第5話 Load Of The Ring(注:スペルミスではありません)

「お前はまだ、磁力を発生させることと、高く跳ぶことを覚えただけじゃ。強くもないし、速くもない。まだまだ歩き始めたばかりのヒヨっ子じゃ」

「はい! このあともビシバシお願いします!」


ミドルは家のことが気になってスマホを手に取ろうとした。

「あ、あれ?」

スマホの画面が奇妙な文字記号で埋め尽くされ、ピンクや黄緑の蛍光色に変化していた。


「お前の磁力でぶっこわれたんじゃな。電化製品を取り扱うときは気をつけるコトじゃ」

「文明に頼らず、自然とともに暮らす生活になりますね」

「そうじゃな。お前さんもそれでは不便じゃろうから、これをやろう」

そう言うと、雲水はミドルに指輪を渡した。


「こ、これは?」

「機構は異なるが、ワシが作ったアクセサリー型のタブレットじゃよ。お前みたいに磁力を持った人間のほうが都合が良い」


ミドルがさっそく左手の人差し指に嵌めて石の部分を触っていると、空間にキーボードとディスプレイがホログラフィー表示された。


「うわー! これは『近未来科学雑誌モー。』の世界だ!」

ミドルが大いにはしゃぐ。


キーボードのキーは、世界各国の文字に対応している。どの言語にも切り替え可能だ。手元にアプリのアイコンも表示されるので、スマホの時に感じる、画面が重なって作業がしづらくなるストレスは無い。


「こ、これを雲水のじっちゃんが?」

「ふぉっふぉっふぉっ。ワシも一応Ph.D.じゃからの」

あごひげを触る雲水。


「師匠すげー! あ、電話も出来る」

スマホで出来ることは一通り入っている。その他にも機能はてんこ盛りだ。


「ところでな、ミドルよ」

新しく手に入れたおもちゃで遊ぶ新弟子に、声を掛ける師匠。

「は、はい」


「学校はちゃんと行くんじゃぞ」

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