Faraway (下)

棘「先程、保護者から『弄ぶな』とクレーム

 が入りました」

長「強すぎる想いが曲解されたいい例ね」


棘「しかも退職元の噂持参で。

  学生に手を出したとか」

僕「一切触れてない」


長「証明は出来る?」

僕「たまたま密室状態だから無理です」


棘「逆を言えば手を出したかの立証も

 出来ない」

僕「その通りだけど、見た目が物語って

 しまった」


棘「はー、そんなの簡単に取られんなよ」


僕「ついでに言えば女性に興味はない」

長・棘「…………」


僕「だから尚更あり得ない」


長「事情は判りました。

  さて、結論から云うと先生は我が塾に

 於て必要な人材なので手放す気は微塵も

 有りません。

  気に入らないなら転塾してもらう方向で

 いるので、二人とも宜しく」



◆ ◆ ◆



僕「ふたりは僕のこと気にならないの?」


棘「今のところ支障ないんで」


長「配慮はするつもりだけど、言葉や行動に

変えるべきところがあるなら遠慮なく指摘してね」


棘「俺にとっては、だから何?でしかない」


僕「もし惚れたと言ったら?」


棘「男相手に勃たないしケツを貸すつもり

 もない。それでも付きまとうなら……」


長「はいはい、言い方悪いけど面白がって

 聞いちゃうからそこまでに。

  女子ちゃんたちもそろそろ来るよー」


僕「ごめんね、でも、ありがとう」



◆ ◆ ◆



僕「はあぁぁぁぁ」

棘「そのため息やめろ」


僕「敬語やめてくれて有り難う、その方が

 いいね。ふぅぅ」

棘「話しながらも吐くな、何なんだ?」


僕「会いたいのに会いたくない人に声掛け

 られて逃げてきちゃった。

  何で居るのかなぁ、こんな所に」


棘「会えばいいだろ?」

僕「簡単にはいかないんだよ、これが」


棘「じゃ、無かったことにしろ」

僕「耳から離れない」


棘「面倒臭い。

  つーか耳障りだ、あっち行け!」


僕「はぁ、同僚が相談にのってくれない

 悲しさよ。 というか、ちょっとタメ口が

 過ぎるかなぁ」


棘「本当に面倒くさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る