Bonus track 1 ゆかさんとイチャイチャする

 「ふみ」


 「むぬ」


 「まにゅ」


 「むんー?」


 「にゃにすんじゃおらー」


 問題、上記の言葉たちはなんでしょう。


 正解は、私がほっぺたを揉みしだいている、ゆかさんの反応でした。


 かわいいの暴力かよ。


 ただ、あまりに遊び過ぎて後半、剣呑な視線を向けられた。


 そんな視線も可愛いのだけれど、今言ったら多分ぶっとばされる。


 ご機嫌取りのために、最後に喉を撫でておいた。


 「ごろごろ」


 思いのほか、機嫌はすぐに回復した。至福の表情とでもいうように、喉を撫でられてくれる。


 「にゃごろー」


 そのまま私の鎖骨辺りにネコの真似のまま、頬を寄せてくる。眼を閉じて、酷く幸せそうである。


 かわいいの大量破壊兵器かよ。


 出会った当初の私なら、確実に理性と記憶を持っていかれる自信がある。


 しかし、そこは私。伊達に一年の交流を経て、経験値を積んでいない。この程度のかわいい、理性は飛ばしても、記憶はもっていかれない。むしろちゃんと、脳裏に刻み付けるのである。うん。ダメじゃね?


 「はみはみ」


 鎖骨辺りを甘噛みされる。というか、口で食み食みいっておられる。ほんのり感じる唇の柔らかさと、普段あまり刺激されることのない鎖骨辺りの感覚を味わいながら。私を冷静を装って、ゆかさんを抱きしめた。


 あと、ついでにゆかさんのブラのホックを外した。



 「おうい!!??」



 あれ、ゆかさんが人間に戻った。なぜ、私のゆかさんネコはいずこに……?


 「何を急にブラを外してるんですか?! あなたは?!」


 動揺しすぎて、何故かゆかさんまで丁寧語になっている。あー、こういうゆかさんも新鮮でいいですね。私の脳裏に新たな、ゆかさんジャンルが設定される。結構、ポイント高めだな、うん。


 「え? あ、すいません、指が勝手に」


 「そんな無意識に高等技術を発揮するんじゃありません!」


 「いや、夏は薄着なので意外と簡単に外せますよ?」


 「そういう問題じゃねー!!」


 憤っておられる。うーむ、如何したものか。ブラ外しって慣れたら意外と簡単にできますよとでもいうべきか、いや、多分、火に油注ぐだけだな。


 「どうどう、ゆかさん、どうどう」


 「人のブラ外したまま、抱き着いてくるんじゃねー!!」


 ハグでなだめようと試みたが、なぜか怒りの火はより一層燃え上がったのだった。顔も真っ赤である。Why……?


 「……しゃーない、私もブラ外しますね?」


 「そーいう問題でもなーい!!」


 ゆかさんのテンションは最高潮である。何か嬉しいことでもあったのかな。ーーーーところで、さっきから私の理性どこ行った?


 ま、いっか。とりあえず、服を着たまま、ブラを外した。


 私のブラはゆかさんのより幾ばくか外しやすい。ちっちゃいからね、ホックの金具が少ないのだよ。むしろゆかさんのがおっきいからホックの数多いんだ。うん、無駄知識。


 「ほんとに外すやつがあるかーーー!!」


 「いや、フェアプレイの精神にのっとってるので。ところで、フェアプレイってなんかえろいですね?」


 「わーん!! まいの性欲魔神ーーー!!」


 「失敬な、人をそんな誰にでも欲情する変態みたいに。私の性欲はゆかさん限定ですよ。ただその分、制約と誓約がかかってるので、ゆかさん限定で暴走するだけです」


 「意味わかんないよーーーー!!」


 うん、口が回ってる割に、思考は一切挟まれていないので、本当におかしいな、私。


 ま、自覚したところで、止まりはしないんですがね、奥さん。



 「ゆかさん、ギブアップのサインって知ってます?」



 「え?」



 ちょっと呆けたゆかさんに、どことなくぼんやりした頭で声をかけた。


 「身体か床を、パンパンって叩くんです。それがギブアップのサイン」


 「え、あ、うん」


 ちょっと涙目で顔を真っ赤にしたゆかさんが、意味も解らないまま、私の言葉に頷く。


 うん、これで準備はよしと。




 「じゃ、ゆかさん。


 


