第4章 僕は、強くなりたい。7
時計は、4時45分を指していた。
5時のアラームが鳴る前に、自然と目が覚めてしまった。
『おっと? 今朝は目覚ましより早く目が覚めたようであります。どうやら、確実に行動が習慣に結びついているようであります、乙幡剛!』
相変わらずの全身筋肉痛で、体は重かったが、寝覚めは比較的悪くなかった。たしかに、少しずつ行動が習慣に結びついてきているのかもしれない。
顔を洗い、台所に入ると、小谷さんたち若手選手のアドバイスで購入したプロテイン飲料を一気に飲み干す。そして、バナナを2本、これまた一気に頬張る。最後に水をコップ1杯飲んで、手を合わせた。
トレーニングに通い始めてから、僕の食生活もガラっと変わった。
朝食は、こんな感じで若手レスラーの方々に教わった栄養価は高いが軽めの食事で済ませる。これは直後に行うロードワークに備えての意味もある。
昼食は、道場の若手のみなさんの手によるまかないの鍋を分けて頂く。作る選手によって味が変わるので飽きなかったし、大人数で鍋を囲み、わいわい食事すること自体が僕にはとても新鮮だった。それまでは、朝も昼も夜もボッチ飯だったし……。
夕食も、昼食同様に道場のまかないを頂くようになった。初日は遠慮したが、選手のみなさんが食ってけと仲間に入れてくれた。やはり、野菜や肉が中心の鍋が多く、ヘルシーな食事が多かった。さらに、若手選手たちからはプロテイン飲料など、栄養バランスを補ったり、筋肉の補修を促す食品や飲料まで教えてもらった。
さすがにご馳走になりっぱなしで申し訳ないと思った僕は、大鉄さんに食事代くらいは払わせてくださいと申し出たのだけど、「食事代なら、おじさんにすでに十分もらってるから不要だ」と頑として首を縦に振らなかった。
いずれにしろ、それまでの「食べたいものを、食べたい時に、食べたいだけ食べる」かつ「ジャンクフードやスナック菓子中心」であった不健康極まりない食生活から、180度の大転換となった。
さらに、朝は5時に起床し、夜は遅くも10時にはベッドに入るという規則正し過ぎるくらいの生活リズムの変化もあり、心身ともに何かが大きく変わる予感だけはしていた。
『さあ、プロテインとバナナで栄養補給の最短距離を進み、続くロードワークでも最短距離を進むことで、虎の穴に最短時間でたどり着きたいところ! さらには、今日のトレーニングで昨日の自分を少しでも上回るパフォーマンスを発揮してもらいたいところ! さあ、今日もがんばれ! 剛! 負けるな! 剛‼』
――計画7日目、トレーニング成果
・ヒンズースクワット:100回(20回×5セット)
・プッシュアップ:50回(5回×10セット)
・腹筋:50回(5回×10セット)
・ロープ登り:10秒しがみつく
・ロードワーク:15キロ(徒歩)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます