オリオン・ザ・ドラフト ②
成美にあとについていくのだが、一向に学校らしい建物が見えてこない。
この辺りに学校があるのなら、それらしきものが見えて来てもいい頃のはずなのに。
「なあ、まだ先なのか?」
「いいや、すぐそこだよ」
「えっ?」
辺りをぐるぐる見回しても、学校らしき建物が見つからないし、運動場みたいなものも見つからない。それなのに、もうすぐ着くってどういうこと?
そんな風に考えていると前を歩いていた成美が立ち止まった。
「ここだよ」
周りのビル群と同じような建物の前で立ち止まる。
下から上へと視線を送っていくと一番の上のところに『アサヒ高等学校』と書かれた看板が目に入ってくる。彼の言うようにここが学校なようだ。
とそんな風に建物を観察していると、成美は僕を置いて中へと入っていってしまう。
置いていかれて慌てた僕は急いで彼の背中を追って、ビルのエントランスのようなところに入る。するとそこには天井が5、6メートルくらいあり、小さな体育館と同じくらいの床面精機がある大きな空間が広がっている。
入った直ぐの道の左右には、学校の職員室のような空間が広がっており、
その奥には丸椅子とテーブルが並べられており、一緒に大きな液晶テレビが置かれている。さらに、その奥にはエレベーターの出入り口のような物があるのだ。あまりにも思い描いていた学校と違う光景に「嘘だろ…」という言葉が漏れていた。
僕のその反応を見た成美はヌシシと笑いながら、「初見の感想は?」と聞いてきた。
迷いなく「学校じゃないみたい」と答えると「俺も最初はそう思った」と返してきた。
そんなやり取りをしていた僕らに、職員室のような空間から出てきた一人の男性が話しかけてきた。男性はサイドが短く、トップはワックスを撫でるようにつけられており、オールバック風の男前な感じ髪型、顎髭を蓄え、腕まくりしたカッターシャツから覗ける二の腕は筋肉がパンパンに溢れていて、ザ・漢!って感じであった。
「おはよう、俊太郎 その子が例の子かな?」
学校の先生らしくないフランクな感じの接し方で来た。
「そうっすよ」
成美と男性の視線が僕に集まる。たぶん自己紹介したほうがいいのだろう。
「鵜飼大輔です。今日はよろしくお願いします」
男性は合図地を大げさなくらいにとって僕の自己紹介を聞くと、自分の自己紹介を始める。
「私は、大浦匡だ。気軽に匡先生って呼んでくれ。鵜飼くん今日はよろしくな」
お互いに自己紹介を終えると成美がいきなり
「じゃあ、俺やることあるから」と言ってどこかに消えていった。
てっきり三人で見学するのだと思っていたから、驚いたがやることがあるなら仕方ない。
それから学校見学が始まった。
入口から見えていたエレベーターのような物は、ような物でなく本当にエレベーターであった。でも、すぐにそれがある理由が分かった。
「10階まであるんですか?」
エレベーターに表示されているパネルには1から10まで並んでいる。
つまりはその分だけフロアがあるということ。
「ああ、この学校は普通の学校みたいに横に広いんじゃなくて縦に長いんだ」
「全部教室何ですか?」
「見ながら説明するな。まずは二階から……」
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