第28話 女子会
エリー&ユリア視点
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「失礼いたします。」
「あ!エリーちゃん♡待ってたわよ♡」
「お呼びいただきありがとうございます、エファお義姉様。」
今日は学院がお休みの日です。
エファお義姉様に呼ばれましてお城で定期開催される女子会にやってきました。
エファお義姉様のほかには、皇后殿下、イルシアお義姉様、アイリお義姉様、エルヴァ皇太子殿下の奥様方、マルクお義兄様の婚約者のマリル様、そして私とユリアです。
「じゃあ始めましょうか。」
テーブルについた私たちのもとに運ばれてきたのは様々なお菓子、そしていい香りの紅茶です。
私たちはそれを食べながらいろんな話をします。
「エリーさん、学院はどう?私は卒業したばかりだけど。楽しい?」
「はい、友人も多くできました!」
私に話しかけてきたのはマルクお義兄様の婚約者のマリル様です。
獣人族の方で、兎のような青いふわふわのお耳がとても可愛らしいです。
耳に触れられるのはマルクお義兄様だけと決めているそうで、2人きりの時にはよく撫でていただいていると、この間の女子会でおっしゃっていました。
「それはよかったわ!そういえば魔法研究科の生徒はマジク王国へ留学できるって知ってる?まあ8年次のことだからまだ先だけどね。」
「はい、お父様が昔、魔法研究科でして。マジク王国への留学の話を聞いたことがあります。」
「へえ、そうなの!エリーさんは第二科目が魔研科だけど、どうするの?」
「私はぜひ行ってみたいと思います!他国へ行くことなんてあまりないことですから!」
「でももしケント殿下が行けなかったらどうするの?半年くらい離ればなれになっちゃうよ?」
「あっ、そうですね。どうしましょう...」
「まあ16歳なんて一番離れたくない時期だもんね。」
「そうなのですか?」
「うん!なぜかはケント殿下に教えてもらってね。私もマルク様に教え込まれちゃったから...ふふっ」
「は、はい、わかりました...?」
今なんだかマリル様の様子がおかしかったような...気のせいでしょうか。
その後何でもないような会話を続けていましたが、追加のお菓子が運ばれてきたのでいったん会話をやめます。
サクサクのおいしいクッキーを食べながら、ふとユリアの方を見るとアイリお義姉様とマリエラさんと何か話しています。
「だから迫るときはね、....を......して.....するの。」
「あ、それと.....もいいと思うよ。オーウェン君イチコロだったから。」
「ひぇぇぇ、そんな....」
ユリアは真っ赤になっています。何の話なのでしょうか...?
「エリーちゃん、最近ケントとはどう?」
「あ、エファお義姉様!」
「学院でも昼休みとかはずっと一緒にいるんでしょう?」
「はい!私の友人とケント君の友人も一緒です!」
「そうなの。ケントの学院の様子、聞かせてくれる?」
「はい!もちろんです!」
「あら、私も気になるわ。聞いてもいいかしら?」
そう言って私の隣にいらしゃったのは皇后殿下です。
「母様も気になる?ケントったら全然学院のこと話してくれないの。」
私は学院のケント君をできるだけ多く伝えました。
朝登校する時はいつも手を繋いでくれる。
昼食の時は隣に座って料理を食べさせ合ったりしている。
何度か見たケント君の剣術の授業では、ケント君の戦う姿につい見惚れてしまう。
時々一緒になる魔法実習の授業では優しく魔法を教えてくれる。
女子教養科の授業で作ったクッキーを放課後にベンチで寄り添って食べてもらう。
帰り際には控えめに抱きしめてくれて、お互いに頬にキスをする。
「うふふ、ケントったらラブラブね♡」
「本当ね。エリーちゃんとユリアちゃんがケントといい関係になってくれて本当にうれしいわ。」
「えへへ、ありがとうございます。」
「...ほんと.......ないわね...........なんて....」
「エファ、何か言った?」
「いいえ、何でもありません母様。さ、まだお菓子はありますから食べましょう。」
今、なんて言ってたんでしょうか...いつものエファお義姉様じゃないような...。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ユリアちゃんは最近ケント殿下とどうなの?」
女子会が始まってすぐそう聞いてきたのは、皇太子殿下の奥さまである、ナボア様です。
「はい、最近は...
.
.
.
「ユリア、こっち来てよ。」
「はい、ケント様!」
夜風が涼しいバルコニーで、ケント様と寄り添って座りました。
「手をつないでもいい?」
「はい、もちろん。」
私の左手がケント様の右手に包まれます。
じんわりとぬくもりが伝わってきて、安心しました。
その日は綺麗な夜空で、遅くまでケント様と星を見て語り合いました。
.
.
.
と、こんな感じ...です。」
「いいわねえ。すごくいい。あなたもそう思わない?マリエラ」
「はい、とても素敵ですわ。私も今度星空のもとに誘ってみましょうか...」
「あら、なら私も一緒に...。」
「「うふふふふふ」」
お二人は何か悪いことを考えているように笑っていた...。
「ユリアちゃん、こっち来て~」
おっと、イルシア殿下に呼ばれてしまった。
「はい、イルシア殿下。どうされました?」
「えっとね、...」
こうして女子会はあっという間に終わりました。
とても役に立ちそうなお話も多く聞くことができました。
もうすぐケント様とマルク殿下が狩りから帰ってきます。
それまでに色々としておかなければ...。
私は急いで持ち場へと向かいました。
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