第34話 米米食らう部

「米が余ってるんですって」

ウィルが夕食の話題を提供した。


「俺たちに回してくれればいくらでも食べるのになあ」

ススムにはパンよりも米のほうが、粘りのあるファイトが出来る実感があった。


「炭水化物抜きダイエットが影響してるのは言うまでもないな」

昨今では、米が悪者にされている。


「日本人ならもっとお米を食べないとね」

御殿場のふもとでも、米が作られている。


供米田くまいでんっていうくらいだもんね」

からかうミドルを視線で圧するキョウ子。


「あれ? ミドルのチャーハン、なんかおかしくない?」

今日はみんなで中華の円卓を囲んでいる。


「ほんと! あんかけチャーハンなのに、ただのおつゆが掛かった焼き飯になってるわ」

左頬に肉団子を含んだまま、驚くキョウ子。


「え? え?」

うろたえるミドル。


「もしかしてあれじゃないか? 唾液のアミラーゼが多くて、あんかけのデンプンを分解してるんだと思うぜ」

これは最近バラエティ番組でも取り上げられて、話題になった。


「それね! 日本人はこの体質の人が多いって言うけど・・・。そのせいか、米を食べても太りにくいっていう説を唱える人もいるわ」

デンプンがすみやかに糖に分解されるので、甘みを感じやすくなる。であるからして、この体質の人間は、甘すぎる味付けが苦手だったりする。


「なによそれ! ズルいじゃないの、ヒッショー!」

ファストフードも好むキョウコが、不平を漏らした。


「そっか、それでミドルはあんな大食いなのに、太らないんだな」

興味深いネタに、ススムのご飯が進む。


「自分のことなのに知らなかったよ。そう言えば、食べるのが速すぎるってウィルにも怒られるもんな」

それはまた原因が異なる気がする。


「炭水化物抜きダイエットで疑問に感じるのが、米を食べなくなってもそれ以外のおかずをバクバク食べてるってとこだよな。あんなのカラダ壊すぜ」

米の消費量が多かった時代に、現代ほどダイエットを必要とする人がいただろうか。


ところで、ハローデンとクマイデン。どちらもデンが付くのだが、ただの偶然では無かった。

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