 にっこりとゆかさんに笑いかけた。




 「




 え? 最初っから理性なんてなかったって? ご名答。正解したあなたには金のまいちゃん人形でも進呈しよう。




 とりあえず、ゆかさんの唇を奪った。


 驚いているゆかさんにそのまま、舌を挿入していく。


 ゆかさんは声に成らない声を上げて、ほんの少し抵抗を見せたけどそのまま、挿入し続ける。


 あなたの唇の裏を。


 歯の隙間を、舐め、舐り、舌を絡める。


 唾液を喉の奥まで、流し込む。あなたと私を溶け合わさせる。


 キスした勢いのまま、覆いかぶさるみたいに、あなたを床に押し倒した。


 それから、指を這わせて手を握った。指同士を隙間に絡めさせて、恋人つなぎ。うん、初めての恋人つなぎがこういう局面なのもいかがなものでしょう。


 ま、致し方ないよねー。


 軽く笑って、あなたの喉から漏れる声を口を合わせたまま聞いていく。


 自分の口内を反響して聞こえる音は変にくぐもって、あなたの声が私の内で響いてるのだと思うと、どうしようもなく身体の奥が熱くなる。


 ああ、うん、もう、ダメだな、これ。


 唇を離すと、湿った唇同士が音を立てた。水の音。手に触れるゆかさんの手は暖かいけど、じっと強く私を握っている。


 表情は赤いままだけど、ちょっと呆けたような、どことなくぼやけた顔だ。理解が追いついてないかな?


 でもね、ギブアップするまでは止まってあげませんよ?


 とりあえず、首を噛んだ。軽く甘噛み、キスマークつけてもいいけれど、明日お仕事だものね。少し控えめに。


 首に唇が触れると、ゆかさんの身体がびくんと揺れる。


 それが嬉しくて、ひたすらに唇を付け加える。


 鎖骨。耳。頬。おでこ。まぶた。一つ一つ、私の唾液で濡らしていく。私のものだと証明するみたいに。一つ一つ丁寧に。


 うなじ、肩、ひじ、腕、手首、手のひら、甲。指は一つ一つ、口に含んで舐めとった。ちらりとゆかさんをみると、赤いままどことなく恍惚とした表情で私を見ている。嫌がってはない、かなあ?


 「どーしました? ゆかさん」


 「まい、それ、えっち」


 お気に召した、かな? 最後に一つ舌を絡ませながら、ゆかさんの小指から口を引き抜く。


 逆側の手を取ると、ゆかさんがそれとなく口に指を誘導してきた。少し微笑んで、促されるまま、舐める。親指から、丁寧に。唾液で濡らして、舌で舐って、歯で甘嚙みして、唇をなぞらせる。それを繰り返す、五本分。小さく丸いゆかさんの指を私の唾液で濡らしていく。


