかしたら、次は本当に死ぬかもしれない。
「前回死んだ近くで比較的安全な場所で再スタート……。これだ」
敵が出現してからでは移動が大幅に制限される。
先程、敵を倒しながら進んだルートを駆ける。
アプリが今使えればいいのだが、タップしてもカウントダウンが表示されるばかり。
やはり時間にならなければ全機能を使えない。
「よし、この辺でいいか。いいよな?」
言い聞かせるようにして、少し人通りの多い場所で開始時刻を待つ。
『五秒前、よん、さん、にー』
カウントがゼロを
「フッ!?」
思い切り背中から地面に倒れる。
間髪入れず、自分の頭があった位置を灰色の手が通過した。
カウントダウン終了と同時に、目の前に
間一髪、
着弾と同時に、強烈な衝撃が体を
「あっ、がぁっ……」
近距離では自分にもダメージがあるのを失念していた。
目を白黒させながら転がり、アイスアローとファイアアローを一気に使って敵を粉々にする。
オーバーキル
倒れたまま、起き上がりもせず武器をスマートフォンに戻し、
しかし、検索範囲内に彼女の名前はない。
起き上がろうとして足がもつれて再び地面に倒れる。
ショックアローの反動がまだ尾を引いている。
逃げ惑う人々の悲鳴が耳を打つ。
彼女はいったいどこにいるのだろうか。
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