第3話 immorality
マスクの下でため息が漏れる
この店で働き出してから気苦労が耐えない
客は上客、なのでマナーには厳しいから少しでも接客の仕方に不備があると大目玉を喰らうのも辛いし色々と規制があるのもキツイ
この前、私に接触してきた男「遠藤」もその類
私にこの店の情報を抜き取りに来た週刊誌の男でホームページを確認したら顔写真が載ってたので間違いない、確か奥さんがうちの店で殺されているらしくそのため情報を集めていると言っていた
私がこの店で働くのは口止め料を含めた大量の手数料が含まれ給料のため
同じ年代でこれだけ稼いでいる人間は見たことがない
それだから私の細腕を血で汚すようなこの仕事を続けている
お金はいくらあっても困りはしない
もう少し貯まったらここを辞めて全てを忘れ優雅に暮らそう
そのためにはもう少しまとまったお金が欲しい
そう考えた時に思い浮かぶのは「この店のオーナーを脅して退職金をたんまりと貰う」か「この店の情報を売ってお金に変える」かしかない
オーナーを脅すのはリスクが高い
何せ客が客だ
どこにどんな繋がりがあるか分からない
それならこの前の「遠藤」に連絡をとって…
そこまで考えた時、上司に呼ばれ仕事モードに頭を切り替える
こんなこと考えているなんて少しでも疑われたらあそこに並ぶ料理に私の肉が並ぶことになってしまう
それだけは避けたい
食べるのも食べられのもごめんだ
今日も自称美食家の御大達が腹を空かせてやってくる
ここは地獄だ…
マスクの下でため息が漏れる
その日仕事が終わったあと早速「遠藤」と連絡を取ることに成功した
話を聞くと報酬は思っていたよりも随分と多い
それはそうか、奥さんの仇なのだしそれにもしこの店の客のことが世間に公表でもされたらこの国の政治、経済全ての勢力図がひっくり返るかもしれない
それを狙ってる何者かの筋も絡んでいるのかもしれない
証拠が必要と言われ渡されたヘアピン型のピンホールカメラなどのスパイ道具と思わしきもの達がこの証拠集めの大変さとこれだけの見たことも聞いたことも無い最新鋭の機器を集めたことから「遠藤」とその後ろにいる者の力を物語ってる
それならもう少し吹っ掛けても…
と色気を出しかけたがそちら側から狙われるのも避けたいしここは条件を飲んでおこう
これが成功すれば私は優雅に遊んで暮らせるそれだけを考え仕事に打ち込み家路に着いた
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