第3話 合コンで

それから数カ月が過ぎ、私の隣人は相変わらずで女性の連れ込みが激しい。




ある日の事。



「由津葉ちゃん」


と、嵯山 由紀絵(さやま ゆきえ)さん。27歳。


職場の先輩。




「あっ!先輩お疲れ様です!」

「お疲れ様。ちょっと、付き合ってくれない?」

「えっ?」

「イイ男呼んでるから」

「…イイ…男…?…あの…それって間違いなく合コンってやつですよね?」


「ピンポーン!」

「いや……私……行きませんよ」

「駄ー目ー!年齢層幅広いんだけど、由津葉ちゃん位の良い年齢いなくて」



そして私は仕方なく参加する事にした。


しかしそこには……




「あっ!」



偶然にも見覚えのある顔。


隣人の彼・瀏士君だ。


席も前席となり、お互い他人行儀で接する。




≪ていうか19歳じゃなかったっけ?≫



そしてしばらくして盛り上がる中、私にウーロン茶を出す人影。


正直、酔っていたから助かった。



「大丈夫ですか?」


瀏士君だ。



「このまま他の人に、お持ち帰りされるよりも抜けたもん勝ち!行こうぜ!」

「えっ?ちょっと……私、先輩と来てるんだけど……」

「先輩には後で謝れよ!」

「えっ?」


「みんな自分の事が可愛いって思ってる奴等ばっかで良い雰囲気ばっかじゃん。既に帰っている奴もいるんだし」


「そうだったんだ…あっ!それより瀏士、19じゃなかったっけ?」

「もう20歳なったし!だけど、ノンアルコールしか飲んでねーから」

「お酒飲めないの?」

「飲まなかったの」


「えっ?せっかくの楽しい場なのに?」

「あんたを連れ出す為、飲まなかったんだよ」




ドキッ


「えっ?」

「運良く前の席になったし」

「ていうか…まさか私の体目的じゃないでしょうね」


「ないから!」

「嘘だ!」

「本当だし!でも由津葉ちゃんが相手してくれるなら大サービスするよ~♪」

「やだ!変な魔法がかかるから!」

「へ、変な魔法?」

「大体、瀏士のキス上手すぎて頭おかしくなる!」



「へぇー…じゃあ…いつでもその気にさせられそう」


「えっ?」


「由津葉ちゃん敏感そうだもんね~」




キスされた。



「ちょ、ちょっと……ここ外……」

「関係ないから。このままホテル行く?」

「あのねー」



私達は騒ぎつつも帰る事にした。





次の日の休日の朝。



「あっ!おはよう瀏士君」

「おはようございます。今日は、くん付け?」

「えっ?」

「昨日は瀏士って呼んでいたから」

「そう?お酒入っていたからかな?」


「せっかくだし呼び捨てでどうぞ」

「気が向いたらね。瀏士く・ん」

「そうですか?」

「そうです。あっ!ねえ、昨日抜け出したのは良いけど気になる子とかいなかったの?」


「いた」

「嘘っ!? それなのに私と抜け出して良かったの?せっかくのチャンスだったんじゃ」

「全然、平気っ!だって気になる子、今、目の前にいる女性だから」

「えっ?目の前にいる?」



グイッと引き寄せられキスされた。


ドキッ




「なーんて」

「えっ!?」

「ちょっと期待した?ドキッとした?」

「し、してません!」

「またまた~」



私達は騒ぐ中、お互い出掛けた。




数日後、私は頭数合わせの合コンに参加。



「先輩、今日も相変わらずイケメン揃いなんですね」


「そうでしょう?」

「どうやって知り合うんですか?」

「さあ?私も、数合わせの合コンだから」




合コンも中盤を過ぎた頃。




≪ヤバイ……飲みすぎたかも……≫



「大丈夫?由津葉ちゃん」


と、合コン相手の一人。



「あ、はい……」




そして、相変わらず盛る上がる中、私はフラフラと席を外す。




「由津葉ちゃん、本当に大丈夫?」

「ええ。ご心配なく平気ですから」

「ねえ、二人で抜け出さない?」

「えっ?」


「君ともう少し話したかったし」

「あっ、いや…でも…」

「良いじゃん、良いじゃん!行こう、行こう!」



私達は抜け出すというより強制的に連れ出された。


彼は、峰耶麻 敏紀(みねやま としき)。25歳。




別の所で飲み直し、私は睡魔がきていた。


ふと目を覚ました場所は見慣れない部屋。




「えっ!?ここ何処?お持ち帰りされた!?」



私は記憶を辿る。


抜け出した人の部屋と思われる。



「ヤバイ…どうしよう?」




カチャ

部屋のドアが開く。




「あっ!目、覚めた?」

「あ、あの…」

「安心して良いよ。手出してないし出そうとも思わないから。俺、それを目的として誘った訳じゃないから」



「分かりました」


「家知らないから連れて来たんだけど、自分の部屋が良いなら送るけど。ただ、俺も飲んでるからタクシーになるけど」


「大丈夫です。明日帰ります」

「そう?じゃあ朝一で送るよ」

「すみません」

「ベット借りて良いから」



そう言うと部屋を出て行った。



次の日、送ってもらう。




「すみません」

「いいえ。それじゃ」




別れる私達。



「おっ!」



ビクッ



「朝帰りぃ~っ!?」



振り返る私。



「瀏士ぃっ!…最悪…」

「彼氏?」

「違います!」

「じゃあ、お持ち帰りされてヤってきた?いや…ヤられた?」


「違うから!第一、ヤるとかヤられるとか…」

「違うの?」

「違います!誤解しないで!」

「ふーん…」

「だ、第一、朝早くにどうして?」


「あー、出張」

「そうなんだ」

「そっ!それじゃ」

「うん、気を付けていってらっしゃい」

「行ってきます」



私達は別れ始める。



グイッと引き止められたかと思ったら、キスされた。



「何もなくて良かったな」

「えっ?」

「じゃあな」




ポンと頭をすると去って行った。




「………………」




もう何度キスしただろう?


私の心に


アイツが出入りしはじめている










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