最近流行りの異世界転生をしたけど転生先が龍だった

Mito-tyan

龍に転生した元人間と賢者

プロローグ

 真っ赤な太陽が山々の間から顔を覗くとき、雲と雲の間を浅縹色の鱗で覆われている蛇の平均サイズを百倍ぐらいにした長い体、四本の足とその先の鋭い爪を持つ一頭の龍が飛んでいた。


 浅縹色の龍、ラファニールは生まれて約760年、ついに霊峰を飛び立ち、外の世界に出ることを決めたのだ。そして、今になるまでを思い返していた。


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 普通の日本人として地球で生きていた〇〇は、病院のベッドの上で老衰によって死んだ。死ぬ前に走馬灯を見た。


 普通の家に生まれ、小中高大と学校を順調に卒業していき、博士号を取得し、マテリアルの組み合わせについて研究していた。そして、67歳で研究結果を発表し、テレビにも出た。〇〇はそれにて満足し、残りの人生を楽しもうと思っていた。


 病院通いになる前に書店によって見つけた、異世界転生という本。子供を助けた代わりに自分が死に、神を名乗る者にチートとやらを与えられる。そして、別世界に転生をするという物語。これに興味を持ったため、それを購入した。パソコンで調べてみれば若者に人気だという。


 すこし読んでみては、科学者の性からか否定的な考えやツッコミを入れたくなってくる。そんなところが楽しくて、本を読んでいた。しかし、そんな楽しい日々も終わりを迎えてしまう。


 ある日、本を読んでいると急にめまいがしはじめた。そして、体の自由が効かなくなって、倒れた。倒れた衝撃で頭を打ったようで気絶してしまった。目が覚めると自分の部屋ではなく病院のベッドの上だった。どうやら、〇〇の住んでいるアパートの家主の子供が〇〇に本を借りに来て、倒れていた〇〇を見つけ、そのことを家主に伝えていた。その後、家主が呼んだ救急車で、この病院に運ばれたらしい。


 そして、こっからは大変だった。最初は病院に、週に一回だけしか行っていなかった〇〇だったが、いつの間にか病院生活になっていた。そして、ついに病院のベッドの上で、安らかに眠るように死んだ。


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 水の中にいるような抵抗を感じ、不意に目を覚ます〇〇。しかし、目を開けたにも関わらず、何も見えない。何度か体を動かしたり、目を動かすが変わらない。自由がないように感じられる。〇〇は自分が死んだ記憶があったので、ここが死後の世界というやつか、と勝手に納得していた。やがて、〇〇は眠くなり意識を手放す。


 もう何度目かわからない、何も見えない目を開ける。〇〇は自分が丸い壁のようなもので覆われている、という事がわかっていた。しかし、今回はなにか確証がないが、〇〇は体を思いっきり動かせば、自由になれると思った。プールの中で地面に足をつけて、早く歩こうとするときのような抵抗を受けながら、体を動かす。手が壁のような物にぶつかった。しかし、〇〇は動かす手を止めない。不意に壁の奥から光が見えた。〇〇は必死にその手を光の方へ向ける。そして、動かしにくい手に力を入れて、光っている壁を殴る。すると、パリッという音とともに壁が唐突に壊れ、外から光が漏れてきた。〇〇は光が眩しくて顔を手で覆い隠す。


 少しして目が光になれ、見えるようになったとき自分の手の爪が鋭く、手の肌色の皮膚の代わりに、灰色と水色が混ざったような鱗が付いている事に気がついた。


 「ガグルァ!」(なんだこれは!)


 驚いた〇〇は声を出そうとしたが、舌がうまく動かせず、化け物のうめき声のような声になってしまった。それより、自分は死んだはずだったろう!と〇〇は思う。ならば〇〇を囲っていて、そこが死後の世界だと思っていた場所はなんだと後ろを向いた。そこにあったのは〇〇の目より50センチほど高いかというぐらいの大きな卵。これの中に〇〇はいて、そこが死後の世界だと勘違いしていた。


 〇〇は自分がそこで、自分が死んだと思っていたため、記憶を振り返った。しかし、自分の名前や住んでいた場所、等といった固有名詞が自分の記憶から抜けていた事に気がついた。幸いなことに、その他の記憶は抜けていなかったため、自分が死んだ理由なども思い出せた。


 そして、人間として死んでから、卵から生まれた事も。つまるところ、これは転生したということである!と〇〇は思った。しかし、そこに異世界という言葉がつかなかったのは自分が卵から生まれてきたためである。


 〇〇は前に自分がいた世界でも、卵から動物は生まれてきていたため、そして手が鱗、という事によって自分がトカゲかワニに転生と思っていた。しかし、そんな考えは一瞬の内に壊されることとなる。正確にはたった今、視界に飛んできた生物の存在によって。


 「グガアァァァァ!」


 化け物のような声、それは視界の右上を羽を広げて飛んでいる、トカゲに羽を付けて、とてつもなく大きくしたような形、鱗で覆われた体を持つドラゴンという存在によって。


 この時、〇〇は自分が異世界で人ではない何かに転生したということを知った。


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 皆さんはじめまして作者です。この作品が自分の最初の小説なので張り切っています。そしてこの主人公の名前が〇〇となっているのは、主人公の記憶から名前などが抜けているからです。決して考えるのが面倒くさかったわけではありません。間違った漢字や抜けているところがあればコメントで教えていただけるとありがたいです。

 


 

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