あの女(ひと)と一緒になれた

 人妻であることを知りながら恋焦がれ一夜の遊びで付き合ってもらい諦めたつもりだったが……

 その遊びで火がついてしまった

 だが俺の想いは止まらなかった

 何度も玉砕しに行った

 答えなどわかっているはずなのに


 俺にはあの女(ひと)の旦那のような地位も財力もステータスも何も無い

 勝てるものといえば若さだけ

 あの女(ひと)にとってはただのつまみ食い

 それ以上でもそれ以下でもない

 それでも諦めきれなかったのだ


 それならいっそこの手で……

 その後のことは考えていなかった

 身をすのにネカフェを使った

その時ネットで見つけたこの店

 法外な代金がかかるがなんでも食べさせてくれる

 そして一定の条件を満たせばその料金も免除してくれる

 レストラン「Mahlzeit マールツァイト」


 もう未練はない

 だって一緒になれたのだから

 腹の中からあの女(ひと)の甘美な声が囁きかけて来る気がする

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る