2

ガラッと教室のドアを開ける。

教室に居た数人の生徒が「僕」を見る。

僕はそれを無視して壁にかかっている時計を見る。

時刻は8時11分を過ぎたところだった。

朝のホームルームは9時から始まる。今日は道が混んでいなかったため早くつきすぎてしまった。

「…………。」

僕は窓側の前から2つ目にある「僕」の席に着席する。周りからの視線を気にしないように机の中に入っていたピンクのノートを開く。


『×××××××××××××××××××××××××××』


そうだった、思い出してノートを閉じる。

「こっちはダメだったね。ごめんね。」

「僕」は独り言を呟いて机にノートをしまい、別の、ミドリのノートを取りだし開く。


『____________________________________』


数ページに黒い絵や逆さまの絵や笑顔の絵がグチャグチャに描かれている。

何も書かれていない白紙のページを開き、綴る。


『笑え』


それを1ページ大きく書くとノートを机の中へ入れた。

「あれ?××××来るの早いじゃん。何か課題忘れてたのか??」

友達が話しかけてきた。

「…あぁ。ちょっとやる事あったから。」

「ふぅん」とソイツは「僕」の席の斜め前に鞄を置いた。

「なぁ。」

すると急に神妙な面持ちで「僕」の前で仁王立ちをした。

「…………なんだよ。」

「僕」は嫌な予感がした。

「今日………………×、出席番号で当たる日なんだ。課題やってないから答え教えて♡」


「僕」は溜息をつき、ゆっくり口角を上げて言い放つ。

「嫌だ。」


――――――――――――――――――――


『キーンコーンカーンコーン』

学校のチャイムが鳴る。

壁にかかっている時計を見上げる。

午後16時。帰ろう。

教室を出ると沢山の生徒が廊下で屯っていた。部活生徒だろう。忙しそうだな、と横目で流しながら間を縫うようにして進み、外へ出た。


生徒達はワチャワチャとしていてとてもうるさい。その喧騒から逃れるように帰りのバスへ走って向かった。


家へ着くと弁当をキッチンに置きすぐに2階の「僕」の部屋へと向かった。

制服を脱ぎハンガーにかけてクローゼットへなおす。

ベットに放置されていたパジャマを手に取り着るとベットへ倒れ込んだ。

「…。(疲れた。)」

「僕」はゆっくりと目を閉じ眠った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る