第29話 姉の旅立ち

文字数間に合わなかったのでカクヨムコン辞退しました...(´;ω;`)

く、悔しい...。(悔しいと思うならまだ戦えるね byYちゃん)

今後、1週間に2~3回ほどの更新になります。

まだまだ書き続けていきますので今後もヨロシクです!


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この日、城では、家族だけのイルシア姉様嫁入りパーティーが開かれた。


ついに3日後、イルシア姉様が婚約者のバルク=ラ=ルギウスのもとへ嫁ぐのだ。


この日のために、ボクも他の家族たちもイルシア姉様への贈り物を用意していた。



「おはようございます、ケント様!」”ピュイ!!”

「おはよう、ユリア。それとシルヴィも。よく毎日飽きずに突っ込んでくるね。」

いつものように朝を迎え、食卓へ向かう。



「あ!ケント、おはよう!」

食卓にはまだイルシア姉様だけだった。

「おはようございます!まだイルシア姉様だけですか。」

「そうだね。ケント、おいで。」

イルシア姉様が体をこっちに向け、太ももをポンポンとたたいた。

「よいしょっと。大きくなったね、ケントは。あんなに小さかったのに。」

姉様の上に乗せられ、ボクは少し気恥ずかしくなる。

「いつの話ですか...!ボクはもう8歳ですよ?」

「うん、そうだね!もう学院にも通ってるし、婚約者は2人もいるもんね?」

「あの、からかってます?」

「こうやって私の上に乗せて抱きしめるのもできなくなるね...。はあ、ケントともいっぱい思い出あるけど、やっぱり...家族と離れて暮らすのは寂しいなぁ。」

「姉様...。」

「ふふ、でもね、寂しいと同時に少し楽しみなんだ!バルクはとっても素敵な人だし、ルギウス領はいいところだから。」

「ボクも...ボクも寂しいです。一緒にたくさん狩りに行ったこともアグニに乗って空を飛んだことも忘れられない思い出です!」

「ありがと!絶対ルギウス領に遊びに来てね。私も年に一度は帝都に行くから。」

「絶対に行きます!」

「うん、待ってるよ!」


その後、家族もそろい朝食を食べながらイルシア姉様の思い出を語り合ったりした。

ボクの知らない話も多く、少し恥ずかしい話でイルシア姉様が赤くなったりしていたのがおもしろかった。



「では始めようか。イルシア、結婚おめでとう!」

「「「「「「「おめでとう!!」」」」」」

ボクたちは父様に合わせ、果実水の入ったグラスを掲げる。

「えへへ、ありがとう!!」

イルシア姉様は嬉しそうに笑っている。


「では結婚祝いのプレゼントだ。ケントから順に渡しなさい。」

「はい!」

ボクは小包をもってイルシア姉様のそばまで進む。

このプレゼント、イルシア姉様は喜んでくれるはずだ。

「どうぞ、姉様!」

「ありがと!開けるね!」

小包が丁寧に開かれると、中には銀の置き時計が入っていた。

「わ!時計!すごくいい見た目!ありがとう、大事にするね。」

「”保存”の魔術式付きです!喜んでもらえてよかった」

「へえ、すごいね!自分の部屋に置くよ!」


あとの家族も皆プレゼントを渡し終えると、また思い出話に花を咲かせるのだった。



夕方、ボクはバルコニーからビーチを見下ろす。

ビーチにはエファ姉様とイルシア姉様、そしてアイリ姉様が何か話していた。


「なに話してるんだろ。ん?イルシア姉様、泣いてる...?」

顔は見えないが、震えているように見えた。

いつも笑顔のイルシア姉様が泣いてる...。

エファ姉様とアイリ姉様が両側から慰めているのだろうか、三人は肩を寄せ合い、湖を眺めていた。


しばらくすると日が沈み、あたりは薄暗くなる。

ビーチの3人は立ち上がり、建物へと戻っていった。




3日後、帝都ではイルシア姉様とバルクさんの成婚式典が盛大に行われた。


「私、バルク=ラ=ルギウスは妻イルシアと共に幸福になることを誓う」

「私、イルシア=ウル=レ=オルフェウスは夫バルクと共に幸福になることを誓う」


誓いの言葉を言い終わると同時に、帝都の民衆、そして映像を通して見ていた帝国の民たちは歓声を上げた。


2人は屋根のない馬車に乗り、帝都でパレードを行う。

道には人生で一度だけの姉様の晴れ姿を見ようと大勢が詰めかけ、道の端は人で埋まっていた。


イルシア姉様の瞳の色と同じ黄金色のドレスは日の光を受けて輝いている。

そして馬車の上の2人も輝くような笑顔を浮かべていた。


パレードが終わり、城では身内だけのパーティーが開かれた。


父様はバルクの父で現ルギウス家当主のアランさんと盛り上がっている。

母様とエファ姉様、アイリ姉様はルギウス家の正妻や令嬢たちと何か話していた。


そしてボクは端っこでユリアとソファに座りくつろいでいた。


するとボクのもとへバルクさんとイルシア姉様が一緒に歩いてきた。

「ケント!バルクが話したいって!」

「ゆっくりしているところ、申し訳ない。少しいいですか、ケント殿下。」

「もちろん。ユリア、ちょっと待ってて。」

「はい!」

「私もユリアちゃんと待ってるね!」


バルクさんに勧められ、対面の席に座る。

「まずはお久しぶりです。殿下のお披露目以来でしょうか、成長されましたね。」

「あ、ありがとう。あの、バルクさんボクの義兄になるし敬語じゃなくても...。それに父様も今日は無礼講だって叫んでたし。」

バルクさんは少し驚いたように目を見開く。

「そ、そうか。なら今日はいつもの口調にさせてもらおう。」

「うんそうしてよ、。ふふっ」

「うっ、これがイルシアの言っていた....なるほど、こういうことか。」

えっと...どうしたんだろう。

「すまん、何でもない。少し話したいことがあってだな。君の婚約者であるユリア嬢のことなんだが...。」

「ユリアのこと?」

「ああ。イルシアに他言するなと言われたんだが、彼女、オウガ共和国出身だというのは本当か?」

「うん、本当だよ。それがどうかした?」

「他の者には話さないと約束してくれるか?もちろんユリア嬢自身には言ってもらってもいい。」

「わかった。約束する。」

「では話そう。彼女の母親の家...オウガの将軍家だったな。その家はバリウス家と言って元はルギウス家と同じ血筋だ。昔、バリウス家の嫡男が家を捨て、後にオルフェウス帝国に仕えたのがルギウス家の始まりだ。このことはルギウス家の書物にしっかりと残っているんだ。このことを既に陛下は知っている。この機会に君にも話しておこうと思ってな。」

驚いた。つまりユリアとルギウス家は遠縁ではあるが親戚ということか。

「つまりそのことが漏れると、皇族とルギウス家が二重に結び付くって考える人がいるから...ってこと?」

「ああ、さすがケント君だ。このことは君と陛下以外は知らない。必ず隠していてくれ。私が話したかったのはそれだけだよ。」

「わかりました。そうだ、ボクもバルク義兄さんに聞きたいことがあるんだけど...」

「なんだ?」


「どんな鍛錬でそこまで筋肉を鍛え上げたの?」


「ふむ、そうだな。おすすめの鍛錬は、まず身体強化を使って自分の体重より少し重い岩を持ち上げ、そしてそれを担いだら身体強化を止めるんだ。なかなかぞ。」

「おお、それは中々...。他には?」

「他には...」



「なるほど!ありがとう義兄さん。いくつか試してみるよ!」

「ああ、無理は禁物だがな。さて、そろそろお互い嫁のところへ戻ろうか。」


ボクたちは何かの話で盛り上がっている2人のもとへ戻った。

「おかえり!何を話してたの?そっちもずいぶん盛り上がってたけど」

「義兄さんに筋肉のこと聞いてたんだ~。いい鍛錬法、たくさん教えてもらったよ」

「筋肉?バルクに?ちょっとバルク!ケントに変なこと教えてないでしょうね!」

「い、いや、私のいつもの鍛練法を教えただけだが...」

「なにしてるのよ!そんなのケントにやらせたらケントが将来筋肉の塊になっちゃうじゃない!」

「なんだ、ダメなのか?イルシアは筋肉好きだろう?」

「ケントはほど良い筋肉がいいの!ケント、バルクに聞いた鍛錬はできるだけしないで、いい?」

「は、はい...」

イルシア姉様も怒らせたら怖いのか...?

バルク義兄さん、がんばれ...!


パーティーもお開きとなり、イルシア姉様は城での最後の夜を過ごした。



「父様、母様、エルヴァ兄様、エファ姉様、アイリ、マルク、ケント。今までありがとう!年に一度は帰ってくるから!それとルギウス領にも遊びに来てね!じゃあ、行ってきます!!」

ボクたちに向けるのはいつものイルシア姉様の笑顔だ。


次の日の朝、イルシア姉様はバルク義兄さんとルギウス家の皆と列車に乗り、ルギウス領へと旅立っていった。

そして列車の後を赤い竜が追いかけていった。

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