この物語の舞台は、『青春』が売買できる世界。
未知の感染症が猛威を振るい、立ち行かなくなった人々が、自分の青春を切り売りし、社会を生き抜いているのだ。
そんな世界で、立ち居振る舞う、物語の主人公たちは、今日も、『青春』を売りたい人のもとへと馳せ参じていた。そこで、説明をして、了承を経て、買い取ってくるのだ。
本来は『青春』そのものに価値があるのに、この世界は、『青春』につけられた価値に価値を求めているのだろう。
売る側は、若い故に、その素敵な本来の価値に気づけない……。
買う側は、その価値に対価を払ってでも、その時を取り戻したい……。
需要と供給が合致しているところは、なかなかシュールな絵面だったりする。
たぶん、『青春』って、年をとってから思いだすモノなのではないかな?
ラストのオチを読んで、そう思った。