Rinzin

ハル

第1話 優しさに…

「ただいまー」

「きゃあっ!」

「うわっ!お前…遅くなるって……」



ベットの上に男女の裸姿。

しかも、男は私と同棲中の彼氏だった。



「信じらんないっ!あんたは彼女である私の留守中に他の女とHしてたわけっ!?出ていけっ!出て行ってよっ!もう二度と私の前に現れんなっ!」



二人を追い出し荷物を投げ付ける。



「ってぇーっ!何すんだよ!この性格悪女っ!」

「悪かったなっ!」

「第一、テメーがHさせねーからだろっ!?」

「何言ってんのよ!あんたが手出さなかったんでしょうっ!?」




グイッと肩を抱き寄せられた。



≪えっ…?…誰…?≫



「同棲してて、Hしないの?つーか…彼氏さん、Hさせないじゃなくてさ、君がその彼女とHしていたから手出さなかったんでしょう?」


「何、あかの他人が適当な事…」


「適当な事?まっさかぁ~俺、彼女が出入りしてんの知ってるし」



「………………」



「チッ!行こう!」



二人は去った。



「………………」



「大丈夫?」



私は涙が溢れる。




グイッと抱きしめられた。




「もっとイイ男見付けな」


「………………」



両頬を優しく包み込むように触れる。



キスされた。



ドキン



「このまま彼氏忘れさせてあげようか?」

「えっ?」



再びキスされ深いキスをされると壁に押し付けるようにすると首スジに唇を這わしながら手が洋服の中に入って来る。



「ま、待って……」




気付けば私の肌ははたけている。



≪えっ?≫



かあぁぁぁ~っと恥ずかしくなる。



「ちょ、ちょっと……」

「何?」

「ここ外っ!」

「場所なんて関係ないっしょ?ヤりたくなったら、その場でヤる!」


「し、信じらんないっ!」



私は打とうとした。


パシッ


受けとめられた。



「…………」


「なんて……嘘だよ!元気出しな!じゃあな!」



男の人は去った。




「………………」




日山 由津葉(ひやま ゆづは)23歳。



彼とはその日以来、会わずにいた。


あの時の彼は何処に住んでいるのだろう?


名前すら聞けなかった。






ある日の事。



「えっ!?ちょ、ちょっと……どういう……」

「悪い……」

「良いよ…もう……」




体の関係持った途端、実は結婚して妻と子供がいるという告白をされる。


いわゆる不倫。


実は初めてだった相手が

しかも不倫相手って最悪……


でも相手からの告白で

そんな素振り見せもしなかった。


確かに本気で好きになった人だった


だけど……


こんな結果になるなんて……






その日の夜。


隣の部屋からHな声が洩れていた。



そして、ふと眠れたかと思った時 ―――




「ヤッバーっ!遅刻っ!」



ドタドタ


ガチャ

準備をし玄関を開けると、同時に隣の部屋のドアが開いた。




「あっ!」

「どうもおはようございます」

「おはようございますじゃないわよ!」

「えっ!?朝ですからおはよう…」



ガシッ

胸倉を掴む。




「うわっ!女の子の割りには暴力ですか?初対面なのに」


「あんたのせいで寝坊したわ!しかも遅刻っ!」

「じゃあ、こんな事してる場合じゃないでしょう?」


「じゃあ一言!Hするならホテルに行って!」

「合コンの後だったし彼女相当酔っていたから」

「それはあんたが酔わせたんじゃない?」

「失礼な!彼女自ら酔って俺を誘惑してきたんだぜ」



ドキン


敬語から話し方が変わり胸の奥が小さくノックした。



「口では簡単だよねっ!」

「あーそうかよ!」




私は足早に行く中、後を追うように来る。


お互い譲り合わずエレベーターに乗り込む。




「ねえ、あなた名前は?」

「えっ?」


「名前あるでしょう?隣人みたいだし、しかも男の人なら何かあったら頼れるし。名前位は聞いておかないと」


「へぇー…俺の事頼るんだ」

「だって怖い世の中なのに」



グイッとエレベーターの側面に押し付ける。



ドキッ



「俺の事信用すんの?合コンで初対面の女、連れ込んでる俺を。あんたの遅刻の原因となってるんだぜ?」


「それは…」


「…瀏士(りゅうし)…優木 瀏士(ゆうき りゅうし)」


「えっ?」

「名前、聞いてきたじゃん!あんたの名前は?」

「日山 由津葉。23歳」

「年齢聞いてないけど?良いや!俺は19歳」

「若っ!」


「日山さん彼氏はいないんですか?」

「日山…さん…?」

「4つ上だから日山さんで良くないですか?」

「下の名前が良いから」

「えっ?じゃあ…由津葉さん?」


「うん…呼びすてでも良いけど…彼氏いないし」

「あれから出来ていないんだ」


「えっ?」

「俺、あんたと前に会ってる」

「何処で?」

「部屋の前で。同棲の彼氏が彼女連れて来た日、派手に喧嘩していたし」



「…………」



「えっ!?」



私は記憶を辿る。


何となく蘇ってくる。


思い出した。



気付けば私の洋服がはたけていたあの時の彼だと気付く。




「…………」


「あんただったんだ…通りで手慣れてた訳だ」

「えっ?」



ふと時計を見る。


「うわっ!ヤバイ!完璧遅刻だよ!」



グイッと引き止める。


「予定変更!」

「えっ?」

「はい、どうぞ」

「ヘルメット?」

「バイク乗った事は?」

「ないわよっ!」


「じゃあ超安全運転のバイクで飛ばしてやるよ!しっかり掴まってな!」

「えっ!?」

「俺のせいで寝坊させたんなら、遅刻寸前までに押さえてやるよ」



そう言うとバイクを飛ばした。




すると、運よく間に合った。



「あ、ありがとう」

「御礼は体で」

「なっ!」



そう言うと彼は去った。


「なっ!アイツ…絶対危険人物だ!」



そう思った瞬間だった。






























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