あとがき(ネタバレあり)
第49話 あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございました。
本編はあのような形で終わりましたが、少しでも面白いと思っていただけたなら私は嬉しいです。
ここから先は少しネタバレも入ってくると思いますので、これから本編を初めて読んでみようかなと思う方は一度最初から読んでいただけると幸いです。
今回のこの作品につきましては、もう少し細かいところを説明した方がいいかなとも思っていたいたのですが、あえて説明を省いたところもありました。
それが良いか悪いかの判断は今の私には難しいので、遠い将来に自分で読み返したときにでも判断してみたいと思います。読者の皆様が判断して感想を頂けるのでしたら、それは未来の自分よりも正しい判断になるのではないかと思っています。
本作品のタイトルの「ギ」なのですが、こちらは漢字の偽、疑、欺、犠、義、戯などがあると思います。読んでいるうちにそれらの漢字が当てはまるのではないかと思いつけてみました。
それほどの変化はないかもしれませんが、その事を意識してみると微妙な変化に気付くかもしれませんね。
作品作りに置いて一番苦労することは人それぞれ異なると思いますが、私の場合は登場人物の名前を決める作業が一番苦手だったりします。
名前を決めるのが苦手なのがゆえに、他の作品ではキャラ名を使いまわしていたのですが、今回は女性に限り花の名前か花に由来するような名前を付けることにしてみました。
花には花言葉というものがあるのはみなさんご存じだとは思いますが、同じ花でも色によっては違う意味になってしまったりするものがあるそうです。
有名な物では、バラの花は色によって花言葉が違いますし、花束を作る時の本数によってもその意味合いが変わってくるそうです。
赤いバラは愛を表しているのに黄色いバラは嫉妬だったり、白いバラは清純でオレンジは無邪気だったりするそうです。
他にも色によって花言葉が変わる代表的な花として、百合の花があります。
登場人物の一人である花咲百合は色によって花言葉の変わる百合の花を意識した性格となっていました。花言葉は「純粋」「華麗」「虚栄心」「偽り」といったものがあるそうです。
見る人によっては純粋に見えたり、華麗だったりするのですが、一方から見ると虚栄心だったり偽りだらけの人物に見えていました。
本編ではあまり純粋な一面は表現できなかったと思いますが、弁護士の先生の言葉を素直に聞いていたところは純粋な一面だったのかもしれません。
証言台に立って語ったことが自分に起きていたことを純粋に語っていたのか、それとも加害者である自分が被害者であるという事を裏付けようとした偽りなのか、最後の最後に言った言葉が自分ではなく殺してしまった家族や担当してくれた弁護士先生の威厳を守るためのものなのか、真相に誰もたどり着くことは無いまま死刑が確定することになるのでした。
作品の冒頭部分には百合の娘である紫苑が登場するのですが、その娘が実在した人物なのか百合の中にだけいる妄想の人物なのか思うところはあるのですが、紫苑も花の名前でして、花言葉は「君を忘れない」となっております。
花咲百合には妹の撫子がいるのですが、撫子の花言葉は「純愛」「才能」「貞節」「大胆」などがあるようです。
撫子は作品内では登場シーンはほとんど無く人物像はそれぞれの中に映されていたものとなっていました。
姉の花咲百合にとっては撫子は恐ろしい存在だったようですが、旦那となる優一にとっては良き妻であり良き理解者であったのではないかと思っています。
余談ではありますが、私の別作品に生前の撫子と同じ名前で同じような性格の人物が登場する話を作る予定がありますので、生前の撫子の様子が気になる方はお時間のある時にそちらを見ていただいて想像していただけるとよいかと思います。
百合と撫子の母は椿という名前でしたが、当然椿にも花言葉はありまして「完全な愛」「理想の愛」となっているようですが、撫子と椿には「愛」にかかわる花言葉があるのですが、事件を起こした百合には「愛」がありませんでした。
椿の理想の愛がどういったモノなのか明言はありませんでしたが、家族全員に愛を向けていれば花咲家は今でも暖かい食卓を囲んでいたのかもしれませんね。
新人刑事の山吹ダリアと後半に出てくる編集者の山吹桔梗にも花言葉はあるのですが、二人は半分だけ血のつながった姉妹となっております。
桔梗の母は桔梗を産んだ後に不幸にも無くなってしまうのですが、父親は再婚相手に外国人を選んでしまったのです。
幼い時に母親が亡くなって、その後に再婚相手として父親が連れてきたのが外国人だったという桔梗の心境は心中察するものがありますが、新しい母親の明るい性格と溢れんばかりの愛情によってすぐに家族として過ごすことになるようです。
