第4章 僕は、強くなりたい。12
『全国1000万の伊達一郎実況ファンのみなさま、おはようございます! さあ、泣いても笑っても本日が、乙幡剛
◇
『――さあ、ここ斬日本プロレス若虎道場には、若手選手たちの大音量の掛け声がサラウンドで響き渡っているぞ! 「イチ、ニー、サン、シー」と一定間隔、かつ高速で刻まれるその掛け声。それに合わせ、選手たちの汗が飛び散り、床が微振動を繰り返しているわけであります! 斬日伝統のヒンズースクワットの高速版、斬日式高速スクワットが今まさにここで繰り広げられているわけであります! 車座になり、みながその場で高速でかがみ、立ち上がるという至ってシンプルな動きを重ねるその中心には、斬日の赤鬼こと本山大鉄が竹刀を持ち、睨みを利かせている状況。そして、そんなピリついた空間のただ中に、我らが乙幡剛もちゃっかり参加しているわけであります。裏を返せば、選手たちとまったく同じメニューをこなせるまでに成長したわけであります。この進歩は、奇跡と言ってもいいのではないでしょうか? それまでは、ごく普通の高校生、いや運動に関する限りは平均をはるかに下回る高校生であった乙幡剛が1ヶ月以上の道場生活を経て、少なくとも若虎に混じりトレーニングができるまでに成長したことは、本当に感慨深い! しかも、この高速スクワット、なんとすでに重ねること1セット100回の5セット目に突入しているのであります! つまり、総回数では400回を超えているわけであります。大げさな話でも何でもなく、選手たち、そして乙幡剛の足元には汗の水たまりが完成しようとしています。乙幡にとっては異次元の500回を目指す高速スクワットの旅路! さあ、いよいよ残り20回を切りました! 10を切って……さあ、キュージューロク、キュージューシチ、キュージューハチ、キュージューキュー、ヒャ――ク‼ ついに、やりました! やり遂げました! 乙幡剛、斬日スクワットの最終奥義とも言える、斬日式高速スクワット500回をギリギリ最終日に制覇しました――!』
――計画36日目(最終日)、トレーニング成果
・高速ヒンズースクワット:500回(100回×5セット)
・プッシュアップ:150回(30回×5セット)
・腹筋:150回(30回×5セット)
・ロープ登り:10回
・ロードワーク:30キロ(ランニング)
・縄跳び:1000回(200回×5セット)
・ジャンピングスクワット:50回(50回×1セット)
トレーニング後、いつものように夕食をご馳走になり帰ろうとすると、選手たちに呼び止められた。
振り返ると、そこには大鉄さん含め選手が総出で立っていた……。
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