第2話 過去
それから一ヶ月が過ぎ、彼・瀏士君は毎日まではいかないけど違う女性を連れ込んではH三昧。
つい、この間、アイツの部屋に訪れ ―――
「ちょ、ちょっとっ!いつも、いつも違う女連れ込むないでっ!」
「良いだろう?俺のプライベートじゃん!」
「良くない、良くないっ!余りにも激し過ぎなんじゃないのっ!?あんたって男は!もっと静かに出来ないわけ?」
「無理っ!女が悪い!感じられたらもっ激しく燃え上がるのが普通じゃん!」
「あ、あのねー」
≪…駄目だ…コイツのレベルについていけない≫
≪感じられたら激しくなるとか訳分かんない≫
≪つーか私がそんなHをした事ないから?≫
≪それはそうだよね……初めての相手が不倫だったし……あれ以来、御無沙汰だしね≫
「……ちゃん…津葉ちゃーん。由・津・葉・ちゃん」
ドキッ
「きゃあっ!」
「大丈夫ですか?由津葉さん。欲求不満?最近、Hしました?相手しますよ。俺が」
「結構です!あんたなんかとHしたら駄目になりそうだし」
「何が?」
「何がって…」
ドンッとドアに押えつけられた。
「ちょ、ちょっと……」
キスされた。
「どうなるの?由津葉さん」
目をそらそうとする私の顎を掴み、再びキスをされ深いキスをされ、何度も繰り返す彼の行動に腰が抜けそうだ。
キスの魔法がかかり私の頭と体がおかしくなっていく。
みんな騙されるんだ!
「や、辞め……」
「息上がってんじゃん!さっきの勢い無くなる位感じてるの?由・津・葉・さん」
ガクッと体が膝から崩れ落ちそうになる。
ドサッと支える彼。
「由津葉さんって…案外、敏感?」
「ち、違…」
≪力が入らない≫
「………………」
「他に言う事は?」
「…………」
ドンッ
押し退ける私。
「へ、へ、部屋に戻るっ!あんたといるとおかしくなるっ!」
私は瀏士君の部屋を後に自分の部屋に戻った。
数日後 ――――
「あっ!」
「今、仕事終わって帰ってきたんだ」
偶然に遭遇する部屋の前。
「そうだけど。今日も女連れ込んでるの?」
「連れ込んでませんよ」
「そっ!なら良かった!まさか後で連れ込むとかないよね?」
「ねーよ!今日は。そういう由津葉さんこそ彼氏は?」
「いないし。……男なんて信じられないから……」
「えっ?」
「今迄…何人の人に騙されたかな?初めての相手が不倫相手だったし……」
「えっ?不倫相手?」
「同棲中の彼氏は私が誘惑しても手出さないし……そうしたら……」
「他の女いたんだもんな~由津葉ちゃん」
「……そっか……瀏士君知ってたね……」
「まあ。一応、慰め役でだけど」
「……そうだね……学生の時は美人だったからって……言われ遊ばれたし……出せば良い恋愛なんて……」
フワリと抱きしめられた。
ドキン
「でも恋をしてなきゃ君はここまで美人じゃないよ」
ドキン
「さ、流石…色々な女性と関係持ってるだけあるね…口が上手い…」
「もしかすると本心かもしれないぜ」
ドキン
「年上からかうなっ!」
私は自分の部屋に入る事にした。
色々、済ませ明日までに仕上げなければいけない書類をしようとしていたが書類がない事に気付いた。
「どうしよう?」
その時だ。
誰かが部屋のドアをたたく。
ガチャ
「瀏士君!」
「あの…お風呂貸して下さいっ!」
「えっ!?そんなの銭湯にでも行って来れば?第一、どうして?」
「ガス代…支払ってなくて…」
「えっ!?」
「引き落とし出来てなかったみたいで。それに給料前でお金なくて金欠なんです」
「…………」
「そ、そうなんだ…あっ!じゃあ、その前に連れて行って欲しい所があるの!」
「連れて行って欲しい所?だったら自分で」
「お酒飲んじゃったの!」
「あー…飲酒運転になりますね。じゃあ、お風呂貸してくれますか?」
「分かった!貸すから!緊急なの!」
「了解!」
私は、彼に会社迄送ってもらい、お風呂を貸す。
「ありがとうございまーす♪」
「いいえ。こちらこそ助かった。それで給料日いつなの?」
「25日です」
「まだ、一週間はあるよ」
「知ってる」
「女に貢ぎ過ぎなんじゃないの?」
「アハハ…それは…断じてない!」
笑顔を見せたかと思い、彼は真顔になりキッパリと言った。
「あー、あなたなら驕ってもらってそうだよね?交換条件として」
「由津葉さ~ん、俺、そんな男じゃないですよ」
「じゃあ、何?」
「色々、事情があるんですよ」
「事情?やだ…もしかして妊娠させた?」
「あー、過去に2回」
「えっ!?あるの!?」
「ある!女がすっごい感じちゃって、その子、離してくれなくて妊娠した」
「いやいや……妊娠しないようにちゃんとしたルールあるでしょう?」
「俺、きちんと言ったんですよ!そうしたら大丈夫!って言って…」
「…そう…なんだ…それじゃ私は忙しいから帰って!」
「ええ~っ!もう少し話をしましょう!」
「会社迄、わざわざ取りに行った大事な仕事の書類なの!明日まで仕上げなきゃならないんだから。もう用は済んだんだから帰って!」
しかし彼は帰る事なく、パソコンを開く。
「あっ!ちょっとっ!」
「手伝います!」
「何言って…人の仕事…」
「じゃあ交換条件しましょう!」
「えっ?」
「給料日迄、お風呂貸して下さい!」
「えっ!?」
「お願いします!」
そして、その条件付きで私は仕方なく応える事にした。
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