妹のダリアが生まれてからも家族仲はすこぶる良好で、お互いに皮肉めいた冗談は言うようですが姉妹仲は花咲姉妹とは比べ物にならないくらい良好になっています。
ダリアは自分を可愛がってくれている桔梗の事が本当に好きなのですが、姉妹で見た目が全く似ていないことを悩んでいる時期もあったようです。
それはお互いに思っていたようですが、そんな事は気にならないくらい姉妹の仲は良いものでした。
ダリアの花言葉は「華麗」「気品」「優雅」などありますが、「移り気」というものもあるようです。最も、移り気を見せる相手は今のところ姉の桔梗だけなのですが、ちょっとした気まぐれを起こす程度の可愛いものだったそうです。
桔梗の花言葉は「永遠の愛」「誠実」「従順」があるそうです。そのどれもが家族に向けられているのですが、仕事や約束事に対してはとても誠実に取り組んでいたそうです。
百合の親友である木戸菖蒲と同僚である桐木カンナは百合を通して面識はあるのですが、二人だけで会ったことは無いというような関係でした。
木戸菖蒲は百合にとってかけがえのない大切な友人であったのですが、それゆえに妹の撫子には近付いてほしくない相手と思って敢えて遠ざけることもありました。
そんな事もあってか、木戸菖蒲にとって花咲百合は数多くいる友人の一人でしかなかったのですが、菖蒲に対する百合の誠実な態度は他の友人たちよりは良い印象を与えていたと思います。
菖蒲の花言葉は「よい便り」「希望」となっているのですが、百合にとっては希望ではありましたがよい便りとはならなかったかもしれませんね。
桐木カンナは百合にとって同僚で、誰とでもすぐに仲良くなれるような性格でした。一方で思い込みも激しく、トラブルメーカーになることも多かったようです。
百合とカンナの職場に勤めているお局の舞島皐月とも分け隔てなく付き合える数少ない人間でありましたが、他の女子社員からはその様子がお局様に取り入っているように映ることもあり、本人にはそのつもりが無いまま無自覚のうちに敵を増やすこともあったようです。
カンナの花言葉は「情熱」「妄想」といったものがあり、皐月の花言葉は「貞淑」だそうです。
皐月は貞淑な女性なのですが男性運が悪く人を見る目もあまり良くなかったのです。その反動で人に辛く当たることもあったのですが、その半面では仕事に対しては粛々と取り組んでいました。
幸せな家庭は築くことは出来ませんでしたが、仕事に関してはうまく行っていると思われます。
花車雪弁護士も女性なので花の名前ですが、花車とはガーベラの別名だそうです。
ガーベラも色によって花言葉が変わるようなのですが、百合とは違って愛にまつわるものが多くなっているようです。
「神秘の愛」「崇高な愛」「究極の愛」と言った愛にまつわるものや、「限りなき挑戦」「思いやり」「忍耐強さ」と言ったものもあるそうです。
普段は前半のような愛に満ちた女性で、弁護士という立場に置いては後半のような心を持った優秀な人物に相応しいと思いました。
ただ、ガーベラには「冒険心」という花言葉もあるようでして、花咲百合の事件に関してはそれが強く出てしまったのではないかと思っています。
女性陣に関しては花の名前を使うことにしたのですが、男性陣に関してはたまたま目に着いたところから名前を拝借するという手抜きっぷりを披露してしまいました。
このことからもわかる通り、男性陣の名前に関しては「特に意味は無い」状態となっております。
このまま各人物像を掘り下げてみても面白いかと思いますが、それを行ってしまうとサイドストーリーを考えた方が早くなってしまいそうなのでこの辺で切り上げたいと思います。
いつか、そんな機会がありましたら山吹刑事や花車弁護士の奮闘ぶりや、カンナや生前の撫子の奔放な様子も考えてみたいと思います。
その際は今作と多少性格が変わってしまうかもしれませんが、視点が変われば見え方も違っていると思って優しく受け入れていただきたいです。
今回は名前として使うことはありませんでしたが、花言葉をテーマにした作品でヒマワリ、ツツジ、ヒイラギ、ルリタマアザミなどの作品を書いてみようかと考えています。
いつになるかは未定ではありますが、興味がおありでしたらチェックしていただけると嬉しいです。
外に出る機会も少なくなっているとは思いますが、そんな時に花言葉を調べてみると新しい発見があるかもしれないと思ったそんな楽しい約一か月間でした。
長くはなってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
評価や登録などしていただけるとありがたいのですが、もう一作品だけでも目を通していただけると私は嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
ギ家族 釧路太郎 @Kushirotaro
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