 舐め終わるとゆかさんはどことなく、ぼーっとした表情で私と自分の指を見ていた。


 私はそのさまに少し満足して、ゆかさんのおなかに顔をうずめると、服の裾を少し撫でた。


 それから、指を少しだけ服の隙間に滑らせる。


 柔らかいゆかさんのおなかに触れている。


 ……拒絶は、ない。すこしくすぐったそうだけど。


 ゆかさんの指が伸びてくる。私の唾液で濡れた手が、私の手を探して、絡められる。また、恋人つなぎ。


 空いた手で、ゆかさんの服の中に手を滑り込ませる。夏の薄着は、簡単に私の手を内に引き寄せていく。


 おなかを少し、撫でていく。おへそをちょっとだけいじめると、ゆかさんが声を漏らした。その様に満足してから、手のひら全体で、おなかをなでる。


 撫でて、撫でて、ゆっくりと手を上側にずらしていく。


 ブラはもう、外してある。


 触れる。優しく。


 漏れる。声が。


 中心には触れない。


 周りを少しずつ、少しずつ。


 円を描くように、じらすように。


 少しずつ、少しずつ。


 あなたの声を聴きながら。


 あなたの震えを感じながら。


 頭をあなたの胸にうずめる、耳を澄ますと心臓の音が聞こえた。


 高く、何度も、跳ねるみたいになっている。身体を伝って聞こえる声は、あなたの内側で聞いているみたいで。


 触れた。


 ひときわ声が高く漏れる。


 柔らかいそれをなぞる。


 触れて、離れて、離れて、触れてを、繰り返す。


 何度も、何度も。


 そうするたび、あなたの声が漏れる。


 高い声。普段聞かないような、とても高い声。


 初めて聞く声。あなたの声。心臓の音と一緒に耳を澄ませる。


 いつまでも、いつまでも聞いていたい。


 指が触れるたび、あなたが反応する。


 ブラをずらして、服越しに胸に口づけた。震える。


 もう一度、もう一度。


 震える、声が漏れる。泣き声みたいだけど、泣き声にしては艶やかで高すぎる。


 あなたの身体が少し揺れた。


 ぎゅっと手を強く握られる。指の隙間からその手を感じる。


 あなたの服につけた小さなシミをじっと私は見る。


 胸から手を離した。おなかをなぞって、おへそを通り過ぎて。下へ。


 下へ。


 部屋着のスカートの隙間に指を挿し込んだ。


 その奥には、柔らかい布の生地がある。


 それを、なぞって。


 あなたの、大事な、ところへ。















 「ーーーーー~~~~~~~~~~~~」


 肩を叩かれた。ポンポンと二回。


 ……………………………。


 ふうと息を吐く。


 胸にうずめていた顔を上げた。


 スカートの隙間から、ショーツに触れていた手を引き抜く。


 恋人つなぎだったもう片方の手をゆっくりと、一つ一つ離した。


 「ゆかさん?」


 「………………ギブ」


 「ーーーーーーーはい」


 長く、長く息を吐いた。


 あれ、すごい、息荒れてるな。私。


 呼吸は小刻みで、頬が熱い。ずっとゆかさんに頬ずりしてたから……ってわけでもなさそう。


 身体の奥がずっと熱を持ってて、頭もぼーっとする。


 あ、興奮してたんだな、やっぱり。


 でも今日は、ここまで、かな。


 もう一度、息を吐いて、ゆかさんをみた。


 改めて見たゆかさんは、シャツが下から捲れてブラと胸が少し見えていて、手や首はまだ少し湿っている。えっろ。


 表情は赤くて、ちょっと涙目だ。これもえっろ。でも、うん、まだ刺激が強かったかな。


 かつてないほど、深くまで触れたけど、大丈夫だった、かなあ。


 「ゆかさん、嫌だった?」


 「………嫌じゃない」


 「うん、よかった」


 「でも、今日はあそこが限界。もう死んじゃう」


 「はいはい、大丈夫ですよ。止めてくれてありがとう」


 「もう、うん、もう。また今度ね」


 「はい」


 服が乱れて息も絶え絶え、眼も顔も真っ赤で、あちこちが私の唾液まみれのあなたは、ちょっと不機嫌になりきれないまま。私にぎゅっと抱き着いた。


 興奮を鎮めるために、ちょっと深呼吸。ふーっと息を吐いてあなたのことを感じる。


 許されてる。


 触れることが、口づけることが。


 それだけで、今までのどの触れあいよりも嬉しくて。


 また今度か、楽しみだな。


 ぎゅっと、あなたの肩を抱いた。


 あなたの息遣いが聞こえる。


 はー、幸せ。いや、ほんと。


 こんな幸せでいいのかな? いいのですね。


 ふふっと思わず笑った。


 そしたら、あなたも笑い返して。


 その後、二人でゆっくりと乱れた服を直したのでした。


  















 「んー、今度ちょっと勉強してくる」


 「ん? なんの?」


 「えっちの。私ばっかりされるのはさ、フェアじゃないよね。私もまいをひいひい言わせたい。まいも気持ちよくなりたいでしょ?」


 「はは、私は全然、今のままでも大丈夫だよ?」


 「だーめーーーー!! フェアプレイの精神だよ!」


 「なるほど、なるほど、じゃあ期待しております。ところで、フェアプレイってやっぱなんかえっちだね」


 「………………うん」


 





 ※




 今日の幸せポイント:14


 累計の幸せポイント:114




 今日のゆかさんのネコポイント:12


 累計のゆかさんのネコポイント:111(ネコ!!)

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