第5話 瀏士と由津葉

ある日の夜。


ふと目を覚ます私。




≪あっ…そうか…私…昨日…≫




仕事で疲れて帰ってからすぐにベットに横になっていた。


気付けばそのまま眠っていた。




ムニュ


私の手に何かが当たったような気がした。



ビクッ




≪な、何?何か今…手に…≫



電気をつける私。



ドキッ


「…瀏…」

「んー」



目を覚ます瀏士。




「瀏士…何して…」

「何してって…由津葉…不用心」

「えっ?」

「鍵開けっ放し」

「鍵?あっ!」


「全く、何してんだよ!女一人暮らしなんだから気を付けろよ!」


「ごめん……昨日、疲れてたから……」


「俺だったから良かったものの知らない人だったら由津葉大変だったかもしれない」


「そうだね…ありがとう」


「じゃあ、俺は部屋に戻るから」


「うん……」



瀏士は私の部屋を後に出て行った。





ある日の事。



「街はすっかりクリスマス…今年のイブはシングルベル…瀏士と過ごせる訳でもないし言えない」




イブの夜、仕事が終わり帰っている途中、瀏士が女の人といる所を見掛けた。



「瀏士…」



その日の夜、瀏士は帰って来る事はなかった。




数日後。


「由津葉ちゃん、今年最後の合コンに付き合って。全て相手持ちらしいから一切手出し無し」



先輩が誘ってきた。



「そうなんですね…でも…私…好きな人いるし…」


「じゃあ、面倒見るから飲んで弾けましょう!」


「先輩…」


「ねっ!」




私は参加をした。




≪何故、今日もイケメン揃い?≫



合コンも中盤をむかえ私は既に酔っていた。




≪ヤバイ…瀏士の事もあったからボーッとしてきた≫




しばらくして、合コンもお開きとなった。




「由津葉ちゃん大丈夫?」

「…先…輩…?はい…」

「送ろうか?」

「いいえ…大丈夫です」



フラフラする体を支えながら店を出始める。




「由津葉ちゃん、送るわ」



私は送ってもらうタクシーの車内。



「何かあったの?」

「…好きな人…いるって言ったじゃないですか」

「ええ。そう言っていたわね。彼がどうかしたの?」


「彼…隣人で女好きで初めて会った時から、彼は女癖悪くて良く女の人連れ込んでは毎晩のように関係持っている人だったんです」


「そうなの」


「はい……自分の想いに気付いた時は既に遅くって、女好きで一人を愛せないって分かっていても彼への想いは止めれなくて……告白しても返事は、駄目で…結局、私の想いは一方通行で……忘れたくても忘れられないんです」



「…由津葉ちゃん…」


「私が彼を見つめても彼は見つめてくれない…彼の心に私はいないんです…彼だけを愛しても彼は私だけを愛してくれない……」




そして部屋に着く私達。




「由津葉ちゃん…鍵は?」

「バックの中に…」



ガチャ

隣の部屋の玄関が開く。


瀏士の部屋だ。



「あ、ごめんなさい騒々しくて」


「いいえ」


と、瀏士は部屋に戻るがドアを全部閉める事なく少し隙間を開けていた。



「由津葉ちゃん鍵見当たらないわよ」

「えっ?そんなはずはないですよ。いつもバックに入っているんですから」



しかし見付からず――――



「良かったら部屋に入りますか?お隣さん」


「大丈夫です。気にしないで下さい。すぐに見付からないだけですから」と、私。


「……時間のロスだと思いますけど、日山 由津葉さん」


「えっ?」と、先輩。


「……瀏士には…関係ないでしょう?」



≪まさか由津葉ちゃんの好きな人…?≫



「…意地張ってねーで、俺の部屋にいろ!すみません、ちょっと待ってて下さい。失礼します」



私の手を掴み部屋に押し込む様に入れた。



「鍵、見付かったら部屋に戻れば良い事だろっ!」



「…………」



「ちょ、ちょっと!待っ…」




キスされた。



「すぐ戻って来る。俺、彼女、送って来るから大人しくしてろ!」


「瀏…」


「なっ!」



頭をポンとすると私を部屋に残し出て行く。




本当に戻って来る?


ねえ瀏士…























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