第1話 体動かせる?
視界の右上にいる龍。あんな生物は自分の生きていた世界にはいなかったはずだ!ならばここはどこだ?〇〇は周りを見渡した。
そこに写っていたのは、青い空と太陽、視界の中央の細長い鱗と髭のような物、それと自分より少し小さな石が自分の周りにある。後は自分のこもっていた卵の殻。
ここはどこだ?それよりあの龍に自分は食われるのか?と必死に考える〇〇。科学者としての経験からか少し冷静になれた。そして、とりあえず石に乗って少し周りを散策しよう!という結論に行き着いた。
体を動かそうとして視界の中央あたりにある物とても邪魔に思えた。なので手を動かしそれをどかそうとした。しかし、それに鱗で覆われた手が触れたとき、それが自分の一部ということに気がついた。理由は簡単、手で触れたときになにかに触られたという感触があったからだ。そして、生臭い匂いまで嗅げた。たぶんこれは鼻だろうと〇〇は思った。なので視界が見えにくいのを我慢し、手足を動かそうとする。
しかし、手足を動かしているはずなのに、全く前に進まない。冗談じゃない!と必死に手足を動かす。しかし、進まない。それもそのはずだ。〇〇は自分が人間として生きていたときの感覚で体を動かそうとしているからだ。
なんで進まないんだ!?と混乱していた〇〇は首を振り自分の体を見た。視界に写ったのは先程の龍を小さくして、色を変えたような自分の体。それと正面にさっき視界の右上に飛んでいた龍よりもすごく立派で、明らかにさっきの龍とは格が、桁外れで高そうな神々しい龍。いや龍ぅぅ?
「グアアァアァ!」(なんでぇぇ!)
とにかくここから逃げなければならない!と本能が伝えてくる。〇〇は必死に迫りくる龍から逃げようと体を動かす。そして、自分の体が浮いた。よくわからないけどこれで逃げられるならなんだって良い!と〇〇は喜ぶ。しかし、現実は常に無慈悲である。自分の体が浮いたのは、偶然でも、〇〇の力でもない。龍の尻尾の先が〇〇を掴んでいたのだ。
それを知った〇〇は絶望していた。心臓の音が死のカウントダウンかと思えてくるほどに。せっかく生まれ変わったのにすぐ死ぬのか。そして、龍の目の前に連れてこされた。怖い!〇〇はそう思い、目をつぶり自分の死ぬ時が来るのを待つ。
数分、いや数秒という時間が経っただろうか。絶望の最中の〇〇は大まかな時間すら数えられなくなっていた。しかし、不思議といつまで経ってもその時は来ない。その代わりにというべきか、何かが自分の中に入ってきた気がした。
驚いて〇〇は目を開く。そして、更に驚いた。理由は先程まで自分を掴んでいた、目の前にいた龍が、まるで幻かのように、いなくなっていたからである。
しかし、それが幻ではないと、〇〇の前に落ちている数枚の神々しい鱗が物語っていた。
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こんにちは昨日ぶりですね。作者です。今回少し短いです。すいません。次回からは3000文字を超えるようにがんばります。
間違った文字などありましたら、コメントで教えてください。
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