第16話 The first blow is half the battle

 ミドルとススムは、スターアイランドのドゥニア・ゲランガン会場まで来ていた。

「うわ~、だだっ広いな~!」

五大所山ごだいしょやまの風景とは、まるで別世界だ。


「ミドル、くじはもう引いたか?」

ススムは手にナンバーの書かれたカラーボールを持っていた。カラーの色分けがブロック別になっている。


「おっ、気が早いねススム!」

ミドルは会場前の受付を済ませ、ボールを抽籤箱ちゅうせんばこから取り出した。


「緑の五番だな」

ラッキーカラーを引き当てたミドルは、トーナメント表を見上げた。すでに対戦相手が表示されてある。

「きょうこめた・・・?」

ミドルの頭にクエスチョンマークが浮かんでいる。


「供米田(くまいでん)よ。供米田くまいでんキョウ子」

ミドルが声の方を振り向くと、黒髪を束ねた少女がいた。


「へ-、君みたいな女の子も出場するんだ?」

「ずいぶん時代遅れな発言じゃないかしら」

キョウ子はミドルの言葉がカンに障ったらしい。


「そういう訳じゃないけど、世界のメジャーな格闘技戦を見ていても、男女混交大会ってのは存在しないからね。だからここに来て驚いたんだ」


「私にもね、闘う理由はあるのよ」

キョウ子はミドルを威嚇した。


「ナイスファイトだ! その闘志はリングでぶつけよう!」

ススムが割って入った。


「ふん」

キョウ子は受付会場を後にした。


「あっ、そうだ! ミドル、計量もしないといけないぞ」

ススムが試合前の大事な規則を思い出した。

ドゥニア・ゲランガンは体重別では無いが、一応サイズ測定を行うことになっている。名前は必勝ひちかたミドルだが、決してミドル級という訳では無い。


「中1でそんなにあったら、やべーじゃん!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る