Faraway (上)

の地から離れて教授の教え子が運営するという学習塾の面接に行く。

小ぢんまりとした所で今は小中学生対象。

塾長は穏やかな雰囲気のミセス。

その隣には自分より年若な棘だらけのミスター。子供達が心配になる程の剣呑さ。


当然ながら退職理由も聞かれる。

「派閥争いに嫌気が差し任期満了前に退職しました」


「いつの時代も変わりませんね。

 さて、女子が大騒ぎそうな雰囲気をお持ちですが、巧くあしらえますか?

 思春期パワーは半端ないですよ」


「誤解を与えないよう発言には気を配りますが、解釈違いをされて手に負えない場合はフォローしていただけますか?」


「あら、こちらも責任重大だわ」


Hmm、こんな和やかでいいのか学習塾。


「自己防衛も塾生のフォローも出来ないようじゃ話にならないんじゃないですか?」


Oh、想定通りの刺々コメント有り難う。


「因みに小児に興味は?」


Wow、ド直球だね刺々くん!


「真偽が図れるかは別としてお子様を預かる身として一応聞いてます」


「今まで対象として見たことは有りませんが、もしかしたら気付かないだけかも知れないですね、判りません」


「ぷっ、言っちゃうんだ~」


「塾長!」


「ごめんなさい。さて、担当教科ですが英語の他にも複数お願いしていいかしら」


「……雇っていただけるので?」


「こちらはそのつもりです」


「一人多役ならば経営上都合が良い」


「そこはバラしちゃだめ」



◆ ◆ ◆



僕「キミはいつもしかめっ面だけど、

 そういうの疲れません?」

棘「これが普通なんで」


僕「それじゃモテないよ」

棘「ご心配なく」


僕「え、彼女居るの?」

棘「セクハラ案件として提出しときます」


僕「あぁ、そうくるか。以後気を付けます」



◆ ◆ ◆



講師は、塾長と俺様棘々とげとげくんの他に教育学部の女子学生。


僕「こっち暖かいからおいで、席変わるよ」


学「ありがとうございます~♪」

学「勘違いしそうになる~!」


僕「人に優しくがモットーなので」


棘「俺には愚痴ばかりですが」

僕「迷惑面する人に尽くしても心が折れる

 だけだしね」


棘「授業に遅れるんで準備始めてください」

僕「は~い」



◆ ◆ ◆



僕「連休は彼女と旅行だよね?」

長「あら、どこ行くの?」


棘「キャンセルしました」

僕「喧嘩でもしたとか?」


棘「別れました」

長「またなの、相変わらず長続きしないん

 だから」


僕「良く有るの?」

長「ツンデレを期待してもツンでしかない

 から」


棘「期待されても困る、嫌ならそれでいい」


長「そういうところを僅かでも変えてくれる

 子と早く出会って欲しいものだわね」

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