第4話

プライベート重視。それが彼女のポリシー。でもそれが一番いいかもしれない。こういう生活をしながら生きてくのは、アフターファイブ(午後5時以降)の充実。これなくしては始まらない。ベリーインポータントシングス(最重要事項)。フリーターなんて、一人一人がしっかりやって、見えないノルマを各々果たせばいい。和気藹々なんてそんな生ぬるいことなんて言ってられないし、言ってちゃいけない。ここは呉越同舟する所じゃない。ここはターミナルの駅だ。自分が乗る列車が来ればそれに乗るだけ。同床異夢。誰も同じ夢は見られない。人生とは他人が肩代わりすることは不可能である。こういうターミナルみたいな所では、割り切って仕事をする方が賢明というもの。サービス残業を含めると日本人の平均残業時間は、一人当たり年計算で300時間とも言われている。その次がアメリカ、イギリスで200時間。ここで100時間も違う。他の先進国を見ると、ドイツ、フランスは50~60時間ぐらいらしい。日本のサービス残業なんて言葉すら欧米から見たら、到底ありえない話だろう。でも現実の違いもある。残業時間に上限があるのだ。日本では年間、360時間と定められている。残業代でも22時までが通常時給の1.25倍。深夜が1.5倍。休日が1.35倍だったりする。ちなみにドイツは、年間120時間の上限で賃金も深夜2倍。休日は2~2.5倍らしい。政治家の皆さん。この辺りも再考の余地有じゃないでしょうか?残業しないで帰るのは、後顧の憂い。ここが嫌になったら他の仕事探そうかな。同じ給料で、残業が無いなら、誰でもそっちに移りたいでしょ。仕事の義務の範囲を超えている?責務を超えたら、それはただのサービス(奉仕)だ。惰性で続けて一体、何になるというのだ。ここにいたら俺達の未来はない。ここにいる人じゃダメなんだ。ここにいなくちゃいけない人にならないと。

「おい、お前、何だよその言い方は?」

「あっ何だと、やんのか。こらっ」

昨日新しく入った奴とスマイリーが何やら揉めてる。そこへセンターの社員が止めに入る。

「ちょっと、やだ、俊君、ほらあれ見てよ。何してんのスマイリー」

「何かやりあってますね。二人」

二人して手を止め、そっちを見る。って全員見てるじゃん。口が動けば手も止まる。

「離せよ。分かった、分かった。止めてやるよ。こんなとこ」

「何だてめえ。その言い方。ざけんな